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咀嚼と吐き戻し

吐き出せずに飲み込んだ言葉がたくさんある。あまりにも飲み込みすぎて、いっぱいいっぱいになって、何の前触れもなく突然吐き戻す。

吐き戻された中には、一部分が溶けた言葉や、かなり消化されて判別できない、止めや跳ねだけになった言葉もある。そしてこれは最近のものだろう、まだはっきりと読める言葉が残っていたりもする。
その言葉を目にした時、ああ、まだ私はそれらをちゃんと消化できていなかったんだと気づく。

きちんと咀嚼して、そして理解して飲み込んだ言葉なら吐き戻すこともあるまい。対峙するのを避け、中途半端に理解して咀嚼もそこそこに飲み込むから、こうなるのだ。
頭ではわかったつもりでいても、身体は正直なもので消化不良を起こす。そして決まって夜中に吐き戻してしまう。
吐き戻すだけならまだしも、吐き戻した勢いが鋭い矢となって誰かを射抜く時もある。
溜めに溜めた分圧力がかかり、放つ言葉にはいくつもの未消化の言葉の棘がついている。とめどなく放つ言葉の棘は、また誰かの中に飲み込まれてそして、また誰かが消化不良を起こす。
消化不良を起こして吐き戻し、誰かを同じ目に合わせてしまう事を繰り返す。何ら解決しない堂々巡り。
簡単に飲み込まずに納得するまで咀嚼する。それが出来るのなら悩む事もないし、吐き戻すこともない。

できないから未消化のまま残り続ける。