令和の虎 503人目「日韓にファッションの橋を架けるプラットフォーマーになりたい」レポート
1.動画概要
日韓ハーフ 株式会社Adakust代表・塚田流々(24)による「韓国ブランドのアパレル製品を日本で販売し、自社販売製品の売上を拡大する」融資500万円中、500万円で完全ALL。
2.動画考察
・志願者の経歴から見るポテンシャル
志願者は日韓ハーフであり、日本語、韓国語を含む三か国語を話す。高校卒業後に洋服屋に勤務し、20歳で個人事業主としてアパレルビジネスを開始。その後、小売り事業の拡大を目的に株式会社Adakustとして法人化し、他社ブランドと自社ブランドの販売を行っている。
・志願内容と、その評価
本プランは「自社アパレル商品の売上向上のための販売管理システム開発」で、出資形態は融資、希望金額は500万円である。400万円は販売管理システムの開発、100万円は広告宣伝費に充てる。
ターゲット層は25歳~35歳で、韓国ブランドの洋服を日本で通販する形態を取っている。商品の中にはBLACKPINK(チャンネル登録者数9,500万人の、韓国の女性音楽グループ)の衣装デザイナーの手によるアイテムも含まれている。加えて、ブランディング強化と販路拡大に向けて、オンライン展開だけでなく、東京のショッピングモールに年2回出展することで実店舗での認知度向上を図っている。
しかし、事業全体では薄利多売の傾向と売上減少に直面していることから、高単価商材の販売へ移行しようとしている。
志願者は、韓国系高単価商材の競合が日本に少ない点を強みとする一方、時間不足により自社ブランドや高単価商材の戦略に十分なリソースを割けない現状がある。これを解消するため、業務の効率化と負担軽減ができる新しい販売管理システムを開発しようとしている。
プレゼンでは、通販で高価格帯の商品を販売するにあたって、購入者が実物を確認できない不安や、若いターゲット層は低価格帯を好むであろうといった問題の対策が求められた。志願者は、自分が日本語でブランド価値を伝えられると自信を示したものの、具体的な手法には言及していなかった。
また志願者は、取り扱うブランドの世界観を尊重しサイト構成にこだわることで購入意欲を促す考えを持っていたが、その説明も具体性に欠けていた。
集客方法についてもブランド認知や検索流入に頼ることになるため、確実な効果が保証されていない点も懸念された。
収益に直結する具体的な対策の不足や、通販で高単価商品を扱う難しさについて明確な解決策がなかったことから、収益見通しについては懸念が残っていたようだ。
・志願者の人間性
志願者には、日本と韓国のファッションを融合させた「JK(Japan Korea)ファッション」を確立したいという夢があり、90年代後半の日本の鮮やかなファッションを現代に取り戻すことに情熱を抱いている。
一方で「相談できる大人がいない」と率直に現状を認め「売り上げが下がった原因が自分にあるので、自分が変わるしかない」として、商品選定や販売スキルの向上に注力する意欲を見せた。虎たちに対しても「普段、どこで洋服を買いますか?」「24歳の時どうしてました?」など積極的に質問を投げかけ、学ぶ姿勢を見せていた。
出資が決まったときに「たんまりお返しします」と述べた態度からは、感謝の気持ちを素直に表現できる人柄が伺える。
・虎が出資する意義、メリット
志願者は若さと成長意欲を持ち、自己成長を目指している。このような若者の成長支援には意義があり、桑田氏は「自分のYouTubeチャンネルで販売支援を行う」可能性も示唆し、ビジネスシナジーにも期待を示している。聖菜氏も「日韓のファッション市場をつなぐ」という志を「夢がある」と評価し、日韓の文化交流に貢献する意義を見出している。
3.まとめ
高単価商材を通販で販売する勝ち筋については明確な答えが出なかったものの、彼を応援する意図から、完全ALLとなった。また桑田氏は、自分と絡むことでビジネスとしての期待感も寄せていたようだ。
志願者の純粋な成長意欲と高い志に共感し、ビジネスの側面だけでなく人としても応援したくなる気持ちを抱いたことが、出資に結びついた主な理由だと考えられる。