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【アートの記録_0008】

街中で開かれるアートフェスティバルが好き。野外音楽フェスも好きで、一時期狂ったように行っていた。誰かが何かのテーマで編集したアーティストが集まっていて、そこへ行けば、自分の知らない、自分と気が合う音や表現と出会えるかもしれない。だからフェスが好きなんだろうなあと思う。

横浜トリエンナーレと連携して開催された黄金町バザール2011で観た松澤有子の「光を仰ぐ」もそんな出会い方をした作品。

日ノ出町駅から歩いてすぐの竜宮美術旅館の2階の小部屋で展示されていた。部屋に入るとびっしりと小さな白い双葉が生えている。ベッドにも、窓辺にも、読みかけの本にも。真っ白で漂白されたような部屋だけれど、今までこの部屋を通り過ぎてきた人や時間や出来事が落としていった養分を吸い取って、新しい光に向けて芽吹いているように感じた。

あとから調べたら、彼女の作品を大地の芸術祭でも観ていた。「enishi」という作品で、地域に暮らす人たちの協力で作成された待ち針が細い糸でつながっている作品。(私の記憶の中では安全ピンになっていた)体育館いっぱいにテグスが張られ、薄暗い空間に雨の後の蜘蛛の巣のようにキラキラしていた。

作家のことは長らく思い出せずにいたけど、その糸の作品は深く記憶に残っていた。さまざまな記憶がつながって、結ばれて、暗闇に織のようにたまっていく。光が当たると、そのつながりごと思い出す。今回記憶がつながってよかった。この記録は1000日チャレンジというプロジェクトなのだけれど、早々に毎日更新は崩れている。毎日でなく、1000記事を目指すことに軌道修正して、地道に記録を続けていく。

【松澤有子】1975年神奈川県生まれ。2007年シドニー大学大学院美術学部卒業。現在はインス タレーションを主に発表し、その空間、場所に存在する時間や記憶に寄り添い、そ こに立ち現れる万物の不完全性、不確実性、流れゆくあいまいな境界線のその先を 紡いでゆこうとする詩的な作品を制作する。(黄金町バザール2011アーティストプロフィールより)

http://yukomatsuzawa.com/portfolio/installation/ 「光を仰ぐ」

http://www.echigo-tsumari.jp/artwork/enishi 「enishi」

日ノ出・黄金町の川沿いの一帯は、さまざまな歴史があったところ。アートという名のもとにきれいにしてしまった結果、見えないところへどんどん隠れていってしまい、より深刻になるという側面もあると、黄金町で活動を続けている人から聞いた。詳しいことを知らないので何とも言えないが、アートプロジェクトがあって、新しい人がやってくるきっかけをつくるのはいいことなんじゃないかな、と思う。だから、私はなるべく足を運びたい。

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