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6.アイスクリームはキープで コンビニでガリガリ君とハーゲンダッツを買い、ヒロセさんの車…
7.愛は痛いもんだ 店長と一緒にヒロセさんのマンションを出て、そっとスマホを確認すると、…
8.友達とかプライバシーとか 彩夏の部屋にいた”友達”は、切れ長の目をした、中性的な顔つ…
9.離婚届は 「圭、何時に出る?」 「何時でも」 圭はのそっと立ち上がり、緩慢な動作で身…
10.学祭前夜に 十月、最後の金曜日。街路樹はすでに色づきはじめていた。 近づく冬から逃…
11.左手の傷を隠す 深夜の国道を、海岸に向かって車を走らせた。大学からほど近い場所で、彩…
12.そんな時代じゃないから 大学祭一日目。 目を覚ますと、外は気持のよい秋晴れだった。山は紅く色づきはじめている。 「千尋、そろそろ起きんと、お昼になるよ」 窓を開けると、祖母が玄関先からこちらを見上げていた。両親と兄の車はなく、三人とも出かけたようだった。父の会社はイベントの企画や機材の貸し出し、消耗品の販売を行っていて、この時期はいつも忙しくしている。 台所のテーブルには目玉焼きが置かれていた。ガラス戸を引いて居間をのぞくと、祖母がソファに横になってい
13.アウティング? 大学の正門に着いたときには、どんよりした雲が空一面に広がっていた。 …
14.講義室は空いてない 文学部棟前の広場まで来ると、ずいぶん人通りは少なくなった。広場の…
15.知らないほうがいいこともあるけど 圭とわたしは空き教室を探すのをやめ、ダンサーのいな…
16.今夜は「happy icecream」 大学祭でのあれこれで落ち着かない気分のまま、わたしはうまし…
17.罪悪感を越えて 遠くで啓吾さんの声が聞こえた。本当はすぐ近くだったはずだ。 煙草の…
18.雨の夜に夢を見る 美月さんの住むシェアハウスは、二階建ての二世帯住宅だった。 玄関…
19.構ってほしいから ザアッと雨が吹きつける音がした。見慣れない天井。ぼんやりとくぐもった音は遠雷のようだ。 あまり眠れなかった。瞼が重く、体は鉛のようで立ち上がる気力がない。布団の中で丸まると、廊下からガチャとドアの開く音がした。足音が近づいて来る。 「千尋ちゃん、起きてる?」 なんとか体を起こし、襖を開けた。 「おはようございます、美月さん」 「おはよ。思いっきり寝起きね」 いつから起きていたのか、美月さんはスッキリした顔をしていた。昨夜の酒は少しも