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【アートの記録_0020】

アートフェスの記録はどうやったらいいんだろう。個別の作家が思い出せたら、調べがつけばいいんだけど、まったくヒントが見つからないこともある。

これは2015年、大分・別府の現代アートのフェス「混浴温泉世界」に行った時の写真。タイトルの猫は別府の繁華街からすぐの長屋の通りにいたボス感あふれる太っちょ猫だ。この猫のふかふか具合と体のひねりの曲線が好きで、しばらくプロフィール写真として使っていた。

芹沢高志さんがディレクターをやっていて、大分には京都の禅寺でプチ修行をしたときに知り合った人もいる。そもそも「混浴温泉」ってタイトルがいいよね。…...と、直観で下調べもせず、ポーンと旅に出た気がする。現地でもガイドとか買わなかった(なかったかもしれない)し、アートツアーにも予約してなかったから、当然参加できなかった。それに月日も経ってるから記憶もだいぶ曖昧。グーグルフォトの日付と前後の写真を頼りに思い出す。

古い建物を生かした展示が多くて、その中でも記憶に残っていたのが、砂糖問屋の角砂糖の大階段と、ストリップ劇場でのお化け屋敷(お芝居というか…なんていえばいいんだろう)。

6畳くらいのフロアが細い階段でつながっている木造3階建てくらいの建物。フロアいっぱいに、白い1センチ幅の階段が天井近くまで積まれている。

よく見ると角砂糖が丁寧に積み上げられている。なんて緻密で気の遠くなる作業だろう。総重量もボランティアの方に教えてもらったのに忘れてしまった。砂糖問屋として取り扱ってきた業務や、歴史がこの1個1個の角砂糖に重なって、迫ってきた。

誰が作ったのか調べようとしたけど、検索能力の低さか、出てこない。もしや、と思ったのが山本直樹氏。

去年だったか。もっと早く調べていれば見られたのに。残念。


混んでいて、なかなか入れなかったお化け屋敷「みしらぬお隣さん」。ストリップ劇場跡地を使ったインスタレーションで、その場で組み合わされた「見知らぬ人」4人組で懐中電灯をもって、薄暗い劇場の楽屋から一緒にストーリーをめぐる。お化け屋敷風に、演者がさまざまなシーンで4人組を震えさせる。http://mixedbathingworld.com/news/587

ストリップ劇場でかつて働いていたトップダンサーの哀しいお話。ライバルや望まない妊娠や幻の赤ちゃんや。ラストは暗闇から一気にスポットライトを浴びるステージへ。逆光がまぶしくてくらくらした。客席のかぶりつき席には、風船にへのへのもへじの顔がならぶ。実際彼女にはそう見えたのかもしれない。

なかなか入る機会がないストリップ劇場だけど、かなり立派で豪華なステージだった。誇りをもって立てる、ダンサーにとっての居場所だったのかもしれない。一緒にめぐった見知らぬ3人の人たちとは、出口でありがとうと言って別れた。同じ空間で同じ瞬間に心拍数を合わせた人たち。ストリップ劇場から帰るときの気分はこんな感じなんだろうか。

劇団が期間中に模様替えをしながら3種類の講演をするというような構成だったと思う。私が観たのはそのうちのたった1回。だけど、私が観た、見知らぬ人と舞台と、演者の方の組み合わせは期間中たった1回しかないものだったわけで。行かなければ体験できない、貴重な時間だった。


これまた誰の作品かわからないのだけど、参加型の作品には参加したいので、ビールの絵を描いて投げ込んできた。

ああ、ビール飲みたい。


別府はいろいろアツいので、また改めて行きたいな。

【混浴温泉世界】2009年から大分県別府市で3年に1回開催されている市民主導型の芸術祭。http://mixedbathingworld.com/

そのほか、別府のアート関連プロジェクト。http://www.beppuproject.com/

大分県立美術館も素敵です。https://www.opam.jp/











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