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船員の産業保健を始めたきっかけと今日の活動

~オンライン診療から始まった不思議なご縁~


はじめに

私はもともと、オンライン診療の可能性に大きな期待を抱いていました。とりわけ顧客体験の向上が価値を生む利用方法を検討していました。その中で、企業への導入支援やオンライン診療部の立ち上げを進めていたのですが、まさか海運業界、しかも船員さん向けの産業保健につながるとは、当初は全く想定していませんでした。

本記事では、船員向け産業保健サービスを始めるに至った、ちょっと意外なきっかけと出会いの話をお伝えします。


1. オンライン診療を船で使えないか?

1-1. 三井住友海上の船舶営業部へのアプローチ

2022年7月頃。
オンライン診療部を設立したばかりの私は、「もし船上でもオンライン診療が使えたら、船員さんの健康管理が大きく変わるのでは?」と考え、三井住友海上の船舶営業部を訪ねました。保険会社の視点から見ると、海難事故や長期航海中の病気リスクを下げるメリットがあるのではないか――そんな期待を込めた相談です。

ところが当時は、オンライン診療自体の理解度もまだまだ低く、すぐに導入してもらえるかどうかは正直「分からない」という段階でした。三井住友海上さんにとっても、船社におすすめする際のハードルは高い。「まあ、可能性はあるかもしれないけど…」という雰囲気だったことを覚えています。

1-2. 逆プレゼンで見えた新しいチャンス

ところが、私が「オンライン診療を船で活用したい!」と熱弁している最中に、**三井住友海上さんからの“逆プレゼン”**がスタートしたのです。

「2023年4月から船員にも産業医選任が始まるんですよ。先生は産業医はできますか?」

国土交通省

正直、私は「船員に産業医の選任義務?」と驚きました。そういう流れがあるとは知っていたものの、海運業のニーズを把握していなかったのです。
しかし、オンライン診療の導入がすぐに難しいかもしれない一方で、産業保健の面で船員さんをサポートする余地は確かに大きいと感じました。そこで、まずは船員向け産業保健の可能性を本格的に検討し始めることになったのです。


2. 船員向け産業保健の道が開けた理由

2-1. 三井住友海上が一丸となって猛プッシュしてくれた

2023年4月の産業医選任義務化に向け、三井住友海上の船舶営業部の皆さんが動き出しました。驚いたのは、直接的なメリットがあるわけでもないのに、弊社を猛プッシュしてくれたこと。まるで自分たちの仕事のように「この産業医サービス、絶対船主さんの役に立つはず!」と盛り上げてくださったのです。

正直、そんなに応援してもらえると思っていなかったので、嬉しい反面、「これはしっかり応えなければ」と身が引き締まる思いでした。

2-2. オンライン診療から産業保健へシフト

オンライン診療の提案はまだ“時間がかかりそう”という反応でしたが、船員向け産業保健ならすぐにでもニーズがある――この方向転換が大きな転機となりました。三井住友海上さんと協力しながら、船舶の現場に詳しいスタッフや船主さんと連絡を取り、どんなサポートが必要なのか具体化していったのです。

  • 船員の健康管理体制の現状

  • 長期航海時のメンタル不調や病気のリスク

  • 船主さん側が抱える悩みや課題

現場のリアルな声をヒアリングするほど、「これは産業医の出番だ」と確信。2023年に向けて、船員向け産業保健のサービス準備を進めることになりました。


3. 今後への期待

三井住友海上さんや船主さんとのやりとりを続けるなかで、海運業界における産業保健の重要性を改めて感じています。

  • 海上生活の孤立感やストレス

  • 限られた医療アクセス

  • 企業としての安全管理や労務リスクの削減

これらの課題に対して、産業保健とオンライン診療を組み合わせたアプローチが効果を発揮するはず。「オンライン診療の提案をしに行ったら、むしろ産業保健を提案され返した」という不思議なご縁に始まり、奇妙なご縁は続くもので、まさに本日、「外航船向けのオンライン診療」サービス開始に向けたセミナーを三井住友海上さんの会場でさせて頂く事になっています。

1周回って、オンライン診療をまた船員さんの元に届けられる事を非常に嬉しく思います。


船員向け産業保健とオンライン診療を組み合わせたサービスを磨きつつ、企業や保険会社と連携しながら活動を広げています。もし、「船員向けの産業保健サービス/オンライン診療に興味がある」「海運業界の健康管理を一緒に考えたい」といった方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ

医療法人社団 政松会

船員さんにとっての安全と健康、そして海運業界全体の活性化のために、私たちは引き続き奮闘していきます。

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