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コートを衝動買いしたら断捨離が始まった

人に対しても、物に対しても、一目惚れというものをしたことがなかった。
そんなこと本当にあるのか?と懐疑的だったが、ついに運命的な出会いをする。

友人に誘われてインポート古着のお店に行ったときのこと。
(そういえばロングコート欲しいんだよな)と、なんとなく手にとったコートを羽織ってみた。

鏡で見た瞬間、そのシルエットの美しさに惹き込まれた。
さりげないウエストラインの絞り、完璧なポケット位置、長めに入ったスリット。
羽織って2分で購入を決めた。

あまりの決断の早さに驚く友人。
「自分で作るっていう手もあるよ?2万だよ!?本当にいいの!?」
「酔った勢いじゃないの!?ゆっくり考えて後日買いにくればいいんじゃない?」

軽くお酒を交えて食事をした後だったこともあり、友人は全力で止めにきていた。
私はいつもGUのようなプチプラブランドを着ていることが多い。
今回のコートは一般的に見ればそんなに高いわけではないんだろうけど、普段の私なら万単位の買い物は勇気のいることだ。

それでも、私の気持ちはいっさい揺るがなかった。

次の日も家で羽織ってみては、美しさに惚れ惚れした。
全く後悔はない。いい買い物をしたと思う。これが一目惚れってやつなのか。

『買う理由が安いからなら辞めろ、迷う理由が値段なら買え』とよく聞くけど、本当に欲しいものは値段ですら迷わないことを実感した。

衝動買いをしてから急に断捨離がしたくなった。
あのコートが輝いている分、他の手持ちが曇って見える。

なんかしっくりこなくて一度も着ていない服。
読みたくて買ったはずなのに、なぜかいつまでも読んでいない本。
旅行で使うかもしれないと取っておいた数年越しの試供品。
あれば便利と買った大量のタッパー。
プレゼントでもらった、香りが苦手なハンドクリーム。

あんなに物が捨てられなかったのに、不用品の見分けがつくようになった。
もったいないからと溜め込んでいた物、こんなにあったんだ。

面倒で見て見ぬふりをしていた物たちをこの機会に手放すことに。
メルカリや地域のリユースセンターを活用し、どうにもならなさそうな思い入れのある物は写真に残してから処分。

それからは不用意にお店へ行かなくなった。
100円ショップが大好きで用もなく行っては、大して欲しくないものを安いからと買っていたけど、それも一切しなくなった。
値段で買ってるだけで物に対して思い入れがないから、結局使わないことが多い。
使わないならゴミを買っているのと同じだ。だったら高くても本当に欲しいものを買ったほうがいい。

通販で買うのもやめた。
多少値は張るけど、実際に手にとって買ったもののほうが大切にするということが分かった。

断捨離のきっかけをくれた今回のコートは大切にしたい。
あのとき思い切って買ってくれた過去の私にも感謝。
いつかそのコートも断捨離の対象になってしまうのかもしれないけど、そのときはきっと、より大切なものに出会えていると信じて。

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