オフェンスポジショニング3.0

最近の攻撃側のポジショニングがこうなってきているのではないか?という全て仮定の話。


OP 1.0  対マンツー期

「ボールは勝手に動かない。人がボールを動かす。」
という考えから、マンツーマンマークで人を抑える守備が常識となり、それに対応した攻撃側のポジショニングは、デスマルケ(マークを外す動き)やワンツーなどのパス&ムーブのような動きが発達。

自身のポジションに相対する守備者を攻略するための、ボールテクニックも含めた1体1または2対2での突破など、局所的な少人数の対戦を攻略する攻撃スキルが研鑽された時代。


OP 2.0  対ゾーン期

「ボールはすり抜けない。スペースを通って動く。」
という考えから、1.0期で発展した攻撃スキルによって個人で抑えられなくなった攻撃側選手を、守備側は集団でスペースを奪うことで対応するように。
「相手選手>ボール」の優先順位で人について行くマンツーマンのやり方ではなく、陣形を維持しながらチームとして効率的に動き「ボール>味方>相手選手」の優先順位でボールが動くスペースを消していくゾーンと言われる守備方法の色が強くなっていく。
「マンツーマンは先に攻撃側が動くからどうしても後手になる」というマンツーマンの欠点も、守備側主導でスペースをコントロールするというゾーンというやり方にて克服する。
また、守備時の陣形は奪った後の攻撃にも関わるため、人に付いて行って陣形が崩れてしまうマンツーマンよりも、攻撃のやり方から逆算して守れるゾーン寄りの守備方法が好まれていく。
マンツーマンのような人基準に寄っている守備を実施する場合いおいても、スペースを切りながらマークするような、ゾーン的な要素が見られるようになった。

そのゾーンへのカウンターとしてポジショナルプレーが登場。
チームの陣形でスペースを守るゾーン守備に対して、攻撃側は守備側が「空けたくないスペース」を逆手に取って、”配置”とボールの動きでスペースや局地的な優位を作って利用し、その優位を相手ゴール前まで届けていく。
ピッチを広く使い、どこに数的優位を作って、どこにスペースを作り出すか、そのタイミングはいつか、などをチームでデザインし実行する。
1.0期のような対人が色濃いポジショニングから、対組織のポジショニングが主流に。


OP 3.0  対ミックス期

本題。

「攻撃側選手の動きが静的で捕まえやすいところはマンツー要素強めで、攻撃側選手の動きが流動的でボールの行き先を捕まえる必要があるところはゾーン要素強めで」
と2つの方法をグラデーション的に使い分ける守備が主流に。

「自陣でのビルドアップなんてポジションを大きく変えたりできないだろ」と誰かが気づく。
DF達がフットサルのように目まぐるしくポジションチェンジしながら自ゴール前でパスを回している姿なんて見たことがない。
人の動きが実に静的。
相手陣地内でのプレッシャーがマンツーの要素強めになっていく。

また別の日に誰かが気づく。
「ポジショナルプレーとか言って攻撃側がピッチいっぱいに広がるけど、その分ポジションチェンジの可能性減ったし、全員がマークついて‪1対1で勝てたら何もさせないだろ」と。
ポジショナルプレーは質的優位があるからこそ成り立つ強者の戦術と言えるものだった。
攻撃側の質的優位に対して守備側はリソースを割く必要があり、それによって他の場所に数的優位やスペースを攻撃側が得るのがポジショナルプレーの前提条件。
それも無しにただ広がってしまっては、可変というフォーメーションの動きはあっても結局は捕まえやすい静的なものとなる。
広がった際の遠い距離間でのパス回しそのものも、効果的に機能するかどうかは選手のスキルが大きく影響する。
最低限の質と優位の必要性やマンツーの攻略法を忘れてマンツーの餌食となるチームも珍しくなかった。

そんなマンツーとゾーンの良いとこ取りのようなミックス守備に対して、攻撃側ももちろん対応する。
全体が大きく広がりすぎることには反省し、選手の距離間を可能な限り近づける。(「ただボールに寄る」とは違う。ポジショナルプレー的な原則の範囲で狭める。)
ゾーン攻略としてのポジショナルプレーの要素は残しながら、マンツー攻略としての即興的なポジションチェンジやワンツーなどの連携が発生しやすい配置を取っていく。
そこからは様々な方法が見られる。

後方では、
・マンツーで捕まりやすい横並びで静的になりがちなDFラインで縦関係を作ったり
・CB同士でパスアンドゴーでプレスの背後を取ったり
・CBを絡めてフットサルのような旋回を繰り出したり

前線では、
・今まで広がっていたWGが相手SBよりも内側に入ることで、中に数的優位を作ると同時に外側に大きなスペースを作ってそこから外に流れたり
・ゾーン(ライン)を維持して守るために通常は横並びになる相手DFの1人に、2人の攻撃選手を割いて裏と表(前と後ろ)の2択を迫ったり

ポジショニングの距離間が近くなることで、作れるスペースの最大化は出来なくなる代わりに、遠い距離感では実現できなかったコンビネーションを手にいれる。

参考


フットサルが日常のブラジル人選手なんかは、対ミックス期では輝くかもね。

以上
現在はこの3.0期なんじゃないか、というお話。
信じるかどうかはあなた次第。


終わり

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