朝目が覚めたら……なんてね
DEZERTの曲はたまに独り善がりで、でも聴いてる人に勇気と元気を与えてくれるような、
そんなバンドだと僕は思っている。
「デザートの楽しいマーチ」では
と、一見聴くものを突き放しているも思えるが、最後には「今日も生きてくれててありがとう」と曲を締めくくり、リスナーの暗い気分に寄り添い、肩を貸してくれるような歌詞がVo.千秋氏の特徴であり、かつ楽曲はメロディアスでポップな曲調が多く、一度聴いたら耳から離れないような印象深い曲ばかりである。
また、ライブでのMCは冗談を混じえつつ、時にダークで時に現実的であり、思わず息を飲む言葉も多い。僕が肝に銘じている「V系を復興ではなく継続」はV系って知ってる?公演にて放った千秋氏の言葉であり、この先もずっと掲げていく座右の銘、のようなものだと思う。
僕がDEZERTで一番好きな曲は「Black Hole」収録の「白痴」で、ひまわり超会議にて生演奏(白痴のライブ演奏はジャムセッション形式から入るイントロが多い)を聴けたときは感動のあまり涙を流してしまったほど好きだ。
白痴の全体的なコード感、坂口安吾氏の同名の小説を彷彿とさせるような、どこか切ない歌詞が心に刺さり、ラストサビの千秋氏のエコーのかかった叫ぶような歌い方がより一層この曲に魅力を与え、一日に何度か必ず聴くほどDEZERTの中では特にお気に入りの一曲だ。
「Trueman」では失敗で味わう苦しみ、自分自身に立ち向かう勇気、それを与えてくれる力強い歌詞とサウンドが特筆すべき点であり、全体的に「Black Hole」の収録曲は既出の音源と比べる、ますますDEZERTならではの「ギターロック」っぽさや「暗闇の先に見えた希望」の尊さを表現したものが多く、一方ラストナンバーの「I'm sorry」では
という、どこか不安感のつきまとうやるせなさ、人間の終局的な弱さを歌った曲で締めくくられる。こういった希望と絶望の両面をみせることによって、リスナーを決して飽かせることなく、解釈を1人それぞれに任せることによりひとつの作品そのものが完成するものだと僕は思う。いつかいろんなサウンドの曲を作れるようになって、DEZERTのようなさまざまなジャンルを取り入れたアルバムを作りたいので、日々の研究や鍛錬を怠らずに前を向いていきたい。