文学の散歩道 (BU2D-2)「にごりえ・たけくらべ」(樋口一葉) 2
(前回のつづきです)
・「樋口一葉」で一番、有名な作品は、「たけくらべ」でしょう。
「たけくらべ」は、児童用に、「一部」のみ短くとりあげて、「美しい純愛物語」のような本もあると思いますが、それは「表面」の「きれいな部分」のみをとりあげた「あらすじ」にすぎません。
「主題」は、別のところにあるのです。
「主題」は、やはり、「女性の不幸な人生」とは、
「本人」の「自由意思」の「選択肢」が得られ「ない」
事実上、「女性としての強制労働」が、「運命付けられている」といってもいいくらいの、当時の社会の仕組み。
そして、そのために「女性が不幸になってしまう」ことに対する、
「問題提起。訴え」があります。
女主人公である「美登利」は、「それに気が付いた時」には、もう、「どうにもならない環境」に置かれていました。 いままでは、早く「大人」になりたい・・・。と願っていた美登利。 しかし、「ある時期」が来たその瞬間、「現実」は、あまりに「悲しい」ものでした。 「女としての不幸の始まりが来たのです」。。。
そして、「大人」にはなりたくない・・・。と思うのでした。。。
ある霜の降りた朝、「美登利」の家の格子門の外から差し入れられていた「水仙」の作り花。
それは、あの「清く美しい幼な日」に楽しくもあり、悲しくもあった日々を過ごしてきた、男友達の「信如」からのものでした・・・。
しかし、もう、「二人」の人生は、「まったく違う別の道」を行くのでした。
いえ、その道は、「行きたい」から行くのではありません。
「生き方を、選ぶ自由がない。自分では決められない世の中」であったわけです。 悲し過ぎます・・・
特に、「女」という「性」である「美登利」のあまりに悲しすぎる、「これからの不幸な人生」の始まる直前で、この小説は終わっています。。。
(つづく)