【考えが変わる】アルウィンは収容2万人ではなかったので検証します
先日 #松本市に新スタジアムを というnoteを書いたんですが、これを書くきっかけが「アルウィンが限界にきているのではないか」と考えるようになったからなんですね。
え、J3で平均1万人を目指すと言いながら全然入っていないのにどこが限界なの?と思った方もいるかもしれませんが、むしろJ3に降格して観客が減ってしまったからこそ見えた限界だと思っています。
かつて自分は「サンプロアルウィンに知人を呼べない3つの理由」と題し、駐車場が無い、座席が無い、帰れないの3つを上げました。
しかし、コロナ禍が明けてもお客さまがなかなか増加に転じないのはほかに理由があるのではと思い考えつづけてきました。
ちなみに「カテゴリーが落ちたから観客が減ってしまった」はたしかに一理ありますが、しかしそれが当てはまるとなると、これまで来ていた人たちは「山雅」を見に来ていたのではなく「カテゴリー」を見に来ていたことになってしまい、それだと結局最後はピッチの結果任せということになってしまいます。
では何が原因でしょうか?
自分が考えている結論。
それは「アルウィンの収容は2万人ではなかった」ということではないでしょうか。
もっと具体的に言うと「アルウィンの収容は20,000人ではなくどんなに頑張っても18,000人が限界だよね」ということです。
おいおい、アルウィンって収容2万人だよね?と思っている方、全員だと思います。たしかに公表されている数は2万人ですね。
ところがこれにはからくりがあって、アルウィンに2万人入れるにはある条件がないと入らないということをご存じでしょうか?
そんなの簡単、2万人集まればいいんでしょ?と思ったみなさん。
たしかにそうなんですが、アルウィンに2万人集まっても2万人入らないんです。
どういうことでしょうか?
それはアルウィンの”座席”にあります。
まず、メインスタンド・バックスタンドの座席はすべて個席なので概ね問題はないですが、問題なのはサイドスタンド、いわゆるゴール裏です。
ゴール裏の座席って横長のベンチシートと立見席にわかれているのはすでにご存じのとおりですが、このベンチシートって(一部を除いて)13人掛けなんですよね。
実はJ1のときや多客時にも言われていたんですが、ベンチシートには13人入れないといけないにもかかわらず、実際入れてみると13人のところに13人入るわけがないんですよね。笑
言ってしまうと窮屈なのです。
そして、隣どうしとの間隔も全然異なります。
個席の幅は写真のとおり、タオマフを3つ折りにしたサイズ(約40cm)が目安となりますので参考にしてみてください。
メインスタンド・バックスタンド、さらにコーナー部分の個席は隣どうしとの間隔がある程度あるのに対し、
ゴール裏のベンチシートには隣との間隔がまったく無いんですよ。笑
それに各個人の体格もあったりだとか、それに応援する場所なのでそこまで詰めてしまうと身動きが取れなくなってしまい結果、通路にはみ出してしまうんですよね。
つまり、2万人入れるために通路をふさいでまでゴール裏に人を押し込んでいたのです。
さらに言えば、上段の立見席の場所もそうです。
ここはさらにひどくて、横に13人いれてかつ、前後2列にしないと2万人入ることにならないんですよ笑
そこまでしないといけないの?って感じなのです。
これ、緊急時など万が一何かあって通路がふさがれていて対応が遅れてしまった場合、どこが責任取ってくれるんですかね?
収容2万人と定義した施設の所有者でしょうか?
それともその収容人員通りに従って運営したクラブなのでしょうか?
そんなリスクを背負ってまでアルウィンに2万人入れなくてはいけないのでしょうか?
