
【恋愛】マッチングアプリで知り合った男は気を付けてねという話
1.はじめての彼氏
つい先週の土曜のことだ。後輩ちゃんに彼氏ができたので、一緒に下着を買いに行った。前職は職場が女性だらけのこともあり、会社を辞めた今でも仲良くしている。そのうちの一人の、後輩ちゃん。
下着のお店は、恋愛の大先輩(と、勝手に私たちが謳っている)姉さん御用達のお店。100お色気全振りの下着は、まあ、誘惑するのにもってこい。かくいう私も実店舗に行くのは初めてだったこともあり、後輩ちゃんと一緒に買いに行くことになったのである。
コロナ禍ということもあり、後輩ちゃんとは二年ぶりの再会だった。「先輩こっちです!」私をそう呼ぶ後輩ちゃんは、最後に出会った日から推定10キロ以上は痩せていた。
「え?!?!?どうした!?ご飯ちゃんと食べてる?!!」
まじで心配になるレベルの痩せ方だった。実家の母よろしく心配するレベルだ。ちなみに後輩ちゃんは唐揚げ食べ放題のお店で食べすぎてお店側からストップを食らったことのあるレベルでよく食べる。食べるわりに、太ってはいなかった。のに、目の前の後輩ちゃんはガリガリなのだ。
「私、きれいになりたいんです!」
だから脱毛の予約もしているという。ハイフは持続しないから、ボトックス注射を打ちたいとも。整形したいんですと言われたときは、さすがに止めた。
それでも、彼の好みの服を買いたいとか、美容院でかわいくしてもらいたいとか、ちょっと偏愛かなと思う節はあれど、恋する乙女そのものだった。後輩ちゃんは、現在27歳。今までお付き合いをした男性は、いない。
この日はお目当ての下着を買って、ちょっと服を見て、おしゃれなカフェでケーキを食べながら彼氏の話を聞いた。
後輩ちゃんは、私や姉さんに紹介したいくらい素敵な男性だという彼氏ができたらしい。お相手は後輩ちゃんの2つ上、今年29歳のテレビ制作会社勤務。私と同い年の男だ。付き合って2週間、楽しい真っ盛りだろう。
「写真見せてよ!」
「まだ一緒に写真撮ってないので、アプリの写真しかないんですけど・・」
今時驚くこともない。マッチングアプリで知り合った男性で、おそらく友達に見せるためにスクショしてあった(※マッチングアプリのスクショは禁止されておりますがマッチングしてるので許してくだちい)写真を見せてくれた。「イケメンなんです!」と後輩ちゃんがピンク色の声で言う。切れ長の目で鼻立ちがはっきりしている男性だった。
「本当に素敵な人なので紹介したいのですが、先輩方がきれいなので彼が好きになっちゃわないかが心配で・・・」
「ははは、大丈夫でしょ。姉さんのタイプの顔じゃないし、私イケメン苦手だから」
「でも、お付き合いした日から一回しか会えてないので、、」
最後に会ったのはちょうど1週間前の土曜日。仕事で夜の19時に終わるけど、家に来て泊まっていってほしい。そう彼から言われた後輩ちゃんは実家暮らしなこともあり、泊まることを渋っていた。でも彼から仕事終わりでも会いたいと言われ、お泊りしたそうだ。次の日の日曜も昼から彼は仕事だから、朝しかゆっくりできない。けどそれでも会いたい、と。
「お泊りしたんだ、いいじゃない~!」
「彼にすっぴん見せたくないので、大変でした」
「・・・え?化粧落とさずにお風呂入ったの?」
「はい。彼が寝るまで待って、寝てからお風呂入りました。化粧している100%かわいい私を見てほしいので」
「Oh・・・でも、彼はすっぴんでもいいよって言ってくれてないの?」
「言ってくれるんですが、すっぴん『でも』いいはダメなんです!なんなら、化粧している100%かわいい自分をほめてほしいんです」
まあ私は?この考えのレディーが初めてではないから?そういう女の子もいるよねーと流した。流したけども。そんなのって疲れちゃわないか?・・・
「きれい好きな女性だと思われたくて、部屋でも自分の髪の毛とかまとめて捨てて帰るんです。さすがにお風呂の排水溝の掃除をしようとしたら、止められましたけど・・・」
むしろ、彼女なんだから自分のDNA!DNA!つって髪の毛落としとけ!
・・・と、その場ではそう言った気がする。笑い話に昇華しないと、後輩ちゃんの重たさにちょっと引いてしまいそうだったから。ちょっと偏愛気味だけど、いずれ彼女が自然体で愛される子になればいいなと思いながら。
2.彼の様子がおかしい
後輩ちゃんができたてほやほや彼氏にベタベタなのは明らかだった。ただ、後輩ちゃんの中でも彼に対してもやもやしている部分があった。それは、付き合ってから一言も彼から「会いたい」と言われない、ということだった。
付き合う前は常に彼から言ってくれたわけで、連絡も割と来ていた。出会ってから4回目の夜、家に泊まりに来てほしいと言われたのを「付き合ってない人の家にはいけない。でもわたしはあなたと付き合いたいと思ってるよ」ということで、「おれもそう!だから次会うときにちゃんと言わせて」という言葉を引き出したそうだ。
5回目。展望台へ行ったりご飯を食べたりしている最中にはなにも言われなかった。いつ言ってくれるんだろう?そう不安がっていた矢先、ムードもへったくれもない東京駅の横断歩道の上で「付き合おっか」と言われたそうだ。告白が簡素すぎる、と思い後輩ちゃんは泣いたらしいが、この涙は彼にどう映っただろうか。
彼からの「会いたい」連絡がなくなると同時に、LINEの頻度も減ったそうだ。1日に2~3通。元々そこまでマメではなかったらしいが、付き合う前と後では明らかに頻度が落ちていた。
しかし、彼も忙しい身だろう。会えないことやLINEがちっとも返ってこないことは百も承知なのだ。・・・でも、付き合っている関係として、後輩ちゃんは明らかに”我慢”していた。忙しくて頻度が落ちるなら、そうと言ってほしい。ひとりの時間が欲しいなら、そう言ってくれれば。
後輩ちゃんはそれが聞けなかった。嫌われたくなかったからだ。理解のあるいい彼女でありたいから、ひとりで我慢して、でもどんどん心は病んでいる。
