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産業廃棄物のお姫様 あやめ外伝 中学生活 8
あやめと龍一は大人の関係を持ってしまった。
あやめは事が終わってからイケナイことをしてしまったかも知れないという気持ちになった。
『あやめ…めっちゃ血が出てる…俺の身体にもついてる…。せっかくだし一緒に風呂に入ろうよ。』
龍一は幸福感でいっぱいだったのであやめを風呂に誘った。だがあやめはそれどころじゃなかった。
「イヤっ!…。」
恥ずかしいし股は痛いし血は出るし頭がいっぱいいっぱいで何が起きているのか把握出来てない。
『なんだよ!そんな言い方しなくっても。』
龍一は幸せの絶頂だったのにあやめの素っ気ない態度にムッとしながら寝室のドアを勢いよく開けて全裸のまま部屋から出た。
あやめはよく玄関のドアの鍵を開けっぱなしにしている。
例によって今日も鍵をかけてなかった。
ーーガチャーー
『あやめちゃん!さっきスイカを切ったの!持って来たんだけど…ってちょっと!どういう事!?』
彩菜が部屋に入って来た。そこに寝室の扉から一糸まとわぬ姿の龍一が出て来た。
『ちょっとアンタ…何で裸なの!?』
龍一の肩を掴んだ。
『あ…これは…その…』
とんでもないタイミングでとんでもない人物が侵入した事に驚き前を隠す事も出来ず龍一は固まって何も言う事も出来なかった。
『なんか凄い血塗れだけど…あやめちゃんに手出したんじゃないでしょうね?』
『え…あ…うん…。』
生まれたての小鹿のようにプルプルしている龍一。
『何やってんのよ…ちゃんと避妊はしたんでしょうね?』
呆れながら聞かなきゃいけない事は聞く彩菜。
『…外に出したから…大丈夫…だと思う…』
『はぁ!?バッカじゃないの!?そんな都市伝説本気にしてんの!?外だろうが何処だろうが妊娠する時はするの!後でアフターピル貰いにあやめちゃん連れて病院に行くから!サッサとシャワーで血を流しなさい!』
彩菜は龍一が無知過ぎる事に呆れた。
寝室のドアが開けっ放しなのでコソっと覗き込んだ。あやめはベッドの上で泣いていた。
「お母さん…ごめんなさい…あたし悪い事してごめんなさい…。」
謝り続けるあやめ。
『謝る事ないのよ。悪いのは龍一だし…そもそも悪い事した訳じゃないわ。私こそ妙なタイミングで入って来てごめんなさいね。』
彩菜よりあやめの方が気まずい思いをしただろう。
『まさか…襲われたんじゃないわよね?』
彩菜の脳裏には龍一が我慢出来なくて襲いかかった事しか考えられなかった。
「違う…ちょっと怖かったけど…嫌われたくなくって…大好きだから…。」
あやめは龍一の気持ちに応じたい一心だった。
『ちょっと強引に迫られたの?無理しちゃったから泣いちゃったの?』
「うん…だってこれって大人のすることなんだよね?リュウに好きって言われたから…だけど凄く痛くて生理じゃないのに…凄く血が出て…あたし病気になったの?」
『女の子はね、初めての時痛くなったり血が出たりするの。個人差はあるけど当たり前の事だから心配しなくていいわよ。』
少し身体が震えている。やはりあやめはまだ子供なんだと彩菜は思った。
「でもさっき病院にって…。」
『あれは龍一が避妊してないから…。お薬貰わないと妊娠しちゃうかも知れないから。』
「妊娠!?」
あやめは驚いた。
『そうよ。もし今日の出来事で妊娠したらあやめちゃんどうする?』
「やだぁ!あたしまだ子供だし赤ちゃんなんて産めない!怖い!」
『そうでしょ?だからその為にお薬貰いに行くの。』
「その薬飲んだら赤ちゃんが出来なくなるの?」
『そうね。緊急で防ぐ為のお薬なの。あやめちゃんも早くお風呂に入ってキレイに血を流してから病院に行きましょ。…ってか龍一はいつまで入ってるのよ!』
彩菜が風呂越しに龍一に文句を言ったらパンツを寝室に置き忘れたままだから出れないと言うので脱衣所にパンツを放り込んだ。
さっき全裸だったクセに何を恥ずかしがっているのやら。
龍一が風呂から出て来たので彩菜はミノムシ状態のあやめに寄り添って風呂場に連れて行った。
そして彩菜はタオルケットを洗濯し始めた。
その後龍一に言いたい事はいっぱいあったけど手短かに話した。
『泣いてたけど…ちゃんと合意の上でしたのね?』
『…ちょっと…強引だったかも…あやめ、まだ何も知らなかったみたいだし…』
改めて考えたらかなり強引だったかも知れないと反省した。
『そこは後でちゃんとあやめちゃんに謝りなさい。済ませちゃった事をどうこう言うつもりはないけど…あやめちゃんが大事ならちゃんと避妊はしなさい。私も早くに子供産んだから言えたことじゃないけども…あやめちゃんは12歳なの。まだ早過ぎるわ。好きなのはわかるけどそこはちゃんとしなさい。わかったらもう自分の部屋に戻りなさい。』
彩菜はこの2人が好き合っているのは慶から聞いていたが…いきなりこんな事になってその現場に出会すとは思いもしなかった。
あやめは純粋だけど龍一がそうじゃない事を考えてなかった。
