息子の歴史
幼児期からやけに落ち着きがなかった息子。
初めての子どもだしワケもわからず、まあ子どもはこんなもんかと思いながら、毎日ご飯の間も走り回る息子が床一面にまきちらした離乳食を拭いていた。
とにかくじっとしていない息子と2人きりで家にいると心も家も壊れるので、近所の児童館や公園に毎日のように連れ出すも、児童館ではおうたの時間は脱走してひたすら階段を上り下り。自分のテリトリーに入ってきたお友だちに他害を与えるのでとにかく目が離せない。公園では走り回っては砂を撒き散らす。その都度叱って平謝り。
児童館や公園では子どもたちを遊ばせながらママ友同士がおしゃべりしている姿を目の端にとらえてはいた。しかしとにかく息子から目が離せない私には全くそんな余裕はなく、2歳児クラスで保育園に入園するまで毎日のように通っていた児童館や保育園では、ママ友と言えるような存在はひとりもできなかった。(まあこれには私のコミュ障もあるが)
しかも息子は一度外に出ると帰りたがらないので、毎回「気軽な散歩」は許されない。日がとっぷり暮れるまでつきあうか、帰りたくないとギャン泣きして暴れるのをおさえつけて帰宅する毎日。
激戦の末ようやく2歳児クラスから入れた保育園では、おゆうぎができない、みんなと同じタイミングで行動ができない。さらにはお友だちに対して噛みつきやツバ吐きなどの他害も見られ、毎日まわりに謝り倒して枕を濡らす日々だった。
まだ道徳や秩序を身につけていない子どもはこういうものなのだ。
そう自分に言い聞かせて他の子との共通点を探すけど、息子の破天荒っぷりは頭ひとつ…いやふたつ飛び出している気がする。いや、育児は他の子と比べてはいけないって何かの本に書いてあったし、とまた自分に言い聞かせる。
保育園の先生や、自治体の乳幼児健診や保育園で、度々息子の落ち着きのなさについて相談していた。しかし「他の子よりもちょっと元気なだけかも〜。まあ就学まで様子見かな」で終了。
「え、うちの子、他の子とけっこう違うと思うんだけど…」と思うのだが、園で普段の息子の様子を見てくださっている先生や、何人もの子どもの様子を見てきた臨床心理士の先生が言うのだから、ただの私の考えすぎなのかもしれない。しかし個人的に動こうにも適切な支援の方法がわからなくて、日々モヤモヤする気持ちを溜め込んでいた。
そんな息子も年長に上がり、いよいよ就学が見えてきた。
でも息子が1年後、ひとりで登校したり学校できちんと座って授業を受ける姿がまったく想像できないぞ…。
そんなことを思っていた矢先、保育園の先生から肩を叩かれた。
先生がとても申し訳なさそうに、神妙に差し出したのは、自治体の発達支援センターのパンフレットだった。