見出し画像

【ドイツ】クラシック音楽を身近に習う子供たち

今回は、日本の学校でいうリコーダーのように、クラシック楽器を身近に習うドイツの子供たちについてお話したいと思います。


なぜドイツではクラシック楽器が身近な存在なのか?

私が教えているバイオリンをはじめ、ヨーロッパでは、多くのクラシック音楽・楽器が発展してきました。

そういった背景による元々の文化やコンサートが多数行われていたり様々な理由がありますが、今回は楽器のレッスンというテーマに絞ってみたいと思います。

水曜日のレッスン室
いつも自然が近くにあり
疲れを全く感じません


1.音楽学校の数

ドイツにはどのくらいの音楽学校があるのでしょうか?

調べてみたところ、VDM (Verband deutscher Musikschulen e.V)というドイツの音楽団体に登録している音楽学校が933校 (2022年)、登録していない私立音楽学校が340校(2017年)で、合計約1300校の音楽学校が存在していることがわかりました。

ドイツには16の連邦州があるので、平均すると1つの州に約80校の音楽学校があるということになり、日本と比べるとかなりの数になります。

参考リンク:https://www.musikschulen.de/musikschulen/fakten/vdm-musikschulen/index.html

ハンブルク公立音楽学校に
就職する前から働いていた
グリュックシュタット音楽学校
エントランス
グリュックシュタット音楽学校には
素敵な音楽ホールがあり
たくさんのコンサートを開催しました😊


2.学校でオーケストラ(アンサンブル)の授業がある

ドイツでは、公立の小学校や”ギムナジウム”という、日本では高等学校のようなところでオーケストラの授業があることから、生徒さんから学校の授業で配られている楽譜を渡され、レッスンしてほしいとお願いされることがよくあります。

また学校で何の楽器を習っているのか話題になると聞いたこともあり、ドイツの子供たちの間では音楽が身近な存在であると感じます。

グリュックシュタット音楽学校でも
アンサンブルの指導を行なっていました。
現地の教会でコンサート出演もあり
そのときの模様が新聞に掲載されました😊

3.楽器がすぐ調達できる環境

ドイツでは楽器貸出サービスがメジャーで、音楽学校や楽器工房で、分数楽器を借りる生徒さんがとても多いです。

分数楽器とは、フルサイズ(大人用のサイズ)ではない楽器の総称です。
例えばバイオリンであれば、1/32 ,1/16, 1/8, 1/4, 1/2, 3/4 があり、32分の1は一番小さく、3歳以下用になります。(右に向かうにつれ、サイズが大きくなり、対象年齢も変わっていきます。バイオリンのフルサイズの表記は4/4です。)

所持している楽器を持ってくる生徒さんもいますが、家族が以前使っていたり、親戚から譲ってもらったなどの人が多く、サイズが変わるごとに、その都度新しく購入する生徒さんは非常に少ないです。

ハンブルク公立音楽学校主催の
楽器体験の日に展示されていた
分数バイオリン🎻
子供たちもその場で触れて大丈夫でした😊


ドイツでメジャーな、貸出分数バイオリン

ではなぜ貸出分数バイオリンがメジャーなのでしょうか?

私はドイツでのレッスンで楽器について相談された時は、楽器工房が提供している貸出バイオリンの利用をおすすめしています。

理由は値段がとても安いからです。

参考に私が通っているハンブルクの工房で提示されている値段ですが、バイオリン、弓、松ヤニ、ケースを含めて月額12ユーロ(現在のレートで約1,700円

追加の肩当て等を入れてもプラス1ユーロで、合計月13ユーロ(約1,900円)と、とてもお手頃に借りることができます。

参考リンク:https://www.geigenbau-hamburg.de/vermietung/

貸出できる期間は工房さんによって異なりますが、私が通っているハンブルクの工房では、最低貸出期間の決まりはなく、一ヶ月だけ借りることもできます。

そのため、短いお試しレッスンでも、生徒さんが気軽にバイオリンをトライすることができます。

生徒さんの代わりに借りてきた
貸出分数バイオリン🎻


ドイツで習う生徒さんの数が多い楽器ランキング

多くの子供たちが楽器を習っているドイツですが、音楽学校でレッスンを受ける生徒さんの数は、楽器によって異なります。

2021年にVDM (Verband deutscher Musikschulen e.V)が発表した生徒数が多い楽器ランキング

1位 ピアノ
2位 クラシックギター
3位 バイオリン🎻
4位 リコーダー
5位 打楽器(クラシック&ドラムセット)
6位 フルート
7位 トランペット
8位 サクソフォーン
9位 クラリネット
10位 チェロ

日本ではとても敷居が高い印象があるバイオリンですが、ドイツでは3位と、比較的習っている人が多いのは、最初にあげた理由が少なからず影響しているのではないかと思います。

参考リンク:https://www.musikschulen.de/musikschulen/fakten/schuelerzahl-jahreswochenstd-instrumental-vokalfaecher/index.html

全ての楽器のランキングはこちら:https://www.musikschulen.de/medien/doks/zahlen_und_fakten/2021/schuelerzahlen-und-wochenstunden-instrumental-und-vokalfaecher.pdf

