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【安売りするな】招待券の良しと悪しについて考えてみた

2024年4月28日(日)のホーム富山戦は、2,000組4,000名が無料招待されるそうです。

これを見て即座にこう思いました。

配りすぎじゃね?

それもそのはず、ホーム開幕戦でも翌ホーム戦となる岩手戦でも無料招待を行い、これで今期3度目になります。

この時は(ホーム)開幕戦のお客はリピーターになりやすいということで何とか落とし込むことができたのですが、(岩手戦はそもそも集客を見込んでいなかったのでこの日の無料招待は致し方ないと思った)

実際の来場者数に目を向けると、ホームゲームへの来場経験が2回以下の「ライト層」と、3回以上の「ミドル層」の間に大きな壁があることが知られていた。ライト層をミドル層にランクアップするのが難しいのだ。
(中略)
「開幕戦の来場者ほどランクアップしやすい」という分析結果も出た。予想はしていたが、確信を持てたことで重点施策の絞り込みに役立った。来季は開幕戦のイベントに力を入れ、シーズン序盤からファンの呼び込みを狙う。序盤から楽しんで来場できる環境を作れれば、残りの試合に再訪してくれる可能性が高まるからだ。メールなどの個別アプローチだけではなく、ファン全体に向けた仕掛けも視野に入れるなど、dotDataの分析結果を踏まえ、機運を盛り上げるために注力したい施策について、検討を進めている。

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しかし今期3度目にして、しかも2,000組4,000名は過去最多、じつにアルウィンの4分の1が無料招待で埋められるというのは前代未聞だと思ったのです。

なので、これを機会に招待券について自分が長年考えていたこと、そしてなぜこんな無料招待ばかり行われるようになったのか、それとこれを続けることで起こりうること、さらにここぞとばかりに思っていたことを書きたいと思います。

結論。

客離れが加速しそうだよね


・なぜ無料招待をこんなに頻繁に行うのか

あくまで私の考えです。

理由① コロナ明けで思った以上に客が戻ってきていない

2024年3月末までのデータを見てみましょう。

新型コロナウイルスの位置づけが5類感染症に引き下げられたのが2023年5月8日なのでまもなく1年となり、比較対象の期間をどこに設定するのかでも違いますし、この時点でまだまだ試合数にばらつきがあるので比較としての対象ではないと思います。
そんななかで、

2024明治安田Jリーグ第2節までの全日程が終了したことを受け、Jリーグは開幕期の入場者数を発表。683,587人と、最多入場者数を更新した。2023シーズン開幕期の入場者数は576,947人だったため、前年比はおよそ118%。詳細を見ると、明治安田J1リーグで458,039人、明治安田J2リーグで163,587人、明治安田J3リーグで61,961人が入場していた。平均入場者数は明治安田J1リーグが22,902人、明治安田J2リーグが8,179人、明治安田J3リーグが3,098人となっている。

この記事をみて、Jリーグの観客動員は素晴らしい開幕スタートと見えるかもしれませんが、個人的な感想としては、まだ全チームがホーム開幕戦やっていないよねと、広島の新スタジアムと国立の要因が大きいよねという感想を持ちました。
もちろん数字という結果自体は素晴らしいと思いますが、これだけで満足していてはいけないと思いますし、まだまだ追及していける余地はあるのではないでしょうか。

リーグ全体は増えているのに、クラブ単体では増えていない

そのように感じています。

理由② 0→1、1→2、2→3を狙っている

この記事がなかなか面白いので何回でも引用できます笑。
本当にこの無料招待キャンペーンとこの記事の内容が絶妙にマッチするんですよね。
観戦回数によるデータで、要するに

①ホーム開幕戦で無料キャンペーン(0→1、1→2)

②大型連休で無料キャンペーン(1→2、2→3)

これが狙いなんだと思います。
なので、1,000組2,000名様無料キャンペーンを2試合やったクラブはその回収として2,000組4,000名様を1→2、2→3をやるということなのだと思われます。
少なくともただバラまいているということではないでしょう。
(ただ、そうみられてもおかしくないとは思います)

理由③ Bリーグの存在

何気なくこれも大きな要因だと思います。
ご存じない方のために説明しますと、プロバスケのBリーグは2026年から新リーグ(Bプレミア)に移行するため、新しい昇格基準が設けられました。

Bプレミアの参入条件は売上12億円/入場者数4,000名/収容人数5,000人以上等の基準を満たすアリーナといったものが柱となるが、島田チェアマンは「多くのクラブが経営努力によりこの条件をクリアしてきそうな状況で、条件を満たすクラブが18を超える可能性もでてきているなかで、相対評価ではなく、3次審査の参入条件をクリアしたクラブはすべてを受け入れる」とBプレミアのクラブ数制限を事実上なくすことを表明した。3次審査の基準は12億円/3,000人、または9億円/4,000名+アリーナ基準を充足していること。「とはいえ特にアリーナ基準をクリアすることは簡単ではなく、18を超えるかどうかは分かりません」

