Bad Things/12
【episodeジュン〈2〉両翼】
ユカリの隣でソファに浅く腰をかけ、オーディオから流れる歌声に耳を傾けていた。そのメロディーに喚起される悲しみと、脳裏浮かぶミツキの姿。けれど、この曲をミツキと聴いた記憶はなかった。
「これ、どこかで聴いた気がする」
僕がそう言うと、ユカリは「うちだよ」と答えて膝に置いた小さなバッグを開ける。
「大学のとき。ジュンは半分寝てたかもしれない。失恋パーティーの日に聴いたんだ」
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