あやめが風呂から出て下着姿で脱衣所から出て来てリビングのタンスに向かって横切った。
「服着なきゃ…」
胸元にキスマークが幾つかつけられていたのを彩菜は見逃さなかった。
あやめが着替えてから車で産婦人科に行きドラッグストア内にある処方箋薬局でアフターピルをその場で飲ませてあやめを処方箋コーナーのソファに座らせて待つように伝え彩菜はドラッグストアの中で買い物を済ませてあやめの元へ戻って来た。
そして車に乗って吉澤邸に帰って来た。あやめの顔色が悪くなっていたので彩菜は一緒にあやめの部屋に着いて行った。
『…もしかして薬の副作用かしら?』
彩菜はあやめにリビングのソファーに寝かせてタオルケットを上にそっとかけた。
「お母さん…なんか急に気分が悪くなって…」
『薬の副作用かも知れないわね…。寝ながらでいいからちょっとだけ聞いてもらってもいいかな?』
彩菜はあやめに小さな箱を渡した。
「なぁに?これ?ポッキーの箱?」
『コンドームよ。今度龍一が襲いかかって来たらコレを使わないと絶対しない!お母さんとの約束だから!って印籠にように見せなさい。』
「…コレってどうやって使うの?」
『コレは男の子が使う物だからあやめちゃんは覚えなくていいわ。コレを男の子が使うと赤ちゃんが出来ることを防げるの。』
「そうなんだ…赤ちゃん出来るのなんて考えられない!…もうしたくないなぁ。痛いし恥ずかしいから…」
彩菜にとってはしない方がいいしあやめも望んでいないようだが龍一はそういう訳に行かなさそうなので対策としてコンドームを用意させた。
次第にあやめがぐったりして来たので洗濯したタオルケットを干してから彩菜はあやめの背中をさすった。少し気分が良くなったのかあやめは寝息を立て始めたので彩菜は母屋に戻った。
一方龍一は蓮二に彩菜が最悪なタイミングで部屋に入って来るわ裸は見られるわ避妊の事を注意されるわ災難だったとブツブツ文句を言っていた。
『そりゃお前がバカ過ぎる!ヤるなら言えよ!あげたのに。俺もう使わないから全部やるよ!』
蓮二はコンドームの箱をポイッと龍一に投げた。
『お前…何でこんなにいっぱい持ってんだよ!』
『男のエチケットだろうが!お前がまさかあんな都市伝説信じてたと思わなかったよ!』
蓮二にも笑われてしまった。
その時彩菜が部屋に入って来た。
『母さん!?』
2人はハモった。
『龍一…アンタ約束しても買わないかも知れないからお母さん買って来たんだからね!』
彩菜はコンドームの箱を3箱も龍一の前にドンと置いた。その時、別のコンドームの箱が横に2箱置いてあったので驚いた。
『アンタ…まさか持ってたのに使わなかったの!?ふざけんじゃないわよ!お母さんドラッグストアでコンドームだけいっぱい買うの恥ずかしかったのに!』
彩菜から怒りのオーラが出ていた。
『俺のじゃない!さっき蓮二に貰ったんだよ!男のエチケットだって。』
さっきまで童貞だった自分がそんな物持ってない事を彩菜に必死で伝えた。
『蓮二の言う通りね。これは男が出来るたった1つしかない避妊具だから。するなら使ってもらわないと。それとあやめちゃん薬の副作用でグッタリしてたわ。まだ子供だから薬が強いみたい。アンタのせいなんだからね!わかった!?あとキスマークつけるのもやめなさい!恥ずかしい思いをするのはあやめちゃんなのよ!今日はもうあやめちゃんに近寄らない事!約束よ!』
龍一に強く言うと彩菜は蓮二の部屋から出て行った。
『ちょ…母さん格好いいんだけど!』
蓮二がハイテンションになった。
『何が?』
『アホな息子の為にドラッグストアでわざわざコンドームを3箱も(実際は4箱)買って来る母さんなんか絶対いないぜ?…あんなに性に理解ある母さん何処にもいないって!普通だったら泣かれたり父さんにチクられたりしてボコボコになるパターンだぜ?母さんって他所の母さんとはやっぱ一味違うわ…そりゃ父さんも惚れるよな…。』
蓮二は彩菜を絶賛した。
『確かに他所の母さんなら発狂してるだろうな。でも父さんの耳にすぐ入りそう…』
『俺は母さんをバカにしたから父さんに注意されたけどお前は言われないだろ。父さんが高3で母さんが高1の時に俺らが出来ちゃった訳だし避妊の事は言えないでしょ。』
『でもあやめは12歳だからなぁ。アイツ何で選りに選って誕生日が一番遅いんだよ。13歳ならまだしも12歳って小学生みたいじゃん!』
『誕生日が遅いのはしょうがないでしょ!』
蓮二は諦めろと言わんばっかりの顔で笑いながら龍一をなだめた。
初めて好きになった彼女が美少女で胸が大きくてスタイルもよくて…他人に自慢したいのに12歳ってだけで変態扱いされるので誰にも話せない。
家で蓮二や明菜の前で喋るしかない。
あやめに会いに行きたいけど彩菜に寄るなと言われているので我慢するしかない。彩菜に逆らうのは怖い。
龍一の今日の行動であやめに多大な迷惑をかけてしまったので部屋に籠って反省することにした。
(はぁ…あやめ…綺麗な身体だったなぁ…白くて…柔らかくて…)
反省するどころか反芻していた…。
初めての感触だったので仕方がない。
恋愛は人を狂わせるとは上手く言ったものだ。