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ミスキーン!

週に3日ほど、近くの公立の中等学校(7年生〜12年生がいる)に通っている。

ヨルダンでは8月下旬から新学期がスタートし、みんな新たな学年に進級。クラス替えやら教室が変わったりして、混乱していたがそれも1ヶ月経てば落ち着いて来たので、授業以外の課外活動も活発になってきた。

先日、10年生の社会見学に連れていってもらえることになった!場所は近くの自然保護区。政府系のNGOが管理していて、日本でいうと国定公園のビジターセンターみたいなのがあって、いくつかの自然体験や文化体験なんかもやってるらしい。お土産屋さんやレストランなんかもある。

先生は生徒たちに社会見学に行くことをつげて一人一人に紙を配っていた。紙の内容を見せてもらうと、それは「保護者の同意書」で、行く場所、生徒の名前、保護者のサインなどを書く欄があった。最後には「学校は一切の責任を持ちません」の一言も。ヨルダンなかなかちゃんとしている。この書類を提出すると、社会見学に行ける。

次の日には生徒たちはみんな書類を提出。休み時間に提出された書類を見ながら、担当の先生が「この前、8年生の社会見学あったやろ?1人、参加しなかったんよ。親がこの書類提出しなかってん」とぼやいた。
8年生の社会見学は学校から歩いて5分もかからない、すぐそこの農場で水耕栽培をやってるハウスの見学をして、農作業を少し手伝うというものだった。

私が「どうして?」って聞くと、先生は「ミスキーン」と一言。アラビア語ではミスキーンは貧しいという意味。私はお金がかかるのかと思って、「お金がいるん?」と聞いたら「無料!」と言われた。
それで何となく、これはお金の問題じゃなくて、親がそういう行事に子どもを参加させたくなかった…それは貧しいことだと言いたかったのだと理解した。

全員参加の10年生は行きのバスではテンションがあがってとても楽しそうだった。国や文化や人種が違っても日本とまったく一緒。そうやんね、友達とおでかけは楽しいやんね。
8年生の社会見学に参加できなかった彼女が誰なのかも知らないし、もしかしたら何か事情があったのかもしれないけれど、社会見学の日、彼女はどういう気持ちで過ごしたのだろう。もし単純にそういう行事に参加させたくないだけだったら、彼女の大切な経験の機会を奪っていることになる。それはとても悲しいなと思った。

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