付き合う、ということはお互いが好き合っていて、ギブアンドテイクの精神じゃないと成り立たない。どちらから重たすぎたり、どちらかが塩対応すぎると均衡は崩れる。話してすり合わせて、それでお互いが歩み寄るならいいが、今の後輩ちゃんと彼との状況を見ていると、後輩ちゃんがひとりで我慢すればこの関係を崩さない・・・と思っているように感じた。
「他のメンズも見てみて、自己肯定感上げようぜ」
というわけで私は後輩ちゃんに比較検討の機会を作るよう促した。めちゃくちゃ簡単に言うと浮気しろと言った。後輩ちゃんの中で彼がNo.1のOnly oneすぎた。だからもやもやする。というか、付き合ってまだ2週間で何故そんなに入れ込めるのかが純粋に疑問だった。自分の精神安定のために、自分を守るためにも彼中心の気持ちを変えてほしかった。
・・・しかし、こう提案して、肯定的には返事が来るものの、「でもやっぱり彼が一番だなって思っちゃいます❤️」に頭を抱えた。ダメだこりゃ、そう思う自分が「まあ好きならいんじゃん?」と突き放しそうになる。
ふといい案が思い浮かんだ。男がどう考えてるかなんて、男に聞くのが一番だった。私は同居人の彼に後輩ちゃんの話をして、こういう彼氏らしいんだけどどういうことなんだろ?と問うた。
「他の女いるね、100いる」
秒で言われた。 ※あくまで可能性の話です。
「俺もそうやってたから」「その男の気持ちがよくわかるわ」
火の玉ストレートだった。 ※あくまで可能性の話です。
後輩ちゃんはひどく焦燥した感じで、でも本当にそうかもしれない・・・という気持ちだったろう。LINE見返すとそんな感じだ。というか余談だが同居人の答えに、私も謎に傷ついた。
ただ、※あくまで可能性の話です。 なのだ。考えうる可能性のひとつ。後輩ちゃんのガラスハートを叩き割ることを言ったが、そういう可能性もあるかもしれない想定もしておくべきだと思ったから。
ちなみに私もド直球で伝えすぎたなと猛省し、先述の姉さん(※前職の先輩。状況は知っている)に「言い過ぎてしまいました」と泣きついた。姉さんは納得はしたものの、「恋愛経験のないあの子にそれはストレートすぎたね」という意見。そらそーだ。時刻はとうに23時を回っているのに、おそらく眠れない夜にさせてしまっていた。
それに、姉さん的には後輩ちゃんの彼が単純に忙しくて本当に連絡を密に取れないかもしれないこと、後輩ちゃんも後輩ちゃんで(このご時世なのに)デート毎週したい、家以外の外デートがしたい、というオーダーは彼にとっても疲れてしまうものではないか?そういう可能性を私だけに提示した。これもなるほど当たっていそうで、現に体調を崩していて会えないなどという連絡も来ていたそうだし、「じゃあ次いつ会える?」とそこで聞かれては気持ちも萎えてしまうのは否めない。
この時点で、後輩ちゃんの彼の可能性は大まかに
・ヤリモク(お家デートにしか誘わない)
・仕事忙しい人間(かつ、釣った魚に餌やらないタイプ)
のどちらかなんだろうな、という推測が立った。後輩ちゃんは心底ドキドキしながらも、彼とのLINEの返事すら人に聞くようになっていた。こう返ってきました、どう返したらいいでしょう。と。そんな後輩ちゃんに、わざわざ返事考えて連絡来ても来なくても一喜一憂するならLINEするの止めたら?と提案した。だって、返事まで私がアドバイスしたらそれはもう私と後輩ちゃんの彼とのやりとりじゃん。
しかし後輩ちゃんは、返信しなきゃいいじゃん。に対して、こうだ。
「返信しなかったら、向こうに冷められたって思われちゃいません?」
「こんなに好きなのに」
「それが伝わらないの悲しいって思っちゃいます」
(´・з・`)
冷められた、というより既に向こうが冷めてるんじゃ・・?とか、
押してダメなら激引きするもの手段なのだが・・とか、
そもそも中身のないLINE続ける暇すら惜しいレベルよ・・とか、
全部肚ん中に一旦しまって、「じゃあもう後輩ちゃんの思ってることを直接伝えちゃうのが一番いいんじゃない」と答えた。もちろん、直接会って話せれば一番なのだが、正直電話という手段でもいいわけだし。
「会える日を私から聞くのは癪なので、向こうから言わせます!」
たぶん、女としてのかわいらしさとか売り込み方とかの経験値がゼロなんだろうなあ・・・としか思えない謎の上から目線にうっかりスマホを落としそうになる。どこから湧いて出てくるのか分からないその前向きな姿勢、嫌いじゃない。ただその根競べをしても意味ないし、傷つくの結局後輩ちゃんだし、そもそも彼は根競べの土台に自分が載っているとは微塵も思ってないだろうし。
結果、後輩ちゃんは彼に会いたい気持ちをちゃんと伝えることになった。
3.彼の好きなところ
純粋な疑問が浮かんだ。
後輩ちゃんは彼のどんなところが好きなんだろう、と。
後輩ちゃんの心を掴んで離さない彼の魅力を教えてくれ、と。
(顔べた褒めなので外見的魅力があることは置いといて。)
「どこが好きなの?」
「考えたら全部好きですね、、、
LINEと次の予定くれないところ以外全部好きです。完全に盲目だー」
(´・з・`)
「LINEと次の予定くれないところ以外ってどこ?顔と身長と?」
「以外全てです!
LINEが質素なところと予定をたててくれなかったところ以外ではマイナスな点がないんですよ、、、言葉にできないですけど」
完全に、彼氏ができたということに舞い上がって外見以外の彼の何も見てない感じの回答に思わず匙も自ら飛んでくレベルの返答。たかだか付き合って2週間くらいで、そんなにいいところが出てこないかもしれないし、それならそれで「まだ日も浅いのでわからないとこばかりですが、知りたいって思えるんですなぜなら~」の方が、そっかそっかふーんそうだよねー、って思えたのになあ。。
この後、この盲目具合が大変なことになるなんて、誰も知る由がなかっ――
いや、さすがにちょっとは予測できちゃいますね。
4.私ってセフレ?