日本とドイツの生活とレッスンの関わり方の違い


バイオリンレッスンに限らず、全ての仕事に関係することなのですが、そもそも生活があっての仕事です。
私が行っているレッスンと生活の関わりを、ドイツと日本で分けてまとめてみました。

日本での生活とレッスン

コロナ前に日本に一時帰国して開催していた、春夏秋冬休み限定の短期集中レッスンは、千葉の実家で行っていました。
家事などは家族がやっていてくれたこともあって、この期間はレッスンだけに集中する生活を過ごしていました。

実家でのレッスン風景

レッスンは日本語で行っていますが、弓のスピード、リズムの取り方、演奏表現の理解習得のしやすさの手助けに、ドイツ語を使うことがあります。

また生徒さんが弾きたい楽譜を持ってこなかった場合、私がドイツで使っている教材を使うこともあります。

ドイツでの生活とレッスン

現在ドイツで一人暮らしをしているため、前回のブログでお話した通り、健康管理がとても大切です。

また公立音楽学校間との連絡会議、研修、保護者面談、また確定申告といった事務的なこともこなす必要があります。

私はレッスン指導だけではなく、より良い教授活動を続けるためにコンサート活動も並行しています。

そのため仕事の多忙さに負けない、強い体作りを大切にしています。

以前勤務していた
バルクデハイデにある音楽学校の
レッスン風景。
通勤に往復2時間かかり
常にタフな力が必要でした😅


レッスンについてはハンブルク公立音楽学校で週5日勤務し、計週25時間の指導を行っています。
そのため生徒の数も必然的に多くなり、数えてみるとグループレッスンを含めて55人ほどでした。

*5歳から21歳の様々な年齢
*レベル
*モチベーション
*作品の好み
(具体的には速い曲が好き、あまり難しいのが好きじゃない・常に新しいタイプの曲を弾きたい)

などといった性格的な部分に合わせた教材の楽譜を要領よく用意し、分かりやすく的確な指導が続けられるかが重要になります。

私はハンブルクの音大で教育学部に在籍して卒業したため、教材やバイオリン指導法について深く学ぶ環境にいたのですが、それでもこの要領の良さは教材のことを既によく知っていて、バイオリン指導が好きで、常に自分自身勉強を重ねてアップデートを続けることで継続できると感じています。

このようにドイツでは生活面・レッスン面の両方においてやらないといけないことが日本に比べて多いので、オールマイティ性を養う必要性を感じます。

税理士さんに提出する書類準備の様子
ドイツでは税金に関する法律が
頻繁に変わるため
ドイツ人の方でさえ税理士さんに
依頼していることが多いです💦


日本で、クラシック楽器がドイツのように生活との距離が近くなるには?


個人的には、部活ではなく、一般的な楽器に対するイメージが変わる授業を取り入れられればいいなと考えています。

ドイツではInstrumentenkarussel(インストゥルメンテンカルッセル)という『楽器が一定期間ごとにローテーションされるグループレッスン』があります。

楽器の種類はとても多く、習う前にそもそもどの楽器が自分に合うのか分からない生徒さんもいます。
そのため、まずは様々な楽器に触れて、楽器そのものを大まかに知ることが必要になります。

Instrumentenkarussel(インストゥルメンテンカルッセル)は生徒さんがそれを通して楽器を決めることを目的としているため、練習が必要そうな難しい指導のレッスンではありません。
そのため、楽器に対して気軽に向き合ってみるという姿勢が生まれます。

インストゥルメンテンカルッセルは
バルクデハイデの音楽学校でも行っていました。
レッスン室に置かれてる3つのバイオリンを
3人グループの生徒さんが1ヶ月体験し
『来月は打楽器だ!』と
様々な楽器に毎月触れられるコースを
楽しんでいました😊


あともう一つはかかる費用の問題です。

ドイツでは日本のように輸入による値段高騰があまりないため、楽譜やバイオリンだと弦のような音楽費用全体に対する発生する額が高くなりません。

ハンブルクには中央図書館があり、楽譜を買わなくても、または中を見てから購入したいという時でも、すぐに必要な楽譜を借りることができる施設もあります。

ハンブルク中央図書館1階の様子
とても広い図書館で
学生のときから課題提出のために
たくさん利用してきました♪


このような理由があり、日本では敷居が高く感じられてしまうクラシック音楽ですが、バイオリンに魅せられた私としては、もっと広まるといいなと思っています。

<<夏期短期集中レッスンを再開します♪>>

レッスン期間: 2023.07.20 〜 2023.08.21
レッスン場所: 千葉、都内、首都圏 (オンラインレッスンについては要ご相談)
お問い合わせ&詳細→下記リンクへクリック!

コロナで2019年の冬が最後でしたが、やっと復活し、数年ぶりのレッスンになります。多くの方のお力になれるレッスンの時間が、今からとても楽しみです☺️

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

note以外でも活動発信しています♬
すでに応援してくださっている方、noteを通してこれから応援してくださる方、あたたかいフォローありがとうございます😊

(今年の目標はYouTube登録者250人&フェイスブックフォロワー200人をお迎えすることです。頑張ります❣️)

【Facebook】https://www.facebook.com/shion.tanaka.vl
【Instagram】https://www.instagram.com/shionviolin/
【YouTube】https://www.youtube.com/c/TanakaShion
  
【Twitter】https://twitter.com/shionviolin_de

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?