オマーン戦から見るアジアカップでの日本の攻略法
2018/1/13(日) アジアカップ 日本代表 vs オマーン代表
(FIゼミ用レポ)
対戦国目線で日本を分析。
■日本代表の大まかな特徴
日本の武器
・精度の高いキックを持った後方選手からの裏一発や縦パスからの前進。
・ボール近辺に人を集めての即興コンビネーションやドリブル突破からのチャンスメイク。
・アジアの中では高い方に位置するテクニックとフィジカル。
日本の弱点
・カバーが十分では無い状況でも、カウンターで数的不利でも、とにかく奪いに行き気がちなゾーン2の守備。
・奪われた後のことがあまり考慮されていない攻撃時のポジショニング。
・ゾーン1(日本のゴール前)での攻防で急にミスが増える。
日本の長所?短所?
・組織的なプレーよりも個々のヒラメキを重視。
・判断よりも決断を優先した、時折見せるセオリーやリスク管理を無視した思い切りの良いプレー。
・攻守におけるポジションミスを走力で補おうとする。
総評
・型がない状態でパンチを振り回し続ける『ストリートファイター系ハードパンチャー』。
・日本に負ける(失点する)国はこのパンチに当たってしまっている。
・その勢いと回転率で相手を封殺しようとするが、隙の大きい攻撃かつガードが緩いので相手のパンチもけっこう当たる。
■オマーン戦の日本
・日本の基本システムは4-2-3-1で、攻撃時はワントップの北川は前線に貼り付いていて特に降りていくような動きは見えなかった。
・日本はゾーン2での後方でのパス回し時、両DHのどちらかがCBの脇に落ちて数的優位を作り、運ぶことによる前進よりもフリーになった選手からフィードを送るような前進方法だった。
・日本の後方からのパスに対して前線は個人の裏飛び出しぐらいしか形が無いように見えた。
・前半のオマーンの4-4-2守備が曖昧で、オマーン2トップの日本CBへの制限のかけ方や、オマーンSHが守備としてほとんど機能していなかったため、日本のCBからたくさんチャンスを作られていた。
・日本の守備時はプレス時も撤退時も4-4-2で、前2は高い位置で積極的にボールを追いかけ回してくるが、自分たちのラインを超えられたらそんなに戻ることはない。
・左利きは右SHの堂安一人だけ。この選手の単独突破は要注意。
・北川は前線にずっと残るが、縦パスやクリアボールを収めるようなシーンは無かった。それも含め、オマーン戦ではボールを持った時にどんなプレーができる選手なのかがわからなかった。オフで味方にスペースを作るだけの選手なら、逆に無視して、飛び出しまくる南野をメインに警戒しても良いのかもしれない。
・武藤が入っても北川とあんまり変わらない。ボールを触れないのは、個人能力の問題よりもチームの仕組み的な問題が大きいのかもしれない。いつどうやってFWを使うか、がチームで整理できていないのかも。
・柴崎は中盤中央の密集を避けた位置でボールを受けるが、そこから効果的なボールを配給できていなかったので、吉田、富安、遠藤からのパスをより警戒するべきかもしれない。
■攻略法
日本は一発噛み合った時の攻撃で点を入れてしまう力があるが、失点に繋がる大きなミスもしてしまうような印象。
なので、対戦国は事故を防いで、日本に事故を出させるためにも、自ゴールから離すような戦い方にした方が良いと思った。
それを実行するために
対戦国のシステムは5-2-3を推奨。
①プレス
日本の後方からのフィードが脅威なので、前線を3トップにして、日本の後方でのパス回しを制限したい。
日本の前線が縦パスが出せる状況に合わせてコースを作るような仕組みがチームで無さそうなので、対戦国は3トップで「余裕のある状態からの精度の高いパス」と「運ぶドリ」を牽制してどちらかのサイドに誘導すれば、対戦国の後方は狙った場所に数的優位を作って奪いに行ける。
日本が後方のパス回しを始める時、日本の両SBは高い位置を取ってCB×2+DH(×1~2)の合計3~4人で配給役をやっていることが多いので、対戦国の3トップはその配給役の形に合わせて変形して片サイド(配給役が全員右利きなので出来れば左サイド)へと誘導して行く。
日本のSBは対戦国のWBが基本的に担当するものとするが、日本のSBが下がっていった場合はついて行かない。日本のSBが後方から配給役となって効果的に攻撃の形を作っているシーンが少ないので。3トップに任せて良い案件。
対戦国の中盤2は前線のプレッシャーに合わせてボールサイドの縦パスをカットできる位置へポジションを取る。
対戦国のゾーン1(日本のゾーン3)まで進ませると日本のハードパンチがあるが、対戦国のゾーン3における攻防は日本は得意では無いし、主な前進方法は後方からの精度の高いキックで、大迫がいない前線への精度を欠いたキックからはチャンスになり辛いので、日本が後方でのパス回しを始めそうなら、どんな高さでもプレッシャーに行った方が良い。
②守備
撤退時は日本の当たったら怖い強引な攻撃があるので、5-4-1に近い5-3-1-1でボール付近のスペースを埋める。