土曜日、時刻は21時。
後輩ちゃん『お疲れ様!会えなくて寂しいなあ』
彼『おつかれー!明日会う?今からでもいいよー』
後輩『そうなの?今月は忙しいのかと思ってた!』
彼『明日が今月最後の休み!』
後輩『そうなんだ>< ごめんね、明日は行けないの。もっと早く知りたかったなあ。もう今月は会えなさそう?』
彼『来週撮影が入らなければ大丈夫!』
・・・
「この返信で、セフレ(都合のいい女)確定だと思ったんです。理由は、
今からでもいいよー、って21時の土曜・実家暮らしの女に言いますか?家も近くないですし、前いつ会えるか質問してもスルーだったのに、いきなり家に来ていいよって。大事にされてないんだなぁと思ってしまいました」
最近ハマってるVtuberの日曜朝7時のライブ配信を優雅に聴きながら、後輩ちゃんからのLINEを見た。ふむふむ、今回は会いたい、に対してちゃんと具体的に今からor明日を提示してきている。でも確かに実家暮らしなことを知っててこれかー。
なんて伝えようか迷ってると、同居人が起きてくる。これどー思うよ、と見せて、言われた言葉をそのまま後輩ちゃんに伝えた。
「判断難しいけど、人間的配慮に欠けてるよね」
「付き合ってばかりで寂しいって言われたら、寂しい思いさせてごめんねくらい言うだろ、そういうところだよ。いくら好きでも思いやりがない人とはねーこっちが傷ついちゃうだけだから」
ぐう正論だった。私が言いたかった言葉を全部言ってくれた。後輩ちゃんも、こちらから過度な期待をしないようにします。と少し目を覚ましてくれた。『いつ(撮影入らなさそうな日が)わかる?』とだけ返しておいて、返事を待つことにした。
「来週占いに行く予定なので、そこで彼のことを占ってもらいます・・」
ん?
占い。
「・・・自分のことについて占ってもらったら?」
「彼氏のことと、今後の出会いと結婚について占ってもらいます!」
突然ですが皆さんは占いってどう思いますか。男性より女性の方がこういったスピリチュアルなものを信じたり、指針にしたりしがちかなって思うんです。ちなみにこの後輩ちゃんや姉さん(先輩)と一緒の職場だった頃、VOGUEの「しいたけ占い」にみんなでハマっていたんです。「やばーい、しいたけ合ってる!」などとキャッキャしてましたが、冷静になって考えると「まあこれ誰にでも当てはまりそうなこと書いてあるだけだよね」って感じで目は覚めました。まあそうであってもいいとこだけ信じればいいかなって、そう思うんですけど。
「まあ、占いはいいところだけ信じる程度にしてな」
「30分5500円ですよ!」
ンーフーンーフー…www
とかってモヤッとしたこの気持ちが後々になって活きてきます。(真顔)
さて後輩ちゃんから、彼の返事が来た連絡が入った。『来週水曜にはわかると思う!』それだけだった。向こうはなーんも考えてなさそうで虚しいです、としょぼくれる後輩ちゃん。
「じゃあ水曜分かったら教えて!ってだけ送ってほっとこ」
というとその通りに送ったようで、水曜まで事態は動かないかな、なんて呑気に思っていた。思っていたら、5時間後に案外会話を続かせるような返事が来た。
『うん! 二度寝したら今起きた』
これに対して後輩ちゃんは会話を続けようとする文面を送りたいらしいが、私はなんとなーくもうこの彼キモイなって思ってたので、「そっか、お疲れ~でよくね?www」と返していた。こんな奴、塩対応でいいでしょう。
「こっちの話はする必要がないということですね!確かに向こうは興味ないですもんね。よく寝れた?でいきます!」
それ会話繋げとるやないか、と思ったけど私の意図が伝わったならヨシ!
・・・と思って見守る。30分後、返事が来た。
『まだまだ寝れる!一緒に寝よー?』
最悪な返信がきました、と後輩ちゃん。
マジで最悪や、と私。
セックスのことしか考えてないじゃん!、と同居人。
ここで、後輩ちゃんが姉さんにも相談をしていたことを知った。姉さんから「もう本人に聞いちゃえば?ねーねー、私ってセフレ?って」と言われ、これを敢行することにしたのだ。私もこれには全面賛成で、ちょっとこの返事はひどすぎた。どうやらおちんちんに脳みそがついてるやつとLINEしてるらしい、私たちは。
『ねーねー、私たちってセフレ?』
送信。
ドキドキが止まらない後輩ちゃん。それを見守る私たち。
そう思わせてしまったことに対して謝罪があるといいんですけど、と言う後輩ちゃんの希望は、次の返信で粉々に散る。
『なんで?』
身体の奥がスゥーっとして、うわこれやばいやつ。と本能が告げた。
『なんか不安になっちゃって』
きっと後輩ちゃんは泣きそうな顔で、否定してほしくて文章を綴っている。そういった温度感がLINEだと伝わらないのがもどかしいけど、気持ちを推し量ることはできるはずだ、ちゃんとした人ならば。
ここから、姉さんと私と後輩ちゃんと、後輩ちゃんが相談していたという友達の謎の4人グループLINEが始まった。
5.決戦は月曜日
後輩ちゃんの全面バックアップ兼つらさの捌け口グループだった。時刻は21時を回っている。そろそろ、未読無視されて『寝てたー』で逃げられてもおかしくない時間だった。
「そしたらもうやめよ?この人は」姉さんが言う。
未読無視が一番アウト臭がする。でも、返事が来るとしたら何が最悪か。同居人が教えてくれていた「俺なら謝ってそう思わせないようにするねって言って、3日間くらいちゃんと返事してめんどくさくなったらポイ」、この線もある。
30分後、返事がきた。
『そっか、そう思わせてごめんね』
姉「うわぁ」
友達「うわっ」
私「(同居人が言ってる通りにきた・・・)」
この後に、連投で弁明が来るかもしれないからと一旦返事を待つ。ちなみに来そうな弁明としては『仕事が忙しくてなかなか時間作れないけど、少しでも後輩ちゃんに会いたいから誘っちゃったんだよ』あたりか。
しかし、甘くなかった。返事はそこで止まった。メンズの考えがわからない私たちは、同居人に意見を縋った。
「セフレなの?に対して明確な返答が得られてないから、これはもっかい聞いてもいいんじゃない?」
