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タクシー四方山話 - 01「元彼が実家にご飯食べにくるんだよね…」

タクシーを使うのは年に2-3回で、ほとんどが空港からの帰りなのだが、お喋り好きで面白い運転手さんに当たることが多い。どうしても疲れている時以外、乗車中は一期一会のお喋りを楽しむことにしている。その中で印象に残っている運転手さんとの会話をいくつか書いてみようかな。

01. 「元彼が実家にご飯食べにくるんだよね…」

空港からの帰りだと20kgはある重いスーツケースを持っていることが多い。男性の運転手さんだとさっと持ち上げてトランクに入れてくれるのだが、その時は華奢な女性が運転手さんだったため、一緒によいしょと持ち上げることになった。

乗車後、あの重いスーツケースの中には何が入っているのかと聞かれ、母が「これ持って帰りな!」と用意してくれた食材やお土産がほとんどだと伝えたところから話に花が咲いた。母親の手料理で一番好きなメニューのこと、自分が同じレシピで作っても母と同じ味にはならないこと等、いわゆる「おふくろの味」についてひとしきり話したところで、彼女がふと、こう言った。

「うちの母は大勢で食事するのが大好きだし、大人数分作るのも得意で、誰がいつ食べに来てもいつもウェルカムなんだけど、元彼がいまだに実家にご飯食べにくるんだよね…」

察するに別れた直後ではないだろうし、別れても友人関係が続いているということなのかもしれない。だが、元彼側に未練があって復縁を目論んでいるのか、そんな気さらさらないけどいまだに元カノの母親に胃袋をがっつり掴まれたままなのか、さすがに細かいことは分からない。そこまで踏み込んだ話に展開していいものなのかも分からない。返事に困ったが仕方がないので、

「本当に料理上手なお母さんなんだね。私も食べてみたいなぁ!」

とだけ返した。その後すぐに自宅に着いたので会話はそこで終了。

あれからどうなったのかな?
「自分が同じレシピで作っても母と同じ味にはならない」って話で盛り上がったから、もし復縁しても「彼女の手料理よりやっぱお母さんのほうが美味しい!」って理由で喧嘩になりそうな気もする。笑
今でもちょっと続きが気になる。


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