5-3-1-1の内訳は、5はボールサイドを中心にDFラインに穴を開けないように位置し、中盤の3はボールサイド側のWG×1+CH×2でDFラインとの隙間を極力小さくしてその中に入らせないようにする。
ボールサイドの逆側に位置するWGはカウンターを狙えるような位置どりを気にしながらも、日本のDHなどへのパスや、クロスのこぼれ球を狙えるようなハーフスペースでの守備位置を基本とする。
ワントップで残る選手はバックパスからのサイドチェンジさせないようにしながら、日本のCBの攻め上がりを牽制。
日本の遅攻は高い位置のサイドの選手にボールが入ったときに、そこに人数を集めて細かいところを強引に突破してくる形がメインなので、上記5-3でそのサイドのスペースを埋めておけばそうそうやられることはないと予想。
対戦国がセットして守れている時のサイドレーンからのクロスは入りそうなのをほぼ見たことがないので対策はしない。
③奪った後
ここが最大の得点機。
多くの場合、対戦国がボールを奪った時、日本はCB以外は高い位置にいて予防としてはSBよりDHを残すことが多いため、日本のSB裏は絶対に狙いたいスペース。
そのスペースさえ使えれば、仕組み的に日本はCBがケアをしに出ざるをえないことが多い。残すはもう一人のCBと戻ろうとしているSBとDH。2人での攻撃では能力差的にその状況を使いこなすことが難しいかもしれないが、3トップとして攻撃させればゴール期待値も上がる。
その狙いたいスペースの使い方。
日本はボールが近ければ奪いに行く習性が強い。ネガトラ時はかなり果敢に奪いに来る。奪う位置にもよるが、下手に横パスやバックパスでで逃げようとすると奪い返される危険も大きい。
ゾーン2で奪えていればすぐにそのスペースを狙っても良いが、ゾーン1(日本のゾーン3)で奪った後は味方の配置的にも効果的にそのスペースを使えなそう。
そこで狙うのが、守備時に残しておいた1-1の2人。でもこの2人は裏を取りに行くのではなく、まずはポストプレー的なサポートをする。
ポストプレーに対して日本の習性的には奪いに来る可能性が少なくない。そうすると予防で残されていた数少ない選手を釣り出すことにつながり、さらに味方の上がる時間を作ることに繋がるという期待。
そのポストプレーというワンクッションの後に、そのポストプレーからのパスを受けた体の向きの良い選手からその狙いたいスペースに位置する選手へとパスを繋ぐことで、日本の激しいネガトラプレスの回避になり、さらに多くの日本選手を置き去りにして効果的にカウンターをしかけられるのでは、という予想。
④攻撃
ビルドアップ時は5-2-3(3-4-3)の形でスタートする。その際3トップは開かせない。
基本的には1~2人の数的優位でボールを回せるはずだが、それでも日本のプレスにハマりそうなら前線に蹴っとばして3トップでの回収に切り替えて良い。
特に2トップがすっごい勢いで追いかけ回してくるので、技術に自信が無い対戦国は自陣後方で持つことは避けたほうが良いかもしれない。
ゾーン3(日本のゾーン1)まで進むと、日本は4-4でコンパクトにゴール前やボールサイドに人を集めて固めて守ってくる。その際日本の前2はほぼ前残りで。
対戦国の両WBを日本のSH裏ぐらいに上げて、3トップは日本のCBとSBの間、残りの3-2で日本の前2を囲むような配置を取って、サイドチェンジをしていけば、「対戦国WBにボールが入った時の、WGのチャンネルランまたはアーリークロス」や「対戦国CBかCHから3トップへの縦パスからの突破」などからゴールが期待できるのではと予想。
日本は背後(逆サイド)からボールサイドに斜めに走ってくる相手への対応をかなり苦手としているで、そのような状況を作れればゴール期待値はさらに高まる。
⑤奪われた後
対戦国が奪われた直後、日本はまず急いで前方向を狙う。ここはわかりやすいぐらい、勝っていてもけっこう強引でもなぜか"急いで"前にプレーしようとする。
なので奪われた直後はまずDFラインの守備を整備がチームとしての優先事項で、ボール付近で対応が可能な対戦国選手がいるなら前を塞ぐことを最優先にする。
ここで絶対やってはいけないのが、日本の強引な突破にやられて、ボール付近の選手が置き去りにされてしまうこと。
置き去りにされるぐらいなら、ノープレッシャーでもいいので後方に下がることを優先させていい。
横パスを出させればまあまあ。バックパスを出させれば勝ち。のつもりで。
■最後に
上記攻略法は、もちろん対戦国にいる選手能力による。もちろんその日の試合環境や展開による。
日本が変えてくる可能性だってある。
机上の空論なのは間違いない。
ただ対戦国目線で考えるというのをやってみたかっただけ。
ちなみに話題の各裏解説ではオマーン戦ってどんな試合に見えてたんだろ。
ちょっと気になっちゃう。
終わり
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