踏み込んでしまったから、とりあえず白黒つけたかった。
姉さんは「え、で結局セフレということ?って聞いちゃうな」と言い、
後輩ちゃんは「①否定してくれないのかな ②セフレなのかな」のどちらかと言い、「①は舐められるからやめろ」と全力で止めた。
返事を待つ間、「もうやめよう、この男」「時間の無駄ですね」「別れた方がいいと思います」と各々が口を揃えて後輩ちゃんを止める。後輩ちゃんの、「こんなことできる人が世の中にいると思いませんでした」というのは、今まで恋愛経験をしてこなかったからこそ出てくる言葉なのか。
「信じられなさすぎます。こんなに好きで、今でも好きで、お互いに惹かれてやっと付き合えたと思ったのに」
後輩ちゃんは、文字だけでも泣いていることが伝わる。後輩ちゃんなりに恋をして、惹かれて、告白されたことで惹かれあったと感じて、好きでいる気持ちをとても大切にしていたのだ。そんな後輩ちゃんに姉さんが厳しい言葉をかける。
「男は、やるために付き合う人もいるんだよ。だからいっぱいいろんな男の人みて、これからどんどん経験値積んで、いい男みつけよ?」
なるべく前を向きやすくさせるように、厳しくても優しい姉さんのぐう正論は後輩ちゃんの心に染み渡っているだろうか。
結局、返事は一時間以上経っても返ってこなかった。
「何がダメだったのか、最後に聞きたいです」
後輩ちゃんが言う。なーに言っとんねん、と思った私の気持ちを、姉さんが代わりに言ってくれた。
「んな、聞いたところで本当のこと聞けるわけないじゃん。そんなこと聞いたら、余計うまいこと言われてキープされてセフレつづくよ?それでもいいの?」
何がダメとかじゃないんだ。そもそもやることしか考えてないんだから、後輩ちゃんに悪いところがあってキープに転落したわけじゃない。好きな時にやれる女=彼女、って考えてる男なのだ。
「本当に最初からそのつもりだったのかだけでも聞きたいです」
なーに言っ(略
「こいつと答え合わせは無理」「いえす、無理」、後輩ちゃんに厳しくても、現実受け入れる方法が分からないことは知ってても、女々しすぎる後輩ちゃんを叱咤する。このあたりから、私はこの事の顛末をnoteにまとめるゾ!と半ばウキウキしていた。この時はこんな男がいるんだよ全く!といった内容になるかなと思っていたが、書いてみると見え方全然違って見えますよね。
「明日も返信なかったら別れを言って、返信があったら、最初からそういうつもりだったのかを聞くのはだめですか?」
「だめです」即答だった。
「めんどくさってなって返信ないよ。余計傷つくからやめな」姉さんは勇ましかった。
「そんな答えてくれる男ならとっくに都合いいこといってきてるはず」
「この大事な話してるときにこんだけ返信がないのがもう答えよ」
「何を聞いてもはぐらかされると思う」
やはりこの布陣は最強だった。完璧かつ的確な援護射撃で後輩ちゃんに打ち込める。言ってあげなきゃ、今後も同じことになる可能性が大だから。
「わかりました、明日の返信も待ちますが返信なかったら私から別れを言います」
時間はとっくに23時を過ぎていて、もうすぐ月曜日になるところだった。明日も仕事な私たちは、これで一旦終了かなとスマホを伏せた。
0時ぴったり。スマホがLINE通知を告げる。
『なんでそうなるの?』『違うよ』
2時間かかって、彼から返事がきたとのことだった。それにしても返事が質素だ。「違うなら何だよ、具体的に否定しろよ」思わず語気の荒さそのままを文面に打ちつける。埒が明かないことは明白だった。
「私だったら電話するかな」と言った私に、姉さんも「電話賛成よ」と乗っかってくれた。不安に思った要素を直接言っちゃえ、と。
「電話していい?って言うべきでしょうか」
「いい?なんて言わないでかけろ」
「話すことまとまってないです」
「まとまってなくてもはなしな」
私たちに愚痴ってたことをそのまま話せ、気づいたら私も姉さんも語気が荒い。たぶん双方思ってることは同じなんだろう。
「電話していい?だけ言ってから電話します」
「なんで許可とるの?いみわからん」「下手に出るな」
本当に意味が分からなかった。相手本位すぎる。ここから、後輩ちゃんの返信が止まる。電話してるのかな?と思ったとき、一枚のスクショ画面が来た。
「誰かと電話してるみたいです」
姉さん曰く、男がそんな長電話しない。10分経ったらかけ直しな。とのことだった。言われたとおりに、10分後またかける。まだ通話中。
「もう今日はやめた方がいいですかね、、返信くれないですし、電話にも出ないって」
0時半を回っている。本当なら連絡を取ることすらやめてほしいレベルなのだが、個人的にはこういう話を切り出してしまった手前、後回しにするのは絶対にダメだとも思う。姉さんも「恋愛なんて朝まで寝ずに大喧嘩とか、普通にあるから。本日中に片づけなさい」と追撃してくれる。
姉さんは頼りになる。それと、人脈モンスターだ。
サッカー選手と(当時未婚)合コンしてたり、他の選手ともLINEしてるくらい。(グループLINEだが)
昔は野球選手の嫁を夢見ていろんな球団の選手も知ってるし「友達ー」という。いったいどんなフレンズなのかはさておき。
「彼のフルネーム知りたい。私の周りでつながりあったら、音信不通になったときにそっから辿って締め上げる」
姉さんは頼りになる。それと、特にTV局の人脈モンスターだ。
制作会社なら人脈を辿れば、すぐに辿れるのだ。過去ほんとにこれで男が既婚か未婚かを調べ上げたことがある。定年退職したらふたりで探偵事務所を立ち上げたい、と本気で思う。
6.恋は盲目
「電話はもうこっちからしないほうがいいですよね?三回目ですけど」
「え、かけていい」「かけよ」
本来ならば鬼電レベルよ、と付け加える。時刻は1時。後輩ちゃんからすぐに返事がきた。「ダメでした」と。ブロックされたかどうかを確認すると、どうやらブロックはされていないみたいだ。まだ通話中らしい。
「明日もお仕事なのにごめんね、電話したい って打ってみようと思うのですが」
ここですかさず姉さんと友達から文面の添削が入る。「ごめんねはいらない」「謝る必要はまじでない」その通りすぎて文章を追うだけの私。
