令和の574人目 AIインフルエンサーで日本の魅力を世界に届けたい レポート
1.動画概要
東京大学大学院卒・門脇明日香(40)による「日本の魅力をAIインフルエンサーで、世界40カ国へ思いを届けたい」 希望金額500万中、500万円で完全ALL。
・今回の虎
ドラゴン細井(AMASORA CLINIC 院長)
竹長 篤史(株式会社 電光石火 代表取締役)
山澤 礼明(株式会社FIT PLACE 代表取締役社長 株式会社REYS代表取締役社長)
谷本吉紹(株式会社エースタイル 代表取締役)
林尚弘(株式会社癒し~ぷ 代表 株式会社FCチャンネル 代表取締役)
・司会
雫石将克(フリーアナウンサー)
2.動画考察
・志願者の経歴から見るポテンシャル
志願者は、立命館大学理工学部でロボティクスを学び、その後東京大学大学院に進学しコンピューターサイエンスを専攻。学生時代から一貫して人工知能技術に関わり続けており、在学中には柔軟触覚センサーに関する特許を取得し、これを企業や研究機関に対して数千万円で売却している。
卒業後はソニー株式会社に入社。シリコンバレーへ留学したのち、AI制作を手掛ける株式会社キンドラーを設立、現在に至る。
なお、日本の人工知能研究の第一人者とされる松尾豊氏が主催するコンテストで複数回の優勝経験を持つ。特に、フェイススキャンによる診断結果をもとに個々のニーズに最適な施術を提案するシステムは、現在、自社事業として展開されており売上をたてている。
・志願内容と、その評価
本プランは「自社のAI技術を活用して、実在または架空の人物をモデルにした高品質なAIインフルエンサーを生成する」という内容で、希望出資形態は投資or融資、希望金額は500万円。資金は開発費にあてる。
志願者が手掛けるAI制作事業は、開始から約2ヶ月が経過し、すでに複数の発注を受けている。この事業は依頼者の映像や音声データをもとにAI技術を活用し、依頼者本人に似た実写レベルの動画や音声コンテンツを生成するものである。多言語対応が可能であるため、依頼者は撮影や言語学習に時間を割く必要がなく、効率的にコンテンツを提供できる。この利便性が受注の増加につながっている。
出資した虎には3ヶ月間無料でAIインフルエンサーを制作する特典が提供されるほか、投資の場合はIPO後の株式配当が用意されている。株式会社キンドラーは調査会社の評価で12億円の価値と算出されており、現在の年商1億円弱から4~5年後には年商40億円を目指してIPOを計画している。
本プランのビジネスモデルは他社でも実現可能であり、競争優位性が目立たない点が指摘されている。そのため、志願者自身の能力や経営者としての手腕が重要な評価基準となった。
・志願者の人間性
志願者はプレゼンテーションにおいて要点を簡潔に伝えることが苦手であり、説明が冗長になる傾向がある。また、事業開始から7期目を迎えた現在も十分な利益を上げられていないことから、経営者としての実績には課題が残る。志願者は、自身でプロダクトを開発する能力に強みを持ち、「プロダクトを作るのは得意だが、経営は難しい」と自らの課題を率直に認めている。そのため、営業やマーケティングについては専門スタッフに任せる体制を整えるなど、経営の難しさを補う努力をしている。
同社のAI事業は昨年から黒字化し、現在も利益を生み出している。黒字化の背景には、受託事業による収益基盤の強化がある。さらに、AI事業は2ヶ月間で原価200万円に対し1,300万円の利益を上げており、高い収益性が示されている。また、投資番組「エンジェルス」での即決出資を受けた実績があり、プロジェクトの信頼性が外部からも評価されている。
・出資する意義、メリット
本プロジェクトでは、出資額に関わらず3か月間無料で実写レベルに近いAIモデルを制作する特典を提供しており、通常数百万円以上かかる制作コストを考えれば、虎にとって大きなメリットである。また、2ヶ月間で収益を上げるAI事業の実績から、今後の成長性やIPOの可能性が期待される。
3.まとめ
本プランには全ての虎が100万円ずつの出資を決定し、合計500万円が集まり完全ALLとなった。出資が決定した主な理由は、AIシステムを3ヶ月無料で利用できる特典に加え、志願者の実績と将来性への期待が寄せられたことにある。
「100万円でAIを発注できる」という具体的かつ実用的なリターンは、虎にとって非常に魅力的であったと考えられる。未来への期待だけではなく、現在のリターンとしての実用性を強調できた点が、このプロジェクトを完全ALLに導いた最大の要因であろう。