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【アートの記録_0005】

大好きなデザイナーさんに、貸してもらったDVDがテオ・ヤンセンとの出会い。2000年代に幾つもの案件でとてもお世話になったデザイナーさんの事務所は世田谷の一軒家でとても居心地がよかった。打合せの後にいっぱいおしゃべりをして、気持ちのいい音楽を聴いて、ゆとりのある時には下北沢で一緒に飲んだりした。どういう話の流れでテオ・ヤンセンが出てきたのかわからないが、おすすめのDVDだから貸すよ、みたいな感じで、打ち合わせの帰りに借りてきたDVDが「テオ・ヤンセン 砂浜の生命体」だった。

風を受けて、生き物のように歩く「ストランドビースト」。ビーストによってサイズはまちまちだけど、高さ2メートル、全長5メートルくらいの大きさもあって、大きな得体の知れない物体がワキワキ動くのは迫力がある。ナウシカに出てくるオームみたいなざわざわした感じ。プラスチックチューブと粘着テープでできたボディはペールオレンジで、肌っぽい。北欧ではよく使われる一般的なチューブで手に入りやすいのだ、と学芸員さんが言っていた。(長崎県立美術館で観たときに)

風を動力に変えるのはテオ・ヤンセンが開発した独特の脚。物理学の知識とコンピュータ・プログラムを駆使して発明された脚は、すべての辺の長さが違う台形、ひし形、三角形を組み合わせてできている。それぞれの辺の長さと位置関係の比率を表す13の数字は「ホーリー・ナンバー(聖なる数字)」と呼ばれていて、展覧会オフィシャルグッズのTシャツなどにもプリントされている。動くビーストを観たあとだと、うっかり買いそうになるのだけれど、そういうTシャツって、着るタイミングがわからないよね...。

そのホーリー・ナンバーで構成された脚は動力をうけ、一度斜め上に上がって、元の場所よりも一定の距離ずれたところに着地する。ひとつひとつは、おもちゃの歩く犬のぬいぐるみみたいなカクカクとした動きにみえるけど、その脚が複数(多いビーストは何十本も)あって、時間差で動くと、全体としてはなめらかに水平に動いていく。動画を見れば一発なのだけど、言葉にするのって難しいな。

ビーストは生き物なので、進化の系譜もあって、〇〇期といった時代とともに、その時期の生態というか特徴も変わっていく。風力のみを動力源としていた時代から、圧縮した空気を充填したペットボトルを動力とする「肺を持った種」に進化。現在は「ブルハム期」のビーストが登場しており、「キャタピラ型」なのだそうだ。同じ形の素材がつながり、頭部の帆に風を受けると体を波打たせて移動するらしい。(札幌芸術の森美術館サイトより)

現在札幌で展覧会が開催中。日本初上陸のビーストや10メートルを超えるビーストもいるらしい。北海道に映えそう。行きたい。


【テオ・ヤンセン】1948年、オランダ、スフェベニンゲンに生まれる。デルフト工科大学にて物理学を専攻後、画家に転向。1986年から新聞のコラムを執筆し、その中の一記事「砂浜の放浪者」をきっかけに「ストランドビースト」を生み出す。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称され、芸術と科学の融合した作品を発信し続けている。(札幌芸術の森美術館サイトhttp://event.hokkaido-np.co.jp/theo/exhibition.htmlより)

オフィシャルサイト:http://theojansen.net/ ロゴもかっこいい。

大人の科学マガジン:http://otonanokagaku.net/magazine/vol30/ 特集3回。風に向かって歩く二足歩行ロボットは完全オリジナル。付録でテオ・ヤンセンの作品が手に入れられるってなかなかに凄いこと。映画もよかった。大人の科学マガジン動画サイト:https://www.youtube.com/channel/UCSwfO9KI4iChatRad2crPtw

まとめサイトもありました。https://matome.naver.jp/odai/2133574660958964201

トップの写真は2014年長崎県立美術館でのテオ・ヤンセン展で屋外でビーストを走らせているところ。最後の写真は2015年二子玉川ライズでのイベントで。商業施設でデモは世界初。


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