「謝る必要はないんですけど、柔らかくしたくて」
「柔らかくする必要ある?」「舐められるよ」こんな男に言い方を柔らかくしてあげる必要は全くないのだが、後輩ちゃんは怒ってると思われたくないらしい。なぜ彼氏にそんな気遣うの?と姉さんが聞いた。
「やっぱり好きだからです、、めんどくさい話じゃないよって思ってもらいたくて」
やっぱ好きなんすね!!一番シンプルで一番めんどくさい理由だった。どこが好きなのかはもう言及してもダメです。
「怒ってないならいいやー電話出なくて、ってならない?もうこのやりとりからめんどくさくない話じゃないことは伝わらないよ」姉さんはいつも的確だった。それでいて優しい。ちなみにここもまだ文章を追ってるだけです私は。
いい加減に出てくれない電話に、「その電話終わったら電話したいな」くらいは言ってみてもいいのでは?ということでその通りに後輩ちゃんが送る。ちなみに出会いがアプリなことと、日が浅いことの弊害で携帯の番号は知らなかった。知っているのはLINEと、お家だけ。
ここで、通話中に別から通話がきた場合に通知はいくのか?の実験を三人で行った。後輩ちゃんの友達は仕事のため就寝。私たちは在宅勤務だし全然大丈夫。
後輩ちゃんと姉さんがLINE通話をしている最中に、私が姉さんへLINEで電話をかける。「どうですか?通知いきました?」姉さんに聞くと、「きた。ぴこぴこってなる」ということだった。つまり後輩ちゃんの着信は、彼に確実に伝わっている。
2時近く、ようやく呼び出しができるようになった。しかし出ない。既読もついていない。最低だ。何度も鬼電させたが、彼が応答することはなかった。
と、突然、泣いているであろう後輩ちゃんが思いの丈を綴ってきた。
「ショックです、今までの思い出が全部蘇ってきて」「こんなに辛いなんて、彼以上の人いないと思うんです」
うん、彼以上の顔面レベルの人、って読んでいいのかな。
「ってみんな別れるとき同じ事いう」と姉さん。「彼以上っていうけど、後輩ちゃんは彼の何をわかってるの?まだ二週間しか付き合ってないよ?」
ちなみにここ、私はまたもふたりのやりとりを追うだけでした。なぜなら後輩ちゃんと一日違いで私にも彼氏ができており、この時点で私もまだ二週間しか付き合ってないからです。(これが先ほどから出てきていた同居人です)私が言ったところで説得力皆無。あ、でも好きなところは全然言えます。後輩ちゃん、言えなさすぎね。
「見えてた部分は全部理想で素敵でした」
「セックスするために装ってた姿」「出会った日から最後に会った日までの、セックスするために、気に入られようとして装ってた姿が理想だった?」
「何を考えてるかわからない彼が好きだったので」「やっぱりまだ嫌いになれなくて」「ごめんなさい」
本当になんでここまで入れ込めるのかが不思議だった。好きな感情は否定しないが、後輩ちゃんに対してひどいこと、不誠実なことをされて自分自身のプライドは傷つかないんだろうか。
「もっと彼といたら、我慢しながら言いたいことも言えなくて、いつも機嫌とるように下手下手に出て。
やりたい時だけ、うまーく甘い言葉囁いて、うまくころがされて、でも彼に会えた時はうれしくてそんなことも忘れて。
彼が会おうって言ってくれるのを不安になりながら待つ日々よ?
彼から見たら、そんな自分の意思もなくて従ってばかりいる子のどこが魅力的かな?」
私も今まで恋愛の成功体験なんてない。縋って縋られて、女々しい恋もしたし、女々しいなコイツマジ無理って思ったことだってある。でもその経験一つひとつが経験値になって、次の恋の糧になったり、逆に不安になる要素にもなったりする。そうやって傷ついて傷つけて、いずれ成功すればいい。姉さんの言葉は、私にはズブズブに刺さった。しかし、後輩ちゃんにはそこまで刺さってなかった。
「彼の言葉や行動が本当に全部嬉しかったです、好きとか愛してるとは言ってくれなかったですけど」
ンーフーンーフー
まあ言葉にすることだけが全てではないですが、やっぱり言わなきゃ分からないし伝わらないはず。はずなんですが、後輩ちゃんは勝手に盲目になってるので、全ての行動が自分のためにしてくれて嬉しい!好き!ってなっちゃってるのかな。なんて。
「電話じゃなくて、直接会ったときにこの話自分から振れた?」姉さんが聞いた。嫌われるの怖くて言えなかったかもしれないかどうか。
「きっと怖くて言えなかったと思うの。そしたらこの本性分からずだよ?もっと長くいて彼と思い出作ってからのほうが、余計に傷つくよ、、
だから、このタイミングでよかったと私は思う」ごもっともだった。しかし。
「これが本性だとはまだやっぱり思えてないんです」
私と姉さんはバトンタッチした。なぜか、私の周りに盲目になっちゃってる友達がいるから、なんとなくこのまま放っておけなかった。
「思えなくて、逆にどう思ってるのさ」と問う。「何か理由があるんじゃないかと」と後輩ちゃん。「どんな理由よ」こうなったら聞いてみて全部否定するくらいじゃないと。
「セフレは違うって言ってくれてますし、嘘かもしれないですけど、否定してくれてよかったって思う自分がいます」「(理由は)思いつかないですが、、ちゃんと会って話したいとか」
彼を信じる要素なんて何一つないのだ。「思いつかないなら、理由なんてないわけで」具体的な否定より何より、大事な言葉を言ってもらえてない。
「後輩ちゃんは彼女だよ、の言葉がないもん」姉さんが息を吹き返した。「本性とは思えなくても、これが本性なのよ」「言葉では何とでも言えるんよ。行動でちゃんと見て?」
後輩ちゃんも分かってるとは思うが信じたくないだけなんだろう。きっと。そうだと言ってほしい。否定されすぎて意固地になっているだけであってほしい。
「行動はもう、明らかなのも分かってます。受け入れないために必死で理由を探してます。明日、まだ勝算があるのではないかなと」
ちょっと待て。勝算?勝算とは?私の頭の中ははてなマークでいっぱいになった。この子本当に意固地になりすぎてるんじゃないか。それが否定された私たちに対してじゃなくて、彼に対して・・・?
