ドリブル特化練習をする日本からドリブラーが生まれない理由

ドリルとかドリブル特化のTRをやらないのに、何で海外の国々からドリブラーが生まれるのか。逆に何で日本では生まれないのだろうか。

フォローしている人のつぶやき。
面白そうなお題だから考えてみた。


海外ドリブラーと日本ドリブラーは
・「いつどんな時にどんなドリブル突破をするべきか」を理解していて
・その状況を実際に認知でき
・その状況にあったプレーを即座に実行できる
・チーム状況や試合状況による違いにも対応できる
という能力の違いが大きいと予想。

よくある練習として、
・コーンやマーカーを使ったボールタッチやフェイント練習
・試合を想定せず周囲に相手も味方もいないただの1対1の練習
・ドリブル突破をしましょう、という状態からスタートする練習
があるが、このような練習では上記の能力は身につかない。
強いて言えば「実行する際のボールコントロール力」だけがこの練習で向上する。
と、ここまではよく言われている話。


筆者はそもそも日本では思考に問題があり、その思考がドリブラーが生まれない大きな原因の一つだと思っている。
日本の育成年代、もしくはトップでも、ドリブル突破自体が目的になりがちだし、基本的に自分の結果のための突破になりがち。
筆者が子供によく言っている「どんなプレーもチームを助けるものでなければ意味がない」ということがわかっていない選手が多い。

そりゃそうだ。幼少期からそうやって育てられている選手が多いんだから。
・ドリブル特化練習ばかりでドリブルで抜けるかどうかにしか価値が無いと思わされる
・サイドでは常に「仕掛けろ」と言われる
・相手と向かい合ったら「勝負」と言われる
・3人に囲まれてカバーもいるのに、そこにドリブルで突っ込んで行ったら「ナイス」と言われる
・パスをしたら「パスで逃げるな」とか言われちゃう
・コーチの評価も、子供内のヒエラルキーも、親の満足度も、「ドリブル突破が強いかどうか」が大きく影響する
・味方を押しのけてでも突破を仕掛けてゴールを決めれば高評価、例えDFでもゴールもアシストもなければ低評価もしくは無関心
・テレビでも個の力=ドリブル突破と思わせるような内容ばかり

こんな環境ばかりだもんね。
ドリルとかドリブル特化の練習が多いチームは特に当てはまるはず。というかそういう思考だからこそドリブル練習が多いんだと思う。
結果的に「ボールを持ったらとにかくドリブル突破を仕掛けることが正解。仕掛けないやつはビビリ。抜けなかったらさらにドリブルの技を鍛える。」みたいな思考に育てられちゃう。
ドリブル突破をするべき状況だったかどうかなど全く考えない。
周囲の状況や気持ちなどは全く理解しようとしない。
「自分で行けるだろ!」という謎の怒声がそういう思考を育てる。
それを言う人に「なんで自分で行った方がいいのか?」と質問してもきっと「そうしないと個の力が伸びない」とか言うんだろうな。
判断力という部分でむしろ個の力を落とすことになっているとは気づかずに。
そういう人はボールを持っている時しか評価できないから、「ドリブルが一番大事」みたいな根拠の無い価値観を押し付けて、自分が評価しやすい部分だけで満足しているんだろうね。
そして一丁前にパス練習とかツータッチロンドとかするんだよ。試合ではドリブル強要するくせに。
おっと話がそれた。

そしてこういう環境で育ってきた選手達は自分がゴールする(目立つ)ためのドリブル突破しかできなくなっていく。
そして周囲を見て状況を判断する能力の劣化と同時に、サッカーがチーム対チームのスポーツだという感覚も失っていく。
結果、
・目の前の相手を「どっちに抜くか」ばかりに囚われて、その後がどうなるかを想像できない
・状況が見えていないためパスなどの選択肢が無く、突破一択になってドリブル以外の駆け引きができない
・1対1ばかりで相手の守備組織を抜き去るための理解と経験が少ないため、1対1以外では突破できない
・スペースが無くて相手も十分に準備が出来ているような場面でも強引に突破を仕掛けてしまう
・味方が良い位置に立っているのに、そこに向かってドリブルをしてお互いのスペースを潰してしまう
・速攻の場面でよりゴールに近い味方がフリーでいるのに、自分のところの1対1で時間を使って相手の帰陣を助けてしまう
・ゴール前でクロスに合わせるのが上手いFWが待っているのに、中にドリブルをして行ってしまう
・「ボールを持ってからがサッカー」で育って戦術的な理解も乏しいため、味方の動きを理解できず、作ってもらったスペースを活かせない
・自分がボールを持った時の活躍しか興味がないから、チームを助けるポジショニングを理解しないため、自分自身が突破しやすい状況も作れない

というような現象が起きる選手になり、練習での1対1は上手くても試合の11対11の中ではそのドリブルを発揮できない選手になってしまう。
現高校生にもこういうチームメイトがいるんじゃ無いかな?もしかしたら自分自身がそうかもね。(日本代表にも当てはまる選手いるんじゃないかな?)

ということで、ドリルとかドリブル特化のTRを重宝する思考を持っている日本では
・「いつどんな時にどんなドリブル突破をするべきか」を理解していて
・その状況を実際に認知でき
・その状況にあったプレーを即座に実行できる
・チーム状況や試合状況による違いにも対応できる
という能力が育ちづらいためにドリブラーが生まれづらいと予想。

上記は原因の一部で、あとはフィジカル的な能力の育成が下手とか、育成年代のドリブラーは恵まれたフィジカル能力に頼ってる部分が多いからだとか、ゾーンの守備(特にカバー)が下手だから1対1の相手を抜く能力しか育たないとか、チーム対チームという感覚がない状態で育ってきたからドリブル以外のプレーが下手すぎて使ってもらえないとか、他にも色々あるかもね。


ちなみに、少し巻き戻って
”そしてこういう環境で育ってきた選手達は自分がゴールする(目立つ)ためのドリブル突破しかできなくなっていく。そして周囲を見て状況を判断する能力の劣化と同時に、サッカーがチーム対チームのスポーツだという感覚も失っていく。”
という部分。
「もっと自分の結果を出さないと」とか「ゴールして数字でアピールしないと」とか言ってる日本代表の選手もけっこういるでしょ?
「チームの勝利に貢献すること」が何よりもアピールになるはずなのに、自分の数字にしか目が向いてないからね。
代表クラスでもそういう環境で育ってきたんだろうなと推測してしまう。
そして日本での育成環境ではそういう個人の結果みたいなところばかり見られて育ったんだろうね。
でもきっと海外の監督達は「チームの勝利に貢献できるか」しか見てないし、海外の選手もそれしか考えていないと思う。
「数字でアピール」って言葉を海外の選手から発せられたところを見たことないし。
そういう思考の違いから育ち方も変わってくるんだろうね。
「自分の数字が大事」思考から抜け出せなければ、日本からドリブラーが生まれないどころか、欧州でプレーできる日本人選手自体が減っていくかもね。


終わり

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