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産業廃棄物のお姫様 あやめ外伝 龍一との出会い 2

『来い!早く!』
豚があやめの腕を引っ張る。

「痛い!」

『お前さ、ちょっとかわいいから許してたけどさ…今日の失敗であのコンビニで万引きできなくなったから許せねぇ。俺等まで覚えられたかも知れねーよな!ふざけんな!今日の酒とつまみどうしてくれんだよ!』
豚が思いっきりあやめの顔を殴って来た。

「欲しけりゃ自分で買いに来いって店の人にわれた。だからもうあたしは万引きしない!」

『生意気な事言いやがって!おいお前らもみんなでコイツの事やっちまおうぜ!』

何故だか仲間だったはずの女からも髪を引っ張られたり叩いたり蹴ったり…
こんな場所にいたらいつか殺されるんじゃ無いかとあやめは感じてきた。

すると大きな声で豚が

『アヤメが今日ゴム盗るのしくじったけど…今からアヤメを犯そうと思いま~す!どうせ生理もねぇんだろ?そのクセチビの癖にアヤメってすげ〜おっぱいデカいから揉んでみたかったんだよなぁ〜!貧乏だからいつもノーブラだし掴み放題だぜ!』

「あたしの胸を…掴む??」
(そう言えばタカヤも胸がかっぷが…って言ってた…なんかわからないけどいやらしい!触られたくない!)

その時、豚の女が喚きながらカバンであやめの顔を何度も殴打して来た。学生カバンの角を使って。

『ちょっとなんなのよ!ちょっと可愛いからってアタシのヨシノリに色目使うなんて!』

「ヨシノリって誰?色目って何?痛い!」
あやめは今起きている状況が掴めなかった。
(口から血が出て鉄の味がする…どうしてこんな目に遭わないといけないの?
因みにヨシノリは豚の本名だったようだ)

『ヨシノリをいやらしい目で見てたんでしょ!ふざけんじゃないわよ!』

(いやらしい目??あたしが?いやらしい目で見てたのは豚の方なのに何であたしが…)

その時突然豚の横に居たゴリラがあやめの胸を思いっきり掴んだ。
『うひょー!デケェー!何カップだよ!ヤらせろよ!」
覆い被さって来た。

「痛い!何すんだよ!触んじゃねぇよ!」

あやめは身の危険を感じたのでゴリラに何度もバッグで叩いたし何度も蹴った。その1回が股間にクリティカルヒットしたらしく急に大人しくなったのでその隙に荷物を持って逃げた。

多目的トイレに籠ってたら見つかる…
見つかったらまた襲われる…怖い…
胸…掴まれた…すごく嫌だった…

龍一に電話…恥ずかしい…
家に帰る?それも無理…
誰も居なければいいけど。

さっきのコンビニ…龍一と森本さんがまだいる可能性が高い。あのコンビニには絶対豚たちは来ない。安心出来る場所はそこしかない。

あやめは夢中になってコンビニまで走って行った。そしたら森本さんと龍一がレジに立って話していた。
龍一があやめを見るなりビックリしたような顔をしている。
『あやめ?顔が浮腫んでる?大丈夫かよ!』
大きめの声で心配して来た。

「あ…ぅん…」

『ちょっと?あやめちゃん?怪我してる?どうしたの?』
森本さんはあやめの顔を覗き込んだ。
あやめは森本さんの顔を見て勝手に涙が出ていたことに気付いた。

「おばちゃん…あたし…」

『なんか事情がありそうね。さっき龍一さんから色々聞いたわ。前の事もあるし事務所待っててもらおうかしら。龍一さん、さっきも話したけどこの子色々と訳ありで…』

『あ、さっきも色々話されてましたよね。家庭が複雑だとか…ってかさっきこんな怪我してなかったよな?前髪で顔が半分隠れてるのはさっきもそうだったけどなんか隠してる?』
龍一も顔を覗き込んだ。

「んん…」

『唇も切れてるじゃん!大丈夫かよ!森本さん、事務所で手当てしてあげてくれる?あと30分で上がりだし事務所で話してていいよ!あやめはさっき事務所行ったから知ってるよな!森本さんに話があるならしておいでよ。俺と松田さん居るから。』

『すみません。龍一さん。』

森本さんは龍一に頭を下げてあやめを連れて事務所に入った。

(龍一って何者なんだろう?おばちゃんに龍一さんって呼ばれてたし…)

『…めちゃん?あやめちゃん?何があったのよ…顔殴られてるじゃないの…目は大丈夫?あざが出来てるけど…』

「うん…」

『保険証なんて持って無いわよね?…』

「何それ?」

『…家に行けばあると思うけど嫌よね?家に行って聞いてみようか?』

「いや…」

『ところで何があったの?万引きが見つかったから不良からお仕置きとか?』

「胸を掴んでて襲いかかって来たの…
怖くて必死でここに来た。もうあやめ…何処にも行く所がない…」

『何言ってるの!放って置くわけないでしょ!ずっと前から何処に行ったのか心配してたんだから!龍一さんに聞いたけど…もうトイレに逃げちゃダメよ!』

森本さんに抱きしめられるあやめ。
さっき襲われたのが怖くてまだ身体が震えていた。森本さんの胸元にしがみついて泣いた。

『あやめちゃん、もう大丈夫だから。ウチは女しか居ないし襲われる心配はしなくていいわ。しばらくウチに居なさい。学校に行かなくていいから。ね?』

あやめは森本さんの家に泊めてもらえる事になったが今更どんな顔して森本さんに甘えていいのか…甘えていいものなんだろうかと考えた。

『学校なんか行かなくってもいいから生きてて欲しいと願ってたわ。そしたら不良みたいな姿で現れたから…なんとなくそういう道に行きそうだったけど本当にそうなってただなんて…全部あやめちゃんのお母さんのせいだけど…』