「後輩ちゃん、落ち着いて。何がしたいのか教えて」姉さんが聞いた。
「向こうからの連絡によっては、まだ付き合い続けられる可能性があるということです。話し合って、ちゃんとお付き合いしたいです。お付き合いができなくても、話し合ってこのモヤモヤを解消したいです」
姉さんが黙った。間髪入れずに私からも追撃した。
「ならば電話に出るまで、なんなら家突撃するくらい行動に起こそう」私たちの言葉は響いているようで、なーんも響いてなかったことを痛感する。でも姉さんの名言はしっかり残しておきたかったので、いまnoteでちゃんと綴れてる自分に拍手喝采だ。
「言い方悪いけど、こんなひどい人でもいいけどお付き合いしたいのね?だったら無理矢理でも話す機会を作りなよ。家に行くとか。それできっちり話つける。それしかないんじゃない」姉さんも匙を投げながら言った。
「本当はこんな人じゃないとまだどこかで思ってます。話せばわかると思ってます」
たぶん、話しても向こうの考えは分からないしマトモな答えは返ってこないことは明らかだったが、「そう思うのなら、そうしな」と背中を押すことしかできなかった。
「今日の朝、彼の家に行くべきでしょうか。お二人の意見は、もう何もしないでしょうか」
私と姉さんの意見は同じだった。自分の立場なら二度と会いたくないと思うからまず考えが違う。ここまで自分をクソみたいな扱いしてくる相手は自分から切る。自分のこと大切にしてくれない人に縋ることはしない。
でも後輩ちゃんは違う。話せばわかってくれる(何を?)と思ってるってミリでも信じてるなら、話す手段に移すしかない。
「今日の朝、彼の家にいきます」
後輩ちゃんがそう答えた。
7.直接対決
グループLINEが終わったのは3時半頃だった。その後姉さんとも個別でLINEをしていて、寝るのが4時を回った。さすがに完徹するゾ!と意気込んで酒飲んでラーメンかっ食らった私も眠かった。昔ならオールとか出来たのにこれが加齢かな。
朝。スマホがブーブー鳴っている。電話のような一定のリズムではなく、不規則だけど連投してるような感じの通知だ。
トイレに行きながら画面を見ると、4人グループのLINEだった。
指示待ち人間か。
と思わず笑ってしまい、そのまま草となって文面に打ち込んでしまう。これ私が開かなかったらどうしてたんだろ、と思いながらも「いけちゃったなら突撃や」と軍人さながらの突撃命令を下す。あ、でもやっぱ一応最後に電話鳴らしてみてからの方がいいかも、と突撃命令は数秒で取り消し、先に電話を掛けさせた。
「出ませんでした」「ピンポン鳴らします」
出てくれる確証はない。案の定「出ませんでした」と後輩ちゃんが言う。しかし彼も仕事があるから、籠城は無理なのを承知だ。出るまで待とう、そう言ってから30分間、返事が来なくなった。
30分後、「入れました」「いま話して、出ました」と連絡が来る。今日仕事の後話そうということになったらしい。一歩前進した。
「ボイス録音してあります」と、後輩ちゃんが言う。24分間のやりとりをずっと録音していたらしい。もうそれは信用ならん人に対して言質取るときにすることや、と内心思ったが、まあグッジョブでしょう。
「昨日の通話は、スピーカーで仕事の電話してて、朝電話きてること知ったと言ってました」「基本何にもいってくれなくて、言い訳ばかりでした」「要約できないので、聞いてほしいです」
その後、録音されたデータが届いた。聞いて、何か言ってあげられることがあるかなと思いつつイヤホンを用意して録音を流す。後輩ちゃんの泣き声から始まった。ガサガサと衣擦れの音がする、携帯の安置を探っているようだ。
本人が行ってよかったと思うなら、それが一番だけども。聞いてる感じ、9割後輩ちゃんが喋っていて彼はまともに言葉を発していない。さすがに文字起こしはしないが、彼の喋ってるとこだけ文字起こしすると、
「そんなことないよ〜」
「好きだよ〜」
「タイミング悪かっただけじゃん〜」
「体調悪いって言ったじゃん〜」
・・・
これ私と同い年の男?
動揺する。ある種ホラー映画を見てるような感覚だった。
「胸が苦しいです」
結局、無理して会いに行って自分の不安に思ってることを伝えたのに、明らかに面倒としか思ってなさそうな、思いやりのかけらもない返事ばかり。イヤホンから聞こえる後輩ちゃんの涙まじりの声が、気持ちが、ただただ虚しい。暖簾を手で押すのって本当に虚しい。
「どこが好きなの?って聞いても楽しいところ とか浅い回答ばかりで、もっとちゃんと言葉にしてほしいのにそれがなくてがっかりしました」
「私のことどう思ってる?→好きだよ→好きだからどうしたいの?好きだけど別れる?って私から言わないと何も言ってくれない、体調悪いっていったじゃん って言い訳をする→一昨日くらいまで体調悪かったんだもん→聞いてない、体調よくなったって言ってた、体調よくなったのになんで予定たててくれないの?」
要約すると、全部他人本位な割に家に来て欲しい時だけ「一緒に寝よー?」、と平気で言える感じの人。
「なんで昨日のLINEで焦らないの?って聞いたら、なんて返したらいいかわからなかったとすごいその場しのぎの言い訳でした」
個人的には、もっと言い訳が上手くて謝れるような人だったら、それはそれで後輩ちゃんが「彼を信じます!」と盲目状態から抜け出せなくなりそうだったので、今回の相手が例えヤリモクだとしてもこの程度の人間で本当に良かったなと思っていた。
「よく頑張ったね、朝から」
自分なりに彼がどんな人なのか、納得させるために朝から家に突撃するガッツ、嫌いじゃない。彼側からしたら恐怖でしかないけど、無視決め込んだ方が悪い。
「めちゃくちゃ泣きました」「顔みたらもう止まらなくて」「彼はずっと同じ顔でしたけど」
同じ顔だったんかい。「もうねその時点で温度差やばい」とりあえず人として不誠実カス男なのは確定した。こんな奴を信じる道理がない。
姉さんが起きた。「私はそんなクソ男を好きな後輩ちゃんにショックです」まさにこれだった。
「この人話し合うつもりなくて、その場しのぎで言ってるとしか思えない。その場凌ぎで関係続けても、ずっと辛いよ」
姉さんが一枚のスクショを送ってきた。スヌーピー様の格言だった。
それそれそれそれー!!!そういうことよ!!!!!と私の全細胞が肯定する。スヌーピー様の格言がほんと言いたいことの核心を突いてくれた。
「大切にしてくれてると思えた言葉はなかったので、そこを言ったら何を言っても信じてくれないから、みたいなこと言われましたね、、」
己がまず信用するに値する人間かどうかだろう、と私は思うわけで。信じられたいならまず信じられる人間であるべきなわけで。それが、マッチングアプリで知り合ったという入り口なら尚更。同居人はちゃんと携帯の番号教えてくれたし、何故かスマホのロック解除の方法まで教えてくれた。いや別に見るつもりないからいいよと言ったけど、不安にさせる要素をなくしたいから、と。なので私もロック解除の番号をなぜか教えることになったが。(やましいことないんでモーマンタイ)
「付き合い続けたい、変わるからみたいなこともなく、おそらく彼は今日、色んな人に相談して、別れる道を言ってくるんじゃないかなとおもってます」