というより、なんでそこまでしてきたかというと、その収容の数字通りアルウィンに2万人入ると私たちは洗脳されてきたからです。
普通に考えればゆとりある座席配置で良かったはずなのに、アルウィンは2万人入るという洗脳によってここは13人入るはず、立見席は前後2列入るはず、といって無理やり押し込んできたのです。
それを続けてきた結果、当然入るはずがないスタンドへお客さまが入りきらず、バックスタンドのホーム自由席の最後列や、コーナー部分のエリアに行かざるを得なかったわけです。
それに厳密にいえばこの場所はホーム自由席ではなく立見席でもなく通路なのです。
これだと、通路で観戦せざるを得なかった人達にとってのチケットって、「ホーム自由席」ではなく「入場券」なんですよね。
ただ単に入場ゲートを通るための紙かQRコードにすぎなかったわけです。
ただただより多くの入場者数を求めてきた結果、お客さまにさらなる不便を強いることになり、結果「次の観戦はしばらくいいや」「年に数回観戦に行ければよいよね」というお客さんを量産してしまったように思います。
それに今考えたら、席つめもなんの意味があったのでしょうか。
これから来るお客にも、先に来ていたお客にも不便を強いて、さらに低価の自由席の席つめのために、多額のお金をかけて席つめのための人員を配置するなんて自分からしたらムダの一言です。
それに、2万人入らないところに2万人入れようとしていたのですから無理が生じるのは当然です。
通路に人があふれているのは席つめのやり方が甘いからと言われていたのも事実です。
そんなことをするくらいならもっと違うところに人員を配置するべきだし、余裕のある座席配置や、もしくは指定席の割合を増やすなど策はいろいろとあったはずです。
百歩譲って席つめするならゴール裏のベンチシートと立ち見席だけで十分です。バックスタンドで空いてる個席を探す席つめ要員など愚の骨頂です。
それもまさに、アルウィンは2万人入ると洗脳されてきた結果なんですよね。
コロナ禍の時はやれソーシャルディスタンスだの人と人の間隔空けろだのさんざん言われてきた中で、コロナ禍後もまたゴール裏のお客さまに窮屈な思いをさせるのでしょうか。
そこまでして今後もアルウィンの収容2万人にこだわる必要があるのでしょうか。
そんなことをするくらいなら座席の間隔にゆとりをもって、空いている1席1席をムキになってまで探し出すことなど止めて、来てくださったお客さまの満足感をより高めていくことが大事なのではないでしょうか。
アルウィンに2万人入るという洗脳からいますぐ解かれてほしい。
でないとアルウィンにお客は戻ってこないと思っています。
で、これとは別にアルウィンの収容を18,000人にしたい理由がもう一つあります。
それがトイレの問題です。
Jリーグクラブライセンスからすると、収容1,000人あたりに必要なトイレの数って洋式5、小便器8なんです。
で、アルウィンの男性用トイレを数えてみたところ、入場ゲートの外を含めないと全部で小便器54、洋式28、和式6ありました。
和式がまだ残っているという事実は今回は置いておくとして、これをクラブライセンスに当てはめると、アルウィンのトイレの数って実は7,000人規模のスタジアムにしかならないんですよね。
つまり、アルウィンは20,000人収容と言いながら、トイレの数は約1/3の7,000人規模しか用意していないわけです。
それでいて熱中症対策として水分補給をしてくださいとアナウンスがあるので、そうなると当然トイレを利用する回数も増えるわけです。
これみなさん何も感じていないんですかね?