「おばちゃん…あたし…あたし…」

『ねぇ、今日龍一さんと会ったみたいね。あやめちゃんが万引きしそうになった話聞いてビックリしちゃった…捕まえたのが龍一さんでよかったわね。ここで万引きしてどんな気持ちになった?そんなに追い込まれてたんだったらおばちゃんに打ち明けてくれればよかったのに。おばちゃんも気付いてあげれなくてごめんね…』

「おばちゃん…龍一は強いの?」
森本さんのような主婦に【龍一さん】と呼ばれてるくらいだから不思議に思った。

『強いというより優しいわね。好きで万引きしてる訳じゃなかったから見逃してくれたでしょ?』

「おばちゃんは龍一の事詳しいの?あたしは…わからない…けど…友達って言われて名前と電話番号書いたカード渡された。コレで友達だって言われたの…」

『友達になったのね!だから呼び捨てで呼んでるんだ。電話してもいいって言われたなら後でおばちゃんの電話からかけてみる?』

「いいよ。恥ずかしいから…龍一って何者?」

『さぁ?本人が言わないのにおばちゃんからは何も言えることないわね。高校2年生ってことくらいかしらね?』

「どうして【龍一さん】って呼ぶの?」

『詳しく知ったらわかるわ!うふふ。』

やっぱり龍一が何者かはわからなかった。
話してる間に家に着いた。

おばちゃんの家でお風呂に入ることになった。お風呂から上がった時に

「おばちゃん…あやめ…時々お股から血が出るの。アレって何?」

『え!!ずっとどうしてたの!?』

「ティッシュ挟んでたけど間に合わないくらい出て…今もなんだ…」

おばちゃんが慌てて【なぷきん】という物を渡して来た。
これをパンツに貼り付けるらしい。
1時間置き位に交換するとか。
なんだか赤ちゃんのおむつみたい。
こんなのがあるんだ。
あやめは親にそういう話が出来なかったので
ここで初めて【生理】を知る事になった。

1か月あいつらと住んでたけど大して話しなかったから知らなかった。

(女の子は年頃になったら来るんだって。1ヶ月に1回くらいのペースで。赤ちゃんが出来る準備がもう始まってるなんて…まだあたし子供なのに。でも女の子はそうやって成長するみたい。)

今日はお姉ちゃんの着なくなったパジャマを着て今まで張り詰めた状態で寝てたけど今日はゆっくりと寝ることが出来た。


しばらくここに泊まってていいし学校に行かなくてもいいと森本さんはあやめに言ってくれた。
でもあやめにはいつかはどうにかしないといけないと思うと森本さんが仕事に出たあと部屋に鍵をかけてゲームセンターに行った。
お金さえあればおばちゃんに迷惑をかけないという謎の概念があやめにはあった。

自分のお金は100円だけ持ってたので格ゲーのところで対戦してあやめに負けたら500円もしあやめが負けたら1,000円払うことを条件に色んな相手と対戦した。
あやめは負けることがなかったから儲かるばっかりだった。お金は儲けたけどなんか虚しい。

その時に
『お前またこんなカツアゲみたいなことやってんの?』
と声をかけられた。
ゲーム機越しなので誰かわからない。

「うるせーよ!文句があるならあたしに勝ってから言いな!」

昨日急に殴打されたり胸を掴まれたり散々な目にあっていたあやめはイライラしていた。

『容赦しねぇからな』

「勝手に言ってろよ!」

どうせ負けるクセにと思っのに今までになかった焦りを感じた。
ゲームの女王からカツアゲの女王になっていたあやめは負けた事がなかった。

なのに相手がめちゃくちゃ強い。
あやめはあっけなく負けた…

ゲーム機を挟んで相手の顔を見たらそれは龍一だった。

『へっへーん!あやめが儲けた分全部俺に渡せ!カツアゲの女王様!』

「なんでだよ!?払うのは1,000円だけだ!」

『元々人様から取り上げた金だろ?痛くも痒くもないだろ!ウチのゲーセンで変なことしてんじゃねぇよ!』

「うるせーよ!お前みたいなお坊ちゃん学校の制服着てる奴に金がなくて虚しい気持なんかわからないだろう!?」

『そうだね!わかんないね!カツアゲする気も!でもカツアゲされたヤツの気持ちは今わかっただろ?ってかもうそういう事しないって約束した翌日からコレかよ!お前ウソつきなんだな!』

「違う!ウソつきなんかじゃ…」

『ウソつきじゃん!』

何も言い返せないあやめはゲーム機の前で
「お金でおばちゃんに迷惑かけたくなかったんだ…違う…ウソつきじゃない…」
っと龍一に何度も言いながら泣き崩れた。

『森本さんもカツアゲした金もらっても喜ばね〜よ!バカ…』

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