インドカレーのすすめ
インドアを極めた私なのだが、どうしても足を運んでしまう場所がある。インドカレー屋さんである。
インドカレー屋さんは、私の中では異様な場所なのである。文字や色でごちゃごちゃの店構え。入るや否や聞こえる片言の日本語。少し薄暗い証明。壁に貼られた手作り感丸出しのメニュー表。見た事の無い地図。不思議な絵。田舎の家にありそうなテーブル。狭い店内の割に人数の多いインド人(とみられる)店員。店員同士で話す時は現地の言葉を使い何やら楽しげに話している光景。何故か出てくる頼んでいない料理。日替わりメニューのぎこちないカタカナ(カワイイ)。やっぱりインドカレーは美味しい。
なんだか気分がツーーーって、
ツーーーーーーーーーーーーーーーって
一直線の感じの時だったり、どんよりしているときはいつも1人でインドカレー屋さんに直行する。
疲れ切っていたある日の私も、やっぱりインドカレー屋さんに立ち寄った。インド人(とみられる人)たちのあたたかい歓迎ムードの挨拶。これだ、これを求めている。ありがとうありがとう。
まずインドカレー屋さんでぶつかる壁がある。注文だ。これは私のコミュ力の問題ではない。と信じたい。
「(メニューを指さしながら)Aランチで、あ、あとジンガマサラってなんですか?」
『エ⁉️』
「このカレーです」
『チョトカライ‼️‼️』
「じゃあこれで」
書いていて思ったが、こんなものは壁では無いかもしれない。私はそれがなんだか嬉しいのだ。試練を乗り越えた先のインドカレーは、格別だと知っているから。なんとかかんとか頼み終えたと思うと、スピーディーに熱々のナンとカレーが出てくる。どこのインドカレー屋さんに行ってもハズレのない味、これが沁みるのだ。
ポテトが大好きなので、あればだが必ずポテトも頼む。インドカレー屋さんのポテトはたまによく分からないスパイスがかかっていることがある。これが嬉しいのだ。しかも、アツアツ(偶然かもしれないが)。
私はナンを毎回おかわりする。これまたインドカレー屋さんの醍醐味である。インドカレー屋さんの話をしたら大体の人がナンのおかわりの話をするだろう。勧めてくる店員さんいるよねーみたいな。店内で私ひとりに謎の緊張が走る中、テーブルに水平なのではぐらいの勢いのなさで手を挙げる。大抵私はオドオドしているので忙しくしているであろう店員さんたちには気付いてもらえず、「アッアノゥ…アノアノ…」と、インド人店員さんと張り合えるレベルの片言のか細い声を出す。「ハイー」と店員さんがやってくる。
「ナン、1マイ!!ください!!!」
「1マイで大丈夫デスカ?半分デスカ?」
な、なんと。半分なんて選択肢があったのを知らなかった。私は咄嗟に
「半分デス」
と呟いた。すると、またもスピーディーに熱々のナンが出てくる。ありがとうありがとう。必ず満腹になれる場所、インドカレー屋さん。
私は、お腹も心も満たされ、ここに来てよかった…といつも心から思うのだった。
これを書いている間にも、インドカレー欲が抑えきれなくなったので今日のごはんはインドカレーにしようと思う。