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【取材】塩竈市本町・松野鮮魚店さん
塩竈市本町に私が生まれた時からある松野鮮魚店さん。
以前見たことがある昔の商店街の写真にもお店がありました。
商店街の通りを通ると良く外で魚を焼いている姿を見かけるので、通った方がいたら「ああ、あのお店か」とすぐにわかっていただけるでしょう。
でも、常連さん以外にはどのようなお店か分からないかもしれないと思い、今回取材させて頂きました。
(お話をお伺いしたのは4代目の奥様です)
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―― 松野鮮魚店さんは、本町商店街でもかなり古いお店のひとつだと思うのですが、いつ頃からはじめられたのでしょう?
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本町にお店を構えるようになったのは、主人の祖父の代からだそうで、それよりも前は船で魚を取って売っていたと聞いています。
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―― そういう時代も含めれば100年は続いていそうですね!
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そうだと思います。
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―― 100年も続く老舗に嫁ぐプレッシャーはいかがでしたか?
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実はあまり分からなかったのです。
主人は京都の調理師学校に通っていて、そのまま京都で就職して、京都が地元の私は職場で主人と出会い、結婚しました。
主人も当初は家業を継ぐつもりはなかったし、家族もそうでした。
自然な流れといいますか、継ぐことで大騒ぎした記憶はないですね。
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―― 塩釜にも大きなスーパーが沢山ありますよね。スーパーとの競合になると思うのですが、その点はいかがでしょうか?
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スーパーさんは、スーパーさんなりの品揃え、品質、価格帯があると思います。
うちのお店は、古くからのお客様が多く、目も肥えていらっしゃいます。
まずは、そういう方々をがっかりさせない、良いものを出すように心がけています。
かといって最上級の品物を高い価格で並べても、毎日の食卓でお使いいただくのは難しいですから、そこはうまくバランスを取りながら選んでいます。
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―― お客さんは、近隣の方が多いのですか?
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そうですね、でも仙台をはじめ結構遠いところからわざわざ足を運んで下さる方も沢山います。
うちの魚なら食べてくれる、というお子さんもいらっしゃるそうですし、贈答用にした時も大変よろこばれた、とおっしゃって頂くこともあります。
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―― さっきご主人のお父様から「飛行機で大阪から来たお客さんもいる」と聞きました。そこまで、お客さんの心を掴んでいる理由は何でしょう?
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大阪から宮城に来た人が、うちに寄ってくれた話ですね。わざわざ店に来る為に大阪から来たわけでは無いです。ただ、「ここが美味しいから」と聞いて来店されたそうです。
(理由は)良いものを出していればお客さんは必ずついてくれる、という信念でしょうか…
たとえば、今日(9月5日時点)ははらこ飯を出したのですが、本当に良いものを選んで使っています。
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以前、どうしても納得のいくものが無かった時は、結局お店に出すのを諦めました。
考え方によっては「値段を落として店に並べる」というのもあるのでしょうが、うちではそういうことはしないように心がけているつもりです。
焼き魚にしても、ただ並べて焼いているように見えるかもしれませんが、両親が焼いた魚は本当に美味しいので、ぜひ違いを感じて欲しいです。
あとは、商品だけではなく、義父母の人柄によるところが大きいですね。
特にお母さん味のファンは多いです。人柄の面では、お義父さんのファンも多いので。店に出ていないと、心配されるお客様もいます
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―― 昔からの常連さんは年配の方が多いと思うのですが、いつの日か、完全に代替わりする時が来ると思います。ご主人やご自身の代で何か考えていることはありますか?
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いま、TwitterやInstagramで投稿をしながら、私たちと同じ年代の方々、もっと若い方々にも足を運んでもらおうと考えています。
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―― SNSを使ってみて如何でしたか?
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少しずつではありますが、投稿を見たよとおっしゃって下さる方が増えた気がします。
商品の写真を載せる時は分かりやすいように価格を載せて、買い物がしやすいようにしています。
本当はもっと当店のこだわりなどを載せたいのですが、お店はどなたでもこだわりをもってやっていますから、もう少し別の何かをアピールした方がいいのかな、と考えながらやっています。
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―― 老舗で働いていると大変なこともあると思いますが、実際どうでしょう?
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先代が築き上げてきたものは、技術的にも人柄の面もまだまだ追いつかなくて、力不足を感じることが沢山あります。
でも、リピートして頂いた方から「この間は美味しかったよ」とか「魚嫌いのうちの子が、魚を食べるようになった」と言われると、疲れも飛んでいきますね。
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―― 今後、どういうお店作りをしたいですか?
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商店街も私が嫁いできた頃よりも、寂しくなってます。
うちのお店だけのことだけを考えるのではなく、商店街全体をどうしたいか、どうしようかということを周囲の皆さんと一緒に取り組んでいく必要を感じています。
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かつて塩竃市の本町商店街には、沢山の店が所狭しと軒を連ねていた。
個人商店だけではなく、エスカレーターを備えたデパートもあり、本町にいけば生活に必要なものは何でもそろい、正月の消防の出初式、七夕祭りには商店街は歩行者天国となり、いまでは考えられないほどの活気に包まれた時代もあった。
生活様式も価値観も変わり、商店街がかつての賑わいを取り戻すのは非常に困難だろう。
しかし、少しずつではあるものの、新しい店が芽吹き、あるいは業態をアレンジした老舗が新たな顧客を掴むような動きを見せている。
これが積み重なり、繰り返されれば、昔とは違うジャンルの店であっても隙間の無い商店街が復活するかもしれない。
松野さんをはじめ、いまなおこの街でがんばる皆さんに期待したい。
執筆:塩釜うまいもの通信・竹田
松野鮮魚店データ
住所:〒985-0052 宮城県塩竈市本町10−5
電話:022-362-1668
HP
Presented by: 塩釜うまいもの通信 & 竈ジン.com
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