トイレを増やせばよいというのはごもっともなのですが、ではどこに作るかという問題もあれば、清掃などの維持管理の部分もありそう簡単にはいきません。
ならば、逆の発想でトイレ増やせないならそもそもの収容人数を減らして、トイレを利用する人の全体数を減らす方が良いのではと思います。
もし今後もアルウィンの収容2万人と名乗るのであれば、それ相応のトイレの数を増やしてほしいですね。
ここまでアルウィンの収容は20,000人ではないと書いてきましたが、読んでみていくつか疑問も出てくると思います。
たしかに入場者数が減れば入場料収入も減ると思います。が、上記の通りゴール裏へ人を押し込まれてまで試合観戦をしたい人がどれだけいるでしょうか。
目先の1試合の入場料収入だけのために無理やり押し込むくらいなら、観戦環境を少しでも良くして何試合でも来てもらえるようにしたほうが結果的に良いのではないかと思うのです。
それに、山雅は何のためにダイナミックプライシングを採用しているのでしょう。
ダイナミックプライシングの特徴は利益を最大限化すると思われがちですが、高価格帯のチケット代で利益を出した分、ほかのチケット代金を抑えられるということもできるのです。
よく人気対戦カードだけ値段を上げて批判にあっていることもありますが、そこで利益を上げられればほかの試合で値上げしなくて済むということも理解されるべきだと思います。
そもそもですが、何十分以上ものあいだ行列に並ばせておきながら物販飲食収入を上げることなどできるのでしょうか。
J1のとき、列に並ぶのがイヤで全くアルウィンでスタグル買う気にならなかった自分の体験からすると、むしろ行列を解消できないのにどうやって物販収入を上げていくのか逆にこちらがその方法を知りたいという感じです。
お客に買ってもらうまで何時間でも並ばせておくつもりなのでしょうか。
物販飲食収入を伸ばしたいのならとにかく回転率だと思います。
私個人の体感的に言うと、アルウィンは14,000人を超えるとどんなに人数が増えてもホームの雰囲気は14,000人のときと変わらなくなると思っています。
例えば8,000人が12,000人になればそれだけ空席が埋まるので、ホームの雰囲気が上がっていくのが目に見えてわかります。
しかし同じ4,000人増えるにしても、14,000人が18,000人になったところで何か変わっていくところがあったでしょうか。
個人的感覚ですが、14,000人を超えてくるとなんとなく人の多さに息苦しさを感じ、人数が多くなればなるほど応援しにくいと思っていた人もいたのではないのでしょうか。
それもそのはずです。
ゴール裏のベンチシートに13人無理やり押し込み、立見席には前後2列になって押し込み、そこからあふれた人たちがコーナー部分などのに追いやられていたのですから。
窮屈ななかでどうやって大声をだし、どうやって旗を振りゲーフラを掲げるのでしょう?
そして、席つめによって後から入ってきた人が一言。
ではなぜ今までそれができてきたのか。
お分かりのとおりアルウィンは2万人入るという洗脳ですよね。
みんなが我慢して、人数が増えればホームの雰囲気が作れる、クラブのためになると錯覚していたからです。
14,000人を超えるとオーバースペックになっていることに誰も気付けなかったのです。
しかしもう、誰もそんな不便はしなくないから、コロナ禍が明けても人が戻ってこないのです。
ただアルウィンの立地上、お客さまに不便をさせてしまうところがあるのは致し方無いところでもあります。
J1のときは大芝生駐車場という遠いところ、もしくはシャトルバスに乗り換えてきてもらってそこでひとつ不便をお願いしているのに、アルウィンに着いたらお客に座席を探してもらうという不便を提供し、何かを買うにもどこも行列、行列という不便、トイレに行くにも不便、試合が終わったら帰りのアクセスにも不便を強いられる。
必要な不便と不必要な不便があると思います。
そこの区別、分けられますでしょうか?
