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産業廃棄物のお姫様 あやめ外伝 あやめ語り 1

あたしの名前は四ノ宮あやめ。

母親と思いたくもないあの女と2人暮らしだけ最近はいつもタカヤという男がやって来る。
その時間は家から放り出される。
パパとあの女が離婚したのはあたしが5年生の頃。
パパと一緒に暮らせると思っていたのに
あたしは子供だからわからないけどあの女が金が欲しい事を理由にパパからシンケン?を奪って外ではシングルマザー気取りをしていたが
あたしの面倒なんか見たことがない。
あの女たちが食い散らかしたゴミの中から新しい物を食べて過ごしてた。
暴力は振るわれたことがないけど完全に放置された子供だった。その頃からお風呂にも殆ど入ってないし服もサイズが合ってないし髪も伸ばしっ放しで不潔な子だったから学校に行くとばい菌扱いされるので行かなくなった。
白い目で見られて孤立していた。学校は給食だけが楽しみだったのに。

唯一アパートの2部屋隣の森本のおばちゃんがあたしが外に出されてると家に入れて夕飯の残り物をくれたりお風呂に入らせてくれたけど、おばちゃんはコンビニで働いていたので毎日同じような時間に家にいる訳じゃなかった。
森本のおばちゃんの家にはあたしより4つくらい年上のお姉ちゃんがいるんだけどちょっと怖いから話したことはない。見かけても挨拶する程度。

あたしはすごく人見知りだし声も小さいしどもるので喋るのが恥ずかしい。
普通に喋れるのはおばちゃんだけだった。

時が経ち学校に行ってなくても勝手に中学生になる。

でもあたしには制服すら買って貰えないから森本のおばちゃんがお姉ちゃんが着ていた制服と使ってた学生カバン、スポーツバッグ、全科目置いてた1年生の教科書をあたしにくれた。

『全部お古だけど体操服くらいは新しいの買おうか?加奈子運動部だったから汚くて。』

と、言って長袖と半袖の体操服を2着ずつ買ってくれた。

「お…おばちゃん…いいの?」

『いいの?じゃなくて子供は「ありがとう」だけでいいの!これだけ揃えば学校にも行けるでしょ?』

「うん…おばちゃん…ありがとう。お姉ちゃんにも…」

『加奈子はツーンとして見えるけどあやめちゃんの事ちょっと気にしててね。きっとあのままじゃ中学に行かせてもらえないかもって言って中学の教科書3年分全部置いてたのよ!ビックリしちゃったわ!』

「え…。うれしい…。」

お姉ちゃんがデザインに飽きて買い換えて要らなくなったペンケースや文房具も揃えて入っていた。お姉ちゃんの使い古しだなんて思えないくらいキレイだった。
中学に行けるなんて思ってもなかったから嬉しかった。
だって文房具も教科書も全部そろってるんだよ?
でも中学の勉強なんてわかるのかな?あたし5年生になる前からよく学校休んでたしついていけるのかな…でも学校には行きたいなぁ。

今日はタカヤが来てない…。
家に入れるかな?
あたしはそっと鍵を開けて部屋に入った。
相変わらずゴミだらけ。足で道を開けないと何か踏みそう。
よくこんな部屋にずっとこもっていられるな。煙草臭い。

「ママ…森本のおばちゃんから中学の制服もらった。」

『あっそ。じゃあ買わなくていいわね。助かるわ。裕二(パパ)にはあやめは聖セント女学院に入ったから制服は50万以上かかるって言って振り込んで貰ったけどタダで済んだわ!あっはっは!今度タカヤとパチンコでも行ってこようかしら!』

顔も見ずにゴミの中で煙草を吸っている。火事になって死ねばいいのに。

「あの…」

『何よ?テレビ見てるのよ!話しかけないでくれる?あ!そうそう!アンタも中学生になったんだから自分の事は自分でしなさいよ。これからは自分の身体でも売って金貰ってママに全部渡しなさい。今まで育ててやったんだからそのお金をママに全部返すのよ!中学生になったらみんなそうしてるわ。』

「か…らだ?うる?何?」

毎月何十万とパパからお金貰った話はするけどあたしにお小遣いすらくれたことなんてないし使いっ走りだけさせて何も与えてくれないのにこの女に返すお金なんて1円もないしみんなが中学生になったら家にお金を渡すなんてウソに決まってる…

「何売るの?」

『そんなことも知らないの⁉アンタくらいの女の子がその辺で制服着て立ってたら勝手におっさんが寄って来るからお小遣いもらいなさいよ。その金を私によこせばいい話じゃないの!ほんっとグズね!アンタは!1日に5人以上は捌けるでしょ?』

「やだ…それってなんかいやらしい事するんでしょ?…イヤ!そんなの!」

『あ!アンタ初めてだし顔もいいし胸も大きいからいい値段で売れそうだわ!立ちんぼはもっと後でいいわ!タカヤの知り合いにでも聞いてもらおうか?金払いのいいおっさんいないかしら?処女だしポンと100万くらい出してくれるかも!早速タカヤに電話電話!』
この女が急にテンションが上がる時はいつだってお金の話。

「いやっ!何のことかわからないけど気持ち悪い!」

あたしは気分が悪くなってアパートから飛び出て近くの公園のベンチに座った。

このままあの家に居たら何をさせられるかわからない…
急に走ったからかな気持ち悪いしお腹も痛い。
血が出てる…まただ…あたし病気なの?
脚まで流れて来たよ…6年生から定期的に来るし痛いし…苦しいお腹が痛い頭が痛い…
誰か助けて…あたしきっと病気なんだ…きっともう死んじゃうんだ…

…おばちゃんとお姉ちゃんが一緒に出掛けるのを見かけたからアパートに戻ってもあの女かタカヤがフラッと来て変なこと言われるだけ。
こんな血がついてたら余計に何か言われそう。

そう言えば最近タカヤの目つきがいやらしい。

『あやめのおっぱいどこまで育つのかな?今何カップあるの?ねぇ?ノーブラいいねぇ~。』

ってこの前言われたから気持ち悪い。
【かっぷ】って何か知らないけど気持ち悪い。胸を見てる事が気持ち悪い…

学校…明日から始まるけど小学校も4年生くらいから休み始めて5年生で全く行かなくなったし…
ジロジロ見られそうで嫌だなぁ。
またバイ菌とか言われちゃうのかな?
この血どうにかしないと…
前は1週間くらいで終わったけど次は治らないかも…
森本のおばちゃんはパパが居なくなって学校で汚いって言われて行かなくなってから引っ越して来てあたしをお風呂に入れてくれたり加奈子お姉ちゃんの小さくなった服をくれたりしてくれたから今のあたしはもう汚くないけど学校に行くの怖いなぁ…でも給食は食べたいなぁ。

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