透析中に断水したら?

クリニックに問い合わせたわけではありませんが、おそらく断水したら透析の継続はできないだろうと思います。
いま、多くの透析クリニックがオンライン、すなわち水道水の不純物を徹底的に除去して、透析液をリアルタイムに生成するシステムだろうと思います。その場合、ベッド数にもよりますが、多量の水が必要です。
オンラインでない透析では、既成の透析液を使用するので、断水の影響はそれほど受けないと思いますが、オンライン透析では「水が命」ですから、断水して即座にオフライン方式に切り替えることは難しいでしょう。オンラインHDFでは、希釈用にも透析液を使用しますし、透析液を備蓄することはスペース的にも難しいでしょう。

断水しても、ビルの受水槽に水が残っているうちは透析を続けられるかもしれません。しかし、透析以外にも水は使いますし、断水が解消してしばらくは濁り水が出る懸念もありますから、即座に水の受け入れを停止して、機器
を守る必要があります。 

オンラインで透析液を生成するには、何重にもフィルターを通して、さらにイオン交換樹脂膜を通し、徹底的に水道水から不純物を取り除きます。この水に「透析液の素」を溶かして、透析液が作られます。こうしてできた透析液は、血液に混じって体内に入ることもありますから、ごく微量でも不純物が残っていてはいけないのです。ですから、断水が直った直後の不純物が多い水は使えないのです。

おそらく、断水が判明したら、透析を中止し、返血を開始するだろうと思います。全く水が無い状態であれば、生理食塩水による「落差返血」を行うでしょう。生理食塩水は、その他の非常事態でも落差返血に使用するため、備蓄しているはずです。ただ、どれだけ透析ができたかによって、まだまだ透析不足の患者は、別のクリニックを手配するなど、対応が必要でしょう。
また、長時間の断水では次の組も透析ができませんから、他のクリニックに割り振るなど、手配が必要になります。

断水が解消しても、水質が安定するまでは透析液の生成に使えません。技士さんが神経を使うところです。

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