サッカーシロウトがボールパーソンと担架隊をやって気づいたこと
新型コロナウィルスの影響で北信越フットボールリーグの日程変更などもあり、何とかリーグ戦を2位で終えたアルティスタ浅間。
急きょ、全国地域チャンピオンズリーグ2021の出場が決まりました。
チャンスが回ってきたと思い、ベストを尽くしてきてほしいと願います。
そんなアルティスタ浅間のホームゲームも無観客試合や制限付きの試合、会場変更など、ボランティアからしたらこちらも何とか1シーズン乗りきったという感じです。
今期は新型コロナウィルスの影響で普段ボールパーソンや担架隊を務めているアカデミーの子どもたちが参加できなくなることもあり、ボランティアをやっている私たちにも役目が回ってきました。
普段、ボールパーソンや担架隊はユースや地元の学生(サッカー部)、運営スタッフなどで行っているというイメージでしたが、人手が足らないということで、実際にやってきました。
正直、緊張しました。
でも周りからしたら、
90分間座っていてボールが外に出たとき、
もしくは選手が倒れたときだけの役目だから
大したことないんじゃない?
とか、
北信越リーグ(アマチュア)だから
そんなに(緊張しなくても)…
という感じだと思います。
いえ、全然違います。
ボールパーソンも担架隊も
重要な役目を果たしています。
でも、試合前日にボールパーソン・担架隊をやると聞いたとき、このSNS・ネット時代ですから経験者の声を聞いておきたいと思って検索したんですが、思った以上に無いんですね。
これだけサッカーの試合が行われていて、それだけ試合があるということはボールパーソンも担架隊も配置されているはずなのに、あまり経験したことを発信していないのでしょうか。
なので、今後サッカー未経験者がボールパーソン・担架隊を経験しても良いよう記録に残しておきたいと思います。
当然ですが、普段スタンドから見ている景色とは全然違いますので。
ボールパーソンをやってみて
ボールパーソンを担当したのは2021年9月5日(日)の富山新庄クラブ戦でした。
付いたのはメインスタンドからみて右側のゴール裏、というよりゴールの横ですね。ゴールから5~6mくらいのところです。
サンプロアルウィンは球技専用だからスタンドとピッチが近いと言われますが、スタンドより近いところにいるのですから全然景色が違います。
コイントスが終わり、選手がピッチ上に広がり、キーパーもポジションにつきます。
そのとき、富山新庄クラブのキーパーがボールパーソンに向かって
「よろしくお願いします」
そして、試合後に今度はアルティスタ浅間のキーパーがボールパーソンに向かって
「ありがとうございました」
こう声をかけてくれたのです。
あれだけ何年もゴール裏で応援しているのに、キーパーはボールパーソンに一言あいさつをしていることに気づいていなかったのです。
これって先輩だったり、誰かがやっていないとやらないと思うんですよね。
選手みんながやっているかどうかはわかりませんが、おそらくこの選手だけでなくほかのクラブのキーパーもやっているのかなと思いました。
そして、アルティスタの先制ゴールが目の前で見られました。
これもスタンドからとゴール真横からでは景色が全然違います。
目の前でクロスがあげられそれを頭で合わせてボールがゴールネットに吸い込まれる瞬間。
何試合もサッカーの試合を観戦してきたなかで、この位置で見られたのは新鮮でした。
肝心のボールパーソンはどうだったかというと、一言、
難しい。
ボールパーソンはボールを持っている人と持っていない人がいるので、持っている人はボールの行方を気にしながらピッチに戻さないといけない。
持っていない人はボールの行方を追いつつ、取ったときにピッチにボールが戻っているかどうか確認し、戻っていればボールを持つ担当にボールを戻し、無ければすぐさま選手にボールを戻さないといけない。
この判断が意外に難しいんですよね。
ボールの供給が遅くなればそのぶん試合が止まるためプレーにも影響が出るし、かといってボールを早く戻さなければ!と思うと、ボールが2個出てくるんですよね。
Jリーグでもまれにボールが2個出てくることがありますが、まさにそれなんだと。
ボールパーソンにも連携、そして技術が必要なんだなと感じました。
ちなみにボールパーソンであれ、勝手に選手たちのいるピッチのラインのなかに入ることはできません。
一方で、ボールパーソンを務めることでプロの選手のプレーを間近で見られる経験は特に高校・大学のサッカー部やユースの選手からしたらものすごい価値になると思いました。
地元で開催される地元のプロクラブの存在は大きいのだと改めて実感しました。
担架隊をやってみて
担架隊を担当したのは2021年10月3日(日)の新潟医療福祉大学FC戦でした。
ちょうど第4の審判とメインスタンド向かって左側のベンチのあいだに担架隊はスタンバイします。
基本的に担架の必要が無ければ担架隊の出番もありませんが…
試合が始まり、前半でアルティスタの選手が接触プレーで倒れ、試合が止まります。
まずはベンチからメディカルスタッフがピッチに入ります。
それと同時に第4の審判が担架隊に向けて
「担架いつでも出られるようにしてください」
と声がかかり、タッチラインの手前まで来るように指示されます。
そして、主審から
「担架、入ってください」
との指示。
この指示で、担架がピッチに送り込まれるのです。
担架隊も闇雲にラインの中に入ることはできないのです。
倒れている選手の元に近寄り、担架に乗せてラインの外に出します。
そして、担架と一緒にすぐさま所定の位置に戻ります。
一連の流れはこんな感じでした。
ここで気づいたのは、すぐにもピッチの外には出さないということでした。
よく選手が倒れているときに「早く外に出して!」という声がかかりますが、すぐに選手を外に出してしまえば10人対11人の状態となり、有利・不利が生まれます。
もちろんケガの状態によっては一刻を争う場面もありますが、そこの判断をするのはすべて主審。
しかもこれはまだ北信越リーグで観客も数百人程度。これがJリーグだとしたら、主審も選手も、そして近くにいる担架隊も1万人以上いるスタンドの四方八方から声が飛ぶ中で冷静に判断し、役目に努めなければならないのです。
ひとこと、すごいと思いましたね。
スタンドからは見ていてそんなに気にならなかったのが、実際やってみると考え方が変わる。そんな経験をさせてもらいました。
あ、倒れた選手は無事にそのあとピッチに戻りプレーを続行していました。
ボールパーソン・担架隊の使命は、いかに試合を止めることなくスムーズに行えるか。
そんなことを考えさせられた体験でした。
前述のとおり、ボールパーソン・担架隊は地元の高校・大学のサッカー部やユースの選手、もしくはスタッフがやることが多いのでなかなかする機会というのは無いと思いますが、もしやってみる機会があれば恐れることなくやってみて、スタンドから見る光景とは違う経験をしてほしいように思います。
以上、サッカー素人がボールパーソンと担架隊をやって気づいたことでした。