おそらく彼は「はーめんどくさい、朝から疲れた、家まで来られたから何されるか分かんないからとりあえず話聞いたけど帰ってからも話さなきゃいけないのかだるいな」としか思っておらず、色んな人に相談なんてするわけがない。
「勝手に良い方に考えるな」姉さんが言う。その通りだ。彼も同じく悩むわけないじゃん。そういう人じゃないの、いい加減分かれよ。
「向こうが、変わるから付き合い続けてほしいって言ったら継続して、それ以外は別れようと思います」「向こうがどう伝えてくるかで、白黒はっきりさせます」
なぜ向こう本位なのか。そこに己の意思はあるんか?女将さんも前のめりで聞いてくるレベルだ。あなたの意思で考えなさい、と姉さんも言う。
「振って、すぐわかったって言うか嫌だっていうかもみたいなと思ってます」
「後輩ちゃん、相手がどう出るかを考えないで。あなたが思うようには出ない」
「好きなんですよ…」後輩ちゃんはまだまだ現実を受け入れていなかった。だんだん読んでる方も匙投げたいなって、そう思ってるんでしょ。私だって投げたいんです。もうしばらくお付き合いください。
「嫌だって言ってもらえたら満足?」
「私は付き合い続けたいんです。
でも今までと変わらないなら、別れる道を選択すべきだというのはわかってて」
姉さんも、これは何言っても無理だと悟ったようで文面から滲み出るイライラをうまく隠しながら言葉を綴った。
「自分にちゃんと向き合ってくれない、そんな辛い付き合いでいいならもう続けな。しかし辛いからね」「その覚悟があるなら突き進めば。ボロボロになるの覚悟で」「それくらいのことを後輩ちゃんはしようとしてるのだよ?」
「向こうから、絶対私以外考えられないという情熱を感じられるかで決まると思ってます。ただほぼ100%ないので、別れる決心はつけて挑む予定です」
それを付き合って3週間くらいの人間に求めちゃだめだよ。
おまいうだが、言わずにはいられなかった。まあほら、私と後輩ちゃんとはお相手も違うんでいっかなって()
もう後輩ちゃんの彼は、他に女がいるとかいないとかそういう次元の話ではなかった。携帯見せてもらってやましいことがあるとかないとか以前の話。
「やましいことがなくても、後輩ちゃんに対するこの行動。愛情があるとは思えないって思わない?
言葉ではきっと、もうめんどくさいからとりあえず宥めるために、言うよ?
ちがうよ、タイミングが、風邪引いてた、好きだよ。
でもその言葉に伴った行動がないよね?言葉ではなんとでも言えるの、行動でちゃんと相手みないと!愛情を与えてもらえない相手に縋ってまで、一緒にいたいかい?
みんな悲しいよ?後輩ちゃんがそんな舐められた態度とられるのを見てるのは。。。」
姉さんがなんとも真摯な返事で感動した。その後も後輩ちゃんの友達から、「本当に残念だけど、早く別れたほうが身のためだと思います」と猛攻。その甲斐あってか、頑固な後輩ちゃんも口を開いた。(LINEだけど)
「皆さんのアドバイスが正しいのは本当に理解してるんです、どうしたらいいかわからなくて、あとで頭冷やしながら考えます!」「ずっと決心つかなくて心臓が痛いです、皆さんにほんと申し訳ない、、」
人の洗脳状態を解く方法って面倒だし疲れるけど、こうやって見捨てずに周りの人が目を覚まさせてくれるのが一番の特効薬なのかなあなんて思いながら、それでもまだ完全には解けてないな、頭冷やした結果が怖いけど、と文字を追う。
「このアドバイス聞いた上で、後輩ちゃんがどうしたいかだから!
自分が納得するように行動しなね?そうすれば後悔もないからさ」
今回はただの盲信(盲目?)なので、無理矢理別れさせたりするようなことではない。これだけの意見を聞いて、自分の頭で考えて、自分の納得のいく最適解を見つけてくれればそれがゴールなんだろうと思った。
8.恋の終わり
「まだ会えてません><」
結局、20時くらいに仕事が終わりそう、と言っていた後輩ちゃんの彼は、19時過ぎになって「ごめん、のびそう。。。」と連絡が入った。後輩ちゃんは結局22時近くまで待っていたが、「まだかかりそうとのことで、日を改めます、私も眠すぎてしんどいので、、」とのことで、後日改めて、ということになった。
そっかそっかー、仕方ないよねー。
・・・で収まらないのが私の腹の虫だった。ハラワタはとっくに煮えくり返っていた。嫌なことあったら後日に後日に先送りして解決しないんじゃない?この男。
「シンプルに考えてやっぱこの男クソじゃね?彼女に対する誠意があるとは思えん、やっぱのびそう。。なら、それに対しての払拭を向こうから提示すべきでしょ。
いたくないかもしれないけど家にいていいよ、とか
今日は遅くなっちゃうから明日必ず時間作るよ、とか
そういうリップサービスすらできない男はクソでは???と思うのは私だけ???」
感情がバグっていた。こんな仕打ちされていい加減目を覚ましてほしかった。逃げに徹してますよ感出されるとこの男が哀れだと思うし、こんなのに振り回されてる後輩ちゃんはもっと哀れだ。
「遊び慣れてないくせに都合悪いと逃げるところが最高にダサい」「正直後輩ちゃんが今後、こいつのどんな態度も許して付き合うことを選択しても、紹介されたとて平常心ではいられんよ」
言いたいことを伝え終わると、ちょっとスッキリした。だって後輩ちゃんは「素敵な彼氏だから皆さんに紹介したい」って言ってたじゃないか。それでこの男を紹介されても、「あ、クズオブクズだ~www」としか思えないんだから。というか、私らはもうそうとしか思えないけど、それでもまだ付き合いたいってことでいいんだね?といった、ある種の最後通牒だった。
朝、後輩ちゃんから返事が来た。
「昨日の朝、(彼に)思ってることを伝えたのにも関わらずやっぱり最低限の返信で、相手の気持ちとか全然考えてないんだなっていうのがわかりました。
伝えることは伝えましたし、もうこっちから何も言うことはないので彼への熱量はガクッと下がってます。
予定が合えば向こうの気持ちくらいは聞きたいですけど、こっちからアクションしたりするのはもう辞めます!」
漸く、目が覚めたような文面だった。文章にはまだ続きがある。
「体調や仕事のせいにして、謝ることはなく、都合の悪いところは何も言わないで論点変えるのは信用できないですね。最後は『後輩ちゃんも(思ってたことを)言ってくれればいいじゃん!』なんて絶句しました。
昨日家凸したときも、仕事行かなきゃ・・・って自分のことばかり気にして、私の仕事のことは心配してくれず、落ち着くまで家いていいよとか、一緒に家出ようとかって言葉を期待してましたけど何もなく、私が帰るのを待ってるように感じました。
もうそれが答えですよね。
全部吐き出して、一日経って冷静に考えたら皆さんの言うことがすごく納得できるようになってました」
よかった、伝えたいことがちゃんと伝わって。それで冷静に考え直して、自分の中でもさすがにおかしい、と思えたならそれが進歩だ。安堵の表情で読み進める。最後にもう少し文章は続いていた。
「話し合いしても何も言ってくれない未来が見えますし、方向性はほぼ決まってます。
今は他にいい人がいないので、占いに全部任せてみるのも実験としてアリかなって思いました!」
・・・。ん?
