ビオトープ体験記#2 -湿地再生-
はじめに
前回のnoteで、ビオトープ研修会について書きましたが、その際に3月に作業した池も見てきました。
3月の体験と、2ヶ月後の劇的な池の変化を記したいと思います。
ビオトープといえば、水辺のイメージ!という方、オケラを見たことが無い方、読んでいただけると嬉しいです。
3月の名古屋は、タンポポも閉じていて、春はまだ少し先という感じですね。
ビオトープ研修会の概要
ちょっと前のことになりますが、3月にビオトープの湿地再生の研修会に参加しました。
日本ビオトープ管理士会の研修会で、テーマは「とだがわ生態園に生き物の棲む場所を作ろう!─水辺編─」でした。名古屋の大きな公園、戸田川緑地のビオトープでの実習です。
今回の研修会は、陸地化してしまったヨシ原を、多様な生き物の棲む湿地に再生するという内容でした。始めに生態園全体の実地調査をし、湿地の再生プランを考えて、実際に湿地再生作業をしました。
実地調査
生態園の池やせせらぎを、各エリアの設計の意図や現状を聞きながらまわりました。例えば、こちらの積まれた大きな石は、生き物の隠れ場になるように造られたそうです。
水辺の水質調査の結果、生物が生息するのに良好な環境でした。DO(溶存酸素濃度)、pH(水素イオン濃度)、NH4-N(アンモニウム態窒素)、水温を計測しました。小さい頃に多摩川でパックテストしたのを思い出して、懐かしくなりました。
生態園には、様々な動植物がいます。
こちらはオオカマキリの卵鞘です。カマキリの卵といえばこのイメージではないでしょうか。
カマキリの卵は種によって形が違います。こちらは、チョウセンカマキリの卵鞘です。オオカマキリと比べると平たい形です。木に馴染んでいますね。
せせらぎの水底には、シオカラトンボのヤゴや、アメリカザリガニがたくさんいました。
続いて植物、ホトケノザです。葉が茎を囲んで段状につくのが特徴です。紫がかったピンクの小さな花が綺麗でした。
湿地の再生プラン検討
今回再生する湿地です。茂っていたヨシが刈り取られた後ですが、陸地化して乾いてしまっています。
周辺の写真です。写真の奥から手前へ、井戸水が流れています。
今回再生する湿地で見つけた生き物はこちら。
ニホンアマガエル。鮮やかな黄緑色で、小さくてとても可愛かったです。すいすい泳ぎます。
ケラ。やなせたかしさんの「手のひらを太陽に」の歌詞、“ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ” でお馴染のオケラです。私は初めて見たので、これがあのオケラかー!と感動しました。前脚が大きくて平たく、土を掻き分けるのが得意です。掌で包むと、指の間を強い力で掻き分けて出てきました。
この湿地をどのような場所にしたいか、みんなでアイディアを出し合いました。
子どもが遊べる場所にしたい、水深に変化をつけたいなどの意見がでました。
湿地の再生作業
立てたプランと、現地でひらめいたアイディアを形にしていきました。
まずは、水路づくり。
陸地化した部分をスコップで掘って、池から生き物が入れるよう水路を引きました。
掘った水路の壁は、枝を組んで固められました。壁が崩れにくくなるそうです。その場の自然の材料で工夫できるのも面白いですね。
みんなで掘ると意外とあっという間です。
鳥が集まってくれるようにと、止まり木を作った方もいました。どんな鳥が来てくれるでしょうか。
こちらは、エコトーンづくり。エコトーンとは、異なる環境を緩やかに繋ぐ移行帯で、多様な生物が生息できます。土と小枝を使って、陸地と水辺をなだらかにつなぐ場所をつくりました。
掘った水路に水が流れました。これからどんな姿になっていくか楽しみです。
2ヶ月後の湿地の様子
5月の研修会の際に、湿地の様子を見てきました。ヨシの復活ぶりが驚きでした。
Before : 3月の池。空が曇りなのも相まって、少しさみしげ。
After : 5月の池。同じ池とは思えないくらい、青々としています!
ヨシが池の中まで生えていました。
ヨシは立派な地下茎があるので、地上で刈り取っても夏になるとまた茂ります。背が高く、何メートルもの高さにも伸びます。たくましいですね!
ヨシに囲まれた中に、水路はしっかりと残っていました!
水路の壁に組んだ枝もきれいに残っています。木は万能だなと改めて思いました。
水路には、カエルが隠れていました。トノサマガエルでしょうか?
水路際には3月には無かったヘビイチゴがたくさんありました。目をひく鮮やかな赤い実に春を感じました。
葉っぱに、ナナホシテントウの蛹がいました。もうすぐ羽化ですね。
春になって水辺が生き生きとしていて、たった2ヶ月で大きく変化した景色に驚きました。水路にカエルなど生き物が来てくれていて、再生作業はなかなか良かったなと思いました。
メリケントキンソウの除草(おまけ)
生い茂っていた外来種のメリケントキンソウを抜きました。果実ができると、硬い棘が裸足の子どもの足の裏や、犬や猫の肉球に刺さって痛いです。お家に芝生のある方、お気をつけください。
バケツいっぱいに採れました。
おわりに
全国から集まったビオトープ管理士の方々と、実習ができて学びが多かったです。植物の名前や特徴を教えていただいたり、ビオトープ作りのアイディアを知れたり、刺激になりました。
おまけの、道具小屋にいたヤモリ。