マイナンバーカードのメリット・デメリット
マイナンバーカードが批判の的にさらされている。少し感情的になりすぎているようにも思えるので、マイナンバーカードのメリット・デメリットについて整理していきたい。
マイナンバーカードの普及率
令和5年4月の時点で67%まで普及してきている。令和4年は59%となっており、1年で8%伸びた。県別では宮崎県が79%と全国トップになっている。宮崎県時城市では人口が16万人もいるにも関わらず、なんとその普及率は93.8%を占めるという。その理由は時城市独自の施策「マイナちゃんカー」を職員が運転して住民の自宅にまで訪問し、申請補をしている。
マイナンバーカードが普及しない理由
情報流出 35.2%
申請が面倒だから31.4%
カードにメリットを感じない 31.3%
以上のようになっている。
情報流失による懸念は国民に大変植え付けられている。マイナンバーカードは他人に絶対見せていけないものであり、金庫にしまっている人もいるという。その答えに対し、持ち歩ことを河野太郎氏は推奨している。マイナンバーカードを無くしても、暗証番号が知られない限り大丈夫という点では、銀行のキャッシュカードと同じで、持ち歩かないと確かに利便性は低い。
実際マイナンバーカードには名前、住所、生年月日、性別、顔写真、電子証明書、住民票コードなどが記録されており、ICチップにはマイナンバーが登録されていない。所沢市では同姓同名、同じ誕生日の人物に対して紐づけを間違えた例が発生した。
因みに、全労連が反対。日本弁護士連合会が強制に反対している。マイナンバーカードが普及すると次のようなメリットが得られる。
マイナンバーカードが普及するメリット
正確なデータに基づく薬の処方
顔認証での自動化
窓口での限度額以上の医療費の一時払い不要
となっており、日本医師会も反対ではなく、普及率が低いので無理ではないかと懸念している。
また、内閣官房IT総合戦略室のマイナンバー制度活用における効果を行政機関では1,798億円民間では年間6,000億円の削減効果があるとされている。
内閣官房IT総合戦略室
https://www5.cao.go.jp/keizai-
shimon/kaigi/special/reform/wg6/180510/pdf/shiryou7-3.pdf
また、それ以外に厚生労働科学研究データベースによると、保険情報の誤りや、不正使用は年間600万件あり、約1,000億円を超えると推定されている。
厚生労働科学研究データベース
戦略にそって物事を決めよう
今、政府では健康保険証の廃止とマイナンバーカードの普及に力を入れているが、マイナンバーカードへの手続きのミスを指摘され、1年延期、2年延期が声高に叫ばれている。国民からは説明責任がなされていない、強行するのはけしからんと言った意見である。これは戦術の問題であって、前出の時城市のように行政コストの削減と民間コストの削減を考えた場合マイナンバーカードの推進は戦略決定である。戦略とはどちらか一方。諸外国が一斉にIT化を進める中、日本は今まで通り、紙で今後も行政手続きをやるのかやらないのか?時城市はやることに決めた。そのため、戦術は職員がわざわざでかけ初期コストを掛けても、情報流出への丁寧な説明、申請の面倒を省き利用のメリットを伝えてきた。とても理にかなっている。時城市の戦略戦術は他の自治体も真似してほしい。利用者の不安ばかりがクローズアップされているが、年間これだけ行政と民間のコスト削減出来るのがわかっていながら先送りするデメリットはどう考えるのだろうか。国債は増加し、GDPもドイツに抜かれて4位になろうとしている日本にやらない選択肢はあるのか。
マイナンバーカードは一度国民が信認した政府がやると決めた戦略決定である。いっそやめるならまだ分かるが、1年2年延期してさらに諸外国から行政のIT化が遅れたコストは一体誰が払うのだろうか。今やるべきは時城市のように他の行政区も1兆円の予算をかけてでもマイナちゃんカーを走らせて、申請の補助説明をすれば良い。
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