あんスタ!!白鳥藍良考~天然アイドルと養殖アイドル~
※あんスタ!!メインストーリー第一部が完結した直後ぐらいに書いた文章を発掘してきたものです。書き直すのが面倒なのでそのまま載せますが、第二部が始まったいま読むと多少おかしな部分があるかもしれません。あしからず。
あんさんぶるスターズ!!メインストーリー完結おめでとうございます。なかなかパンチの効いた展開が続きましたが、無事に天城兄弟の笑顔にたどり着くことができてほっとしました。
メインストーリーは完結しましたが、ズ!の時はメインストーリーが終わってからが本番のようなところがあったので、きっとズ!!も同じなんじゃないかな~と思っています。今後の展開も楽しみです。
さて、キャラクターへの印象もこれからどんどん変化していくだろうと思いますが、ズ!!からの新キャラクターである白鳥藍良について、メインストーリーを読み終わった時点で思ったことをまとめておこう、というのがこの記事の趣旨です。
響きがかっこよかったので「白鳥藍良考」などと言ってみましたが、そこまで深く考えているわけではないです。勢いのままに書いているので、細かい部分で記憶違いがあるかもしれません(気づいたところはこっそり修正していくと思います)。
また、あくまで個人の意見ですので、合わないなと思ったら読むのをやめてください。
それから、「白鳥藍良は天才ではない」という前提で話を進めていくので、藍良に対してちょっとシビアかもしれないです。すみません。
端緒
藍良について考え出したきっかけは、彼のある台詞でした。
「おれはあんまり、ESっていうか天祥院先輩の方針に納得できてないけどねェ」
(メインストーリー第五章 第二百十六話 Prospect)
直感的に、「いちばんESの恩恵をうけたはずの藍良が、どうしてそんなことを言うんだろう?」と不思議に思いました。
あれこれ考えて、ある程度納得のいく結論が出たので、以下につらつら述べていきます。
白鳥藍良というキャラクター
藍良は「仏日ハーフの母を持つクォーター」という設定です。小さいころに「ガイジン」と言われて周囲に馴染めなかったという旨の発言があり(髪色がピンクや水色の子もいるのに何を言ってるんだと思わなくもないですが)、「周りの子と違う(=変である)こと」を理由に嫌な思いをしてきたようです。
メインストーリーの中で、藍良が「アイドルにとって『変』は褒め言葉」と発言するシーンがあります。この発言から察するに、藍良はアイドルのことを「人と違うところ(『変』なところ)を魅力にして輝く人」と認識しているようです。
藍良は、そんなアイドルを愛することで「変」な自分を慰め、また自分もアイドルとして輝くことで「変」な自分を愛せるようになるのだと思います。
ところが、アイドルになろうとしたとき、藍良は「変」ではなくなります。
容姿を褒められるシーンはありますが、美形ぞろいのアイドルのなかで突出している(e.g.高峯翠)とまでは言われていません。歌もダンスも未熟で、経験不足をカバーできるような才能もありません。
盂蘭盆祭の舞台で、藍良は「ALKALOIDの中で落ちこぼれは自分だけ」という気付きを得ます(あくまで本人の認識です)。そこから、「未来のアイドルを守るために努力する」という、前向きだけれど少し危うい思いを抱くようになります。
アイドル生産工場とは何か
紆余曲折を経て、MDMである程度の成果を出して解雇を免れ、藍良はALKALOIDの仲間たちとともにアイドルとしての人権を取り戻します。
この「ある程度の成果を出した」のは、本人たちの努力に加え、ESの仕組みが上手く機能した結果であることがストーリー中で言及されています。
「アイドル生産工場」と揶揄されるESの仕組みですが、構想自体はズ!のメインストーリーで英智が語っていたところから変わっていないようです。
個人を放し飼いにするのではなく、全体に投資し、システムを形成する。完成されたシステムは、どんな天才的な個人をも凌駕する――というのが英智の持論でした(詳細はズ!メインスト83話で)。
ここから個人の意見が入ってきますが、この「工場」でアイドルが生産されていくとして、材料はなんでしょうか。手当たり次第に人を捕まえて、アイドルに加工して世の中に送り出すのでしょうか?