つまり、コート上の成績だけでなくクラブの経営や観客動員数もカテゴリーの対象になっているのです。なので、昨年からBプレミアを目指したBリーグクラブは集客に必死になっているんですね。
特にB1・琉球ゴールデンキングスの存在は大きく、市民クラブでありながらクラブの売り上げは約25億、2024年4月2日時点で平均観客動員7,680人とJ3はおろかJ2よりも売上げを上げて、かつお客さまが入っているんですね。

自分も2023年12月に沖縄へ実際にホームゲームを見に行きましたが、Bリーグの相手チームブースターはもちろん、Bリーグ観戦経験のあるJリーグクラブサポも一度は訪れてほしいと思っています。

お客さまを入れないと昇格できないリーグと、ピッチの結果だけさえ残せれば昇格できるリーグ(厳密にいえば違いますが)と比べたら、集客して強くするか、強くして集客するかの違いになってきて、それがまさに今のBリーグとJリーグの観客動員数に表れているんだと思います。
ちなみにBリーグは屋根付きのアリーナだし観戦環境に恵まれているからお客さんが入りやすいというのは半分正解で半分間違いです。観戦環境の良し悪し関係なくお客さまが入るクラブは入るし、入らないクラブは入らないのです。開いている店は開いているけど閉まっている店は閉まっているのと同じで、そういう言い訳が出た時点で集客はできないでしょう。

ここまで個人的に3つの理由を想定しました。

・無料招待で起こりうる3つの想定外

では続いて、大規模な無料招待を行うことで想定される(実際に起きている)出来事を出してみたいと思います。
表面上はたくさんお客さん入って良かったねになりますが、では実際にスタジアムの現場ではどういうことが起こりうる、もしくは起きているのでしょうか。

①集客数が読めない

まずいちばん当たり前のことからになりますが、招待券を配布した全員が来場するということではないですよね。なので、例えば2,000組4,000名様を無料招待しますということは、4,000人が来るか来ないか当日フタを開けてみないとわからない運営をしなければならないことになります。
駐車場、行き帰りのシャトルバス、当日(マッチデーなど)配布するもの、スタグルの食事の提供は大きな過不足なく対応できるのでしょうか?
それが4,000人という振れ幅だと、集客数を予測するのはかなり困難を極めます。
それに、無料招待券は実際にチケットを買った人に比べると試合当日の優先順位が低いんですよね。なぜなら、お金を払ってチケットを購入していると、緊急時などよほどのことがない限り行かないという選択はしにくいのです。逆に無料招待券だと行かなくても損をしないので、試合当日でも簡単に予定が変更されてしまうので、そこで集客数が左右されてしまうのです。
特に天気予報は誰もコントロールできないので、落差が激しいんですよね。
プロ野球は雨天だと中止になる可能性もあるので割り切ることができるんですが、Jリーグは雷などの非常時以外は中止になりにくい。ましてお金を払っていないから余計に行かないという選択肢になりやすいのです。

②お金を払った客が損をする

なので集客数が読めないなかでのホームゲーム運営は困難を極めますし、さらに言えばお金を払っている、払っていない関係なく、ほとんどのものが先着順で決まるということです。
駐車場も先着順、シャトルバスも先着順、配布物(マッチデー)も先着順、スタグルも先着順、座席も自由席なら先着順となり、実際にチケットを買っている客も無料招待券もすべて同じ土俵に立たされるのです。
当然先着順ですからそれが無くなれば終わりになるわけで、無料の招待券でも先に行きさえすればもらえるし、有料でチケット買ったのに出発が出遅れただけでもらえなかったりと、ここで不公平が生じるのです。
特に人間の心理は、自分が損したことより他人が得することのほうが許せない、いわゆる嫉妬のほうが起きやすい傾向にあるので、なんで無料の招待客が得をして、有料チケットやシーパスの自分が何も得られないのとなると、それの矛先は一気にクラブに向くんですね。
いい例がこれだと思っています。

そしてスタグルも同様で、4,000人という振れ幅と当日の天気予報で何食用意すれば良いのか予測不可能となるのです。結局、早々に売り切れて「全然足りませんでした」か、(用意しすぎて)「試合後に値引きします」というのはこれまで何十回と見てきました。
足りなければ客が不満になって次の観戦はもういいやになるし、余ればスタグル業者の負荷になって次の出店はもういいやになる。
それを無料招待という名のもとに推し進めているのではと思っています。

③既存の客が離れる

そのような経験や見ていて思ったことから感じたのはまさに既存の客が離れていくよね、でした。
そりゃそうです。先着順で無料招待券の客が得をしてお金を払っている客が損をするような運営をしていれば、最終的にお金を払わなくなります。
なので、招待券は数より運用方法だと思うのですが、これだけ同じことの繰り返しになるということは、もうほかに打つ手がないと思われても仕方のないことなのかもしれません。

