令和の虎577人目 CBDのお菓子をキッチンカーで販売しCBD業界で日本一になりたい レポート
1.動画概要
元薬物使用社・須藤彩嘉(36)による「CBDのお菓子で業界日本一になりたい」 希望金額500万中、200万円でNOTHING。
・今回の虎
岩崎健人(株式会社喜創産業 代表)
島やん/島田隆史(株式会社お客様みなさまおかげさま 代表取締役)
桑田龍征(NEW GENERATION GROUP オーナー)
安藤功一郎(GA technologies (Thailand) RENOSY (Thailand) 代表取締役CEO)
林尚弘(株式会社癒し~ぷ 代表 株式会社FCチャンネル 代表取締役)
・司会
岩井良明(株式会社MONOLITH JAPAN 代表取締役)
2.動画考察
・志願者の経歴から見るポテンシャル
志願者は中卒であり、少年院に収容された経歴がある。出院後、16歳から20歳の間に大麻、MDMA、コカイン、覚醒剤を使用していた。その後、詐欺のほう助で逮捕され、執行猶予中に大麻使用で再逮捕されている。服役期間は合計で2年半に及ぶ。
その後水商売で生計を立てていたが、現在はCBDを使用した菓子店「Juicy Club」を経営している。志願者自身は更生したと話し、現在は薬物に一切手を出していない。一方で、大麻合法化を目指す活動も行っており、大麻が合法となっている国に行った場合には再び大麻を使用してみたいとも述べている。これに対して、桑田氏は「とてつもなく素直な人が来た」と驚きを示した。
・志願内容と、その評価
本プランは「自社で作っているCDB配合のお菓子をキッチンカーで展開する」という内容で、希望出資形態は融資、希望金額は500万円。
CDBは大麻の主要成分の一つであるが、精神作用を持つTHCとは異なり、安全性がWHOにより認定されている。リラックス効果や睡眠改善などの効能がある一方で、日本では大麻由来という点から「怖い」「悪い」といったイメージがある。
この誤解を解消し、CBDの正しい知識を広めるため、キッチンカーでの販売に加え、来訪者への直接説明、チラシやパンフレットの配布、LIVE配信を活用した広報活動を行う。
菓子店「Juicy Club」は創業4年目を迎え、月間売上は200万~300万円に達している。しかし利益は自身の人件費を抜いて60万円程度と、事業としては芳しくない。主な商品はCBDを配合したクッキー(2,600円)、グミ(1,800円)、マシュマロ(600円)であり、素材にこだわりノンシュガータイプの商品も提供している。実食した虎からは味の面で好評価を得た。
まず、CBDに対する社会的な偏見や志願者の過去の経歴が課題として指摘された。志願者は「CBD自体は安全性が保証されており、自身の経歴についても真面目に取り組んでいれば過去は関係ない」と説明したが、虎からは当人がそれを言うだけでは購入者の不安は払しょくできないと反論を受けた。「大麻を否定し、CBDの価値を明確に伝えるべき」との提案もあり、志願者は方向性の見直しを受け入れた。
次に、キッチンカーに資金を投じるよりもブランディングや広告戦略に注力すべきとの意見が出された。販売手法についても「良いものだから買ってもらう、ではなく、顧客が求める価値を売り手側が提供するべき」との指摘がある。これについても、志願者は改善の必要性を認め、キッチンカーでの販売にこだわらないことを了承した。
本プランについて志願者は方向性の転換を示したものの、具体的なビジネス展開の計画については、時間内に議論されなかった。また、リターンが年利12%で3年間という条件は銀行融資と大差がなく、虎からしてみれば事業としての魅力や収益性が不十分であると判断したと考えられる。
・志願者の人間性
志願者は厳しい家庭環境で育ち、中学受験失敗の反動から非行に走った。覚醒剤による逮捕を経験し、その際に金銭、信頼、友人、帰る実家を失い、一時期はホームレスのような生活を送っていた。更生した背景には、逮捕中に亡くなった祖父や、水商売時代の元上司の支えが大きかったという。
志願者は「前科者が就職で困る現実を変えたい」と述べ、自身の過去を振り返りつつ、更生した自分を示すことで社会的な価値を生み出すことを考えている。この想いに対し、桑田氏は「健全に戻った人間として応援したい」とコメントし、志願者の姿勢を評価している。
3.まとめ
本プランには、商品価値を評価した島やん氏が50万円、志願者を応援する意図から桑田氏が100万円、林氏が50万円を提示したが、総じて「キッチンカーというビジネスモデルは厳しい」という理由で、それ以外の融資は集まらず、結果としてNOTHINGとなった。
志願者はビジネスプランの変更を受け入れる柔軟性を示していたが、熱意や社会的意義を強く打ち出す点が不足していたと考えられる。特異な経歴を持つ志願者が、大麻を連想させる商品を販売することは、出資者にとってイメージリスクとなり得る。この懸念を払拭するためには、自身の過去を悔い、そこから得た社会貢献への思いを具体的かつ力強く伝え、出資者に納得感を与えるプレゼンが必要であったと考えられる。