それでもどうしてもアルウィンは2万人なんだとこだわりたいという方はいるかもしれません。
先にも書いたとおり、2万人入れるにはゴール裏のベンチシートに13人、立ち見席は前後2列に人を押し込んでやっと成立する数字なので、2万人にこだわりたい人たちがまずそこから埋めてみてはいかがでしょう。
そこで試合が見にくいとか、狭いとか旗で前が見えないとか関係ありません。そこで観戦せざるを得ない人たちがいたから2万人に近い形が実現できてきたのです。
それにトイレが圧倒的に足りないので、ぜひ増設に向けた動きをお願いしたいです。
じゃあなんでそんな不便をしてまで観客が来ていたのか。
結局、「山雅」ではなく「カテゴリー」を見に来ていたからでしょう。
「山雅<カテゴリー」だったからこのような不便があっても来てくれたわけです。つまり、お客さまが戻ってこないのは大多数が「山雅」を見に来ていたのではなく「カテゴリー」を見に来ていたお客さまだったからです。
だから「カテゴリー」が落ちれば当然観客も減るわけです。
既に書いたとおり最後はピッチの結果任せだったという点が否めないですし、それにカテゴリーが落ちたから観客が減ったということより、大多数の人は山雅よりカテゴリーを見に来ていたという結論のほうが影響は大きいのではないかと思っています。
これをJ1バブルに浮かれていた2019年に誰も気付くことができなかった。
気づいていても誰も発信できなかった。
アルウィンに2万人入るという洗脳は恐ろしいものです。
なのでそろそろ、その洗脳から解かれてもよいのではないでしょうか。
自分もそう考えてやってきたので同罪です。
なのでこうやって次の策を提案しないといけないわけです。
自分が入ればお湯があふれることをわかっていながら自宅の浴槽に水やお湯を満杯に張る人っているでしょうか。
あふれることをわかっていればどれだけ水やお湯を入れれば良いかの目分量はだいたいわかるはずです。
アルウィンも満員にすることを目指してきましたが、あふれる可能性もあるとリスク管理をしていれば満員を目指す必要はなかったのです。
ではなぜあふれてしまったのか?
もうおわかりのとおり、新型コロナウィルスの影響です。
ではそのあふれてしまった人を呼び戻すにはどうしたらよいでしょう?
なぜここは他力本願なのでしょう。
これでは人が戻ってくるはずがないですよね。
以前、なぜ平均1万人達成できないか解説しました。
それに加えて、
をしない限り人は戻ってこないと思います。
ここまで偉そうに自分勝手に書いてきましたが、なぜこれを書いたかというと、アルウィンは今後何度でも満員にできるポテンシャルがあるからです。
そしてやはり、アルウィンを満員にできた実績があるからこそ書けることなのです。だから山雅がやってきたことはその場その場でよりベストな選択をしてきたはずですし、逆にこうなってしまった以上、これからどうしていくか?というポジティブ面しかないわけです。
文中で「次の観戦はしばらくいいや」「年に数回観戦に行ければよいよね」というお客さんを量産してしまった、とネガティブに書きましたが、逆に言えばその人たちが集まればアルウィンは満員になるわけです。
なので次に満員になった時に、もうあんなゴール裏に人を押し込むような運営をしていたら客は来なくなるよね、じゃあどうすればよいのと思ったときに、そもそもアルウィン2万人は物理的に不可能では?ということでこの記事が書けたのです。
多くのクラブはスタジアムを満員にすらできていません。
スタジアムを満員にできるのはアルウィンだけだと思っているからこうして発信できるし、調べ甲斐もあるのです。
洗脳というのは恐ろしいものです。
「アルウィンは2万人入る」と思い込んでいたからいろんなムチャが通ってきたわけですからね。笑
最後、まとめます。
なぜ?
・ゴール裏で不便な観戦を強いてきた人たちがいたから満員が実現できた
→しかし、その不便をしてきた人たちがアルウィンに来てくれなくなった
だから、ゴール裏に人を押し込んでまで2万人を達成する必要などないはず
・アルウィンのトイレの数は7,000人規模のスタジアム相当に値する
→人が入れば入るほどトイレが足りない
トイレが増えないなら収容を下げて利用者数全体を減らせばよいのでは
・入場料収入はダイナミックプライシングでカバーできる
・物販飲食収入上げるならまずは行列の緩和→回転率を上げることから
・ホームの雰囲気は14,000人で十分作れる→足りないなら自ら呼べばよい
・アルウィンは何度でも満員にできる
以上、アルウィンは収容2万人ではないよね、でした。
参考文献 西野亮廣「夢と金」
こちらのリンクからどうぞ。
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