寝ぼけ眼で読み進めるからだぞ、頭で理解できないのは。
今なんて書いてあった?もう一度読んでみる。
今は他にいい人がいないので、占いに全部任せてみるのも実験としてアリかなって思いました!」
追いつかない脳でとりあえずLINEの返事を打つ。「いやなんでそこで占いやねん!!!(ズコーーー」
違くて。いや、本人が前向きになってるなら違くもないかもしれないけど、気持ち的にはガックシ来ていて、なんでかはこの時言葉にできなくて。
「あ、もっとちゃんとオチつければよかったです笑」「いや、占い通りに行動するのめっちゃよくないですか?どうせ別れるつもりなら」
違くて!!!!!!
「あなたの人生は占い師が決めるの?って思っちゃうよ」
私たちは再三言ってきた中に、「最後は自分で考えて」云々みたいなことを偉そうにつらつらと述べていたはず。この結果が占い師に頼ることなら、それが自分で考えて出した結論なら他人がとやかく言うことでもないんだけどさ。。。ないけどさ!!!!!!!
「どうなるかちょっと楽しみじゃないですか?本当に当たるのか、見えてるのか、占いのPDCA回すのにいい機会ですよ!」
知らんけどさ、PDCAはさ。要はさ、彼に対してもだけど、人に判断をまかせるのをやめようぜ!って話してたはずでさ。そこに自分の意志をちゃんと反映させていこうよ、自分を大切にしようよ、自己肯定感上げてこ!☝☝っていうのが言いたかったまとめなんだけど、
・・・という気持ちが頭の中でぐーるぐる渦巻いて、これが本当に「言葉をなくす」ってことかー、としか考えられなかった。
「占いは、エンタメだからね笑」
姉さんが締める。ありがとうございました。
結局顛末は、彼から「今仕事終わった!」とだけ来ていて、待たせた挙句、話し合いができなかったことに対して謝罪もなかったため、もう返事をしていないとのことだった。現在時点で何も後輩ちゃんからは来ていないため、本当に関係は消滅したものと思われる。
後日、後輩ちゃんから占いの結果を聞いた。人の占いの結果なので細かく記載するのも変だしかいつまんでここに記す。
占い師から彼について言われたことを録音していたらしく、
「この人彼氏に見えない、めんどくさい!心の負担、プラスになってない。本当にやめた方がいい。いい人だったらこんなエネルギーにならない。悩んで悩んでやる気がなくなっちゃって鬱っぽくなっちゃってる。
この人との関係なんですけど、なんか早すぎない?付き合ったの。付き合う前に毎週会ってヤるまでがターゲットなんでしょ。獲物を求めてる男だよね。遊びだよ向こうは。向こうが本気になってる状況は見えない」
などと言われたようで、「占い当たってました!」と後輩ちゃんはブルっていた。
一方で私は、なんとも形容しがたい恐怖を覚えていた。
でも一言で後輩ちゃんに言うとしたら(伝わんなくても)、
そういうとこやぞ。
と。
別に占いを否定したいわけじゃないことは予め記載しておこう。私も数日前に(母からの熱心なお願いにより)占ってもらいに行ったので。それでも生きてくのは自分で、自分の意志で行動するわけだから。じゃあ極端に言えば後輩ちゃんは結婚相手の簡単な特徴まで言われてるけど、その人に合致する人じゃなかったらいくらいい人でもお付き合いしないの?と聞きたい。聞かないけど。
そもそも占い師が言ってること、我々が言ったことと寸分の狂いもなく同じ事を言っているわけでして。私はショックのあまり考える。
「結局これって、相談料が有料のほうを信じたってことっすかね・・・」
お金払う方が信ぴょう性あって、友人の助言はあくまでも意見のひとつで、ああ~なんか、相談料取りますか!?!?なんてファビョっていた。
9.さいごに
このnoteを書こう、と思ったのが、こういう男もいるんだよ!恋愛経験が少なかったり、盲目になってるとアブナイんだよ!というのをまとめておこうと思ったからだった。しかし、書き進めていくうちに、この時のLINEのやりとりを見直していくうちに「あれ?なんかこれ、どっちもどっちじゃね?」と思ってきていました、はい。
でも私たちの後輩ちゃんに対する助言とかを、たかだか数名のグループLINEだけに残しておくのも勿体ないから、どうかこの記事を読んで、同じような気持ちになってる人の助けになればいいかなあ、なんて思ったり。結局占いに行けばいいんだ!って思ったなら、もうそれでもいいです。笑
ちなみに後輩ちゃんは、「追いかけない自分になりそうなので、また彼と付き合えるんじゃないか?って淡い期待もあります(笑)」と恐ろしいことを昨日言っていたそうなので、さすがに震えが止まりません。おしまい。