おそらく違うでしょう。材料は、「アイドル志望の少年たち」です。そして、きちんと機能するシステムの中でなら、才能があろうとなかろうと彼らはアイドルになれるのです。
いつ現れるかわからない天才に業界の命運を委ねるのではなく、適切な教育と訓練によってコンスタントにアイドルを生み出す。それによりアイドル文化を強くして、高みに押し上げる。
そのために用意された、才能がなくても意欲があればアイドルになれる場所。それが、「アイドル生産工場」もといESの最終目標であると思います。
なりたい自分となれた自分
才能はないが意欲はあるアイドル志望の少年――まさに藍良のことです。そして、工場生産型アイドルの第1号であるALKALOIDにおいて、ほんとうに落ちこぼれだったのは藍良だけです(と本人は思っています)。
なので、4名の中でESの仕組みによる恩恵を最も受けたのは、やっぱり藍良だろうと思います。
ただ、この工場生産型アイドルは、藍良が愛する「『変』なところを魅力にして輝く」アイドルとは生まれの異なる存在だと言えるでしょう。便宜上、前者を「養殖アイドル」、後者を「天然アイドル」と呼称します。
藍良がなりたいのは「天然アイドル」ですが、実際になれたのは「養殖アイドル」です。そして藍良には、一彩やマヨイや巽と違って、「天然アイドル」になれるポテンシャルはありません(と本人は以下略)。
藍良はこの葛藤を上手く処理できておらず、だからこそ自分が恩恵を受けたはずのESに対して生理的嫌悪感を抱いてしまうのだ――というのが、当初の疑問に対する今のところの結論です。
結局どちらがいいのか
「天然アイドル」になれるのは運と才能に恵まれた一部の人間だけですが、だからこそ夢があります。
「養殖アイドル」には夢がないように思えますが、愛さえあれば才能のない人間でもアイドルになれます。
どちらがいいかはその人の立場によって違うでしょうし、結局は好みの問題です。
ただ、巽とマヨイが言っていたとおり、「どんな生まれであろうとも、舞台上では平等に輝けるアイドル」なので、「みんな違ってみんな良いと、誰もが思ってくれるような未来」に辿り着ければいいなと思います。
蛇足・新キャラ8人はどちらに該当するか
せっかくなので、新キャラ8人は「天然アイドル」と「養殖アイドル」のどちら派であるか、また本人はどちらに該当するのかを考えてみます。あくまで個人の意見です。
天城一彩
メインストーリーを通して「アイドルとは、何だ?」の答えを探していたので、天然と養殖のどちらが好きかを考えられる域には至っていないと思います。本人の能力的には天然アイドル。
白鳥藍良
上述のとおり思想的には天然アイドル派ですが、本人は養殖アイドルです。
礼瀬マヨイ
上で引用した台詞のとおり、どちらか一方が好みということはなさそうです。本人がどちらにあたるかも判断がつきませんが、コーチとしての能力で養殖アイドルを生み出すのに一役買っています。
風早巽
マヨイ同様どちらかが好みということはなさそうですが、HiMERUから断片的に語られた過去の行動は、才能に関係なく誰でもなれる養殖アイドルとの親和性が高そうです。同じくHiMERUの言によれば、本人は天然アイドル。
天城燐音
彼が天然アイドル派であることがメインストーリーの騒動が起こった一因である、と言っても過言ではないでしょう。本人については「自分を天然アイドルに見せるのが上手い」という印象。
椎名ニキ
マヨイや巽とは違う意味で、どちらかが好みということはなさそうです。アイドルも職業の一種と捉えていそうなので、養殖アイドルに対する嫌悪感なんかもなさそう。本人は生粋の天然アイドル。
HiMERU
才能のある一部の人間が成功できる特待生制度を肯定しているところから、どちらかというと天然アイドル派に思えます。本人がどちらであるかはわかりません(そもそも本人とは?)。
桜河こはく
自由であることや仲間への思いは語られていましたが、アイドルに対するスタンスはいまいちわからなかったというのが正直なところ。本人の力量についてもあまり描写がないので判断つかず。