・招待券に価値をつけろ

「メインスタンドアウェイ側」

そもそもですがなぜ、招待券=一番価格の安い席になるのでしょうか?
招待する券なのですから、もっと良い席にしたほうがいいと思うんですよね。みなさんが自宅にお客さまがいらっしゃったとき、価格を抑えて駄菓子を出すのでしょうか?
ただただ数ばかりを増やす招待券ではなく、招待券にも価値をつければよいのでは?と思っています。
今回2,000組4,000名様をホーム自由席に招待した場合、前売りが大人2,300円なので約920万円分の入場料収入の予算をつけていると思うんです。
それなら、スタジアムでいちばん空きが出やすい座席に割り当てたほうが良いと思っていて、アルウィンでいえばメインスタンドS・Bのアウェイ側です。
同じ予算を充てるならS席なら2,000名、B席なら3,000名も呼べるわけです。
空席を埋められてかつ、ホーム自由席より価値があるのですから利用率は上がるのではないでしょうか。
しかし、なぜ招待券のくせに高い席を!と思われるかもしれませんが、それでいいと思うのです。そもそも招待券利用者は座席にこだわりがないし(こだわりがあるのなら自分でチケット買ったほうが良い話です)とにかく観戦してもらって、0→1、1→2、2→3という結果を出すことが目的なのですから、ならばスタジアムで空きになりやすい座席を提供することがいちばんなのです。
それを低価な席、いわゆる混雑する座席に招待してしまうから次はもういいやになってしまい、既存客も招待券のほうが得をしているとなり、結果誰も得しないということになりがちなのです。
それってつまり人気のない座席を招待券にするのか!と思うかもしれませんが、逆に最初から人気のない座席とわかっているなら定価で売るなよ!とも思うし、お金を払うべき座席(特にゴール裏)を招待券で埋めるな!とも思うのです。
ただただ客数を増やすためだけの招待券になっているからリピーターにならないし、1→2にならないのはこういう理由だと思っています。
低価の席をたくさん埋めるだけの招待券は、ただのゲートを通過するだけのものにしかなりません。
長い目で見ると自分たちの売り物を安売りしているように思えるし、結果的に安物買いの銭失いともなっているわけです。
本当にもったいなさすぎですよね。

お客様はヒマではない

そして、コロナ禍で感じた集客の難しさのひとつに、招待券に釣られて来るほどお客様はヒマではないと思っています。
その理由は、お客様が提供してくださるのはお金より「時間」だからです。
正直、試合はテレビやインターネット配信で見られる時代なのですから、わざわざお金を払ってまで試合観戦に行かなくてもよいのに、なぜみなさんはわざわざスタジアム・アリーナへ足を運ぶのでしょうか?
それは自身の貴重な時間を観戦体験にしたいからだと思っています。
だから、その時間がつまらないものであればたとえ無料であっても足を運ぶことは無くなります。それなのに、無料にしないと客を呼べない、無料にしないと客数を増やせないというスパイラルにはまってしまうと、次はより配布枚数を増やせばよいのでは、配布対象の試合を拡大してどんどんキャンペーンを打てばよいのでは、という発想になります。
そして無料にして低価の席だけを埋めるだけ埋めて客数を増やした結果、スタジアムでは来場した客数を捌ききれず次の観戦はもういいやとなっていたのではと思っています。

そう感じているからこそこのようなnoteが書けてきたのです。

Jリーグの30年と失われた30年

Jリーグの発足が1993年で、今世間でも言われている「失われた30年」をほぼともに歩んできました。そしてその30年が終わりを迎え、一気に日本もデフレからインフレへ向けて舵を切りつつあります。

物価の上昇もあるなかで、この無料招待キャンペーンはまさにデフレの象徴だと思ったんですね。つまり先にも書いた通り無料にしないと客を呼べない、無料にしないと客数を増やせないわけです。
だからこそ入場者数だけでなく、ちゃんとお客様からお金をいただき、かつインフレにも対応すべきだと思っているのです。
物価の上昇に対応できないと、結果クラブの経営も悪化していき、最終的にはクラブで働く人もいなくなると思っています。
そこから断ち切るのが、まさに今だと思っています。
とはいえ、ダイナミックプライシングひとつ取っても賛否が出るくらいですから、まあデフレから脱却するのは難しいでしょうね。

後発のBリーグはJ2・J3よりも入場者数が入っているうえ、入場者数が大きくないのにBリーグの各クラブがJ1規模になってきていて、つまり、入場者数もクラブの売上げもBリーグに抜かれそうになっているのですから、そこの緊張感はあってほしいものです。

まとめます。

・招待券はあくまで招待する券であって、集客数を増やすためのものとしていたら先は長くない
・招待券で来てくれるほどお客様はヒマではない
・お金をいただけるからこそクラブが成長する

以上、【安売りするな】招待券の良しと悪しについて考えてみた、でした。

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さてここから大手のひら返しを行います。
こんな固い内容を書いたところでキャンペーンが無くなるわけではないので、ならば私も応募して当たったら自分のシーパスをさっさとリセールして誰か呼べばそれだけで事実上2人呼ぶことになりますので、ではやってみましょう。
シーパス保持者は応募禁止とかなさそうですし、応募条件も特別大きな点とか今のところないですから大丈夫でしょう。

【応募締切】2024年4月16日(火)23:59

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