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風野灯織のひとり旅 4月
4月17日(水)
ダンスレッスンに付いてくださっている先生の勧めで、ジムに行ってきました。うちの事務所と提携しているそうで、事前に先生にお願いしておけば、月に何回か、関係者として施設をお借りできるみたいです。
自宅からそう遠くない場所にあったので、ウォーミングアップがてら、ジョギングで向かおうかとも思ったのですが、万が一そこで疲労が溜まってしまうと、ジムでのトレーニング中に集中力が削がれて、結果的に怪我へと繋がりかねません。ここは慎重に、歩いて向かうことにしました。
高校生の利用条件は三つあります。
① 十時〜十八時までであること。
② 初回講習を受けること。
③ 今後も、トレーナーさんがいる時間に予約をすること。
ということで、今日は初回の講習から受けさせていただくことになりました。ありがたいことに、現役でトレーナーさんでもあるジムの会長さんに見ていただけることになりました。
私は最初、ベンチプレス(仰向けになってバーベルを持ち上げる種目)や、スクワット(肩の上に乗せたバーベルを持ち上げる種目)など、基本的なメニューしか知りませんでしたが、ジムで行うトレーニングには目的別に豊富な種類があることを教わりました。しばらくの間は、必ずトレーナーさんがいらっしゃる時間に通うことになるため、覚えられなくてもいいから気軽に聞いてね、と仰ってくださいました。ありがとうございます!
ひととおり説明を受けたあとは、私専用のプランを作成するにあたってカウンセリグを行っていただきました。結論から言うと、私の場合はジムに設置されたトレーニング用の器具を使ったトレーニングをメインにするよりかは、自重によるトレーニングでフォーム調整を徹底したり、パフォーマンス前後のストレッチに対する知識を習得していくほうが良いと、教えていただきました。私に必要なのは、歌唱やダンス、立ち居振る舞いのための筋肉だからだそうで、怪我の防止や、動きのブレをなくすためのものになり、まだ発達段階にある体で無理をする必要はないとの判断でした。知らないことがたくさんあるため、こうして教えていただけて何よりです。
講習を終えたあとは、体力の現状確認です。基礎的なメニューをこなし、どれくらい耐えられるか、体の癖がおかしくないか、動きに違和感がないかを確認してもらうものです。ダンスレッスンの先生からも見てもらったことはありましたが、どうしても自主練をしている時間のほうが長くなってしまうため、我流のトレーニング方法になりがちだそうです。そこで悪い癖がついてしまうと、やがては怪我やパフォーマンスの低下に繋がるとのことでした。
自主練でもよくやっている『プランク』という基本メニューや、体育の授業で習う単純な腹筋運動などは、自分ではできているつもりでしたが、トレーナーさんに見てもらってフォームを改善したあとは、一回あたりの負荷が大きく異なっていました。一方で、自己流でやっていた頃には無理をしていた部分にも気付けて、そのまま繰り返していたら怪我をしていたかもしれないということも教えていただきました。
私はまだまだひよっ子です。トレーニングに限らず、努力すれば自分でなんでもできると思い込んでいた時期もありました。しかし、プロの方に見ていただくと、全然そんなことはないんだなと実感させられます。それは今日だけではなく、たとえばステージ前のリハーサルで音響確認をしていただくときや、テレビ番組の収録中にいただく指示なども、私ひとりでは思いつかないような演出プランや意図があるのだと気づかされ続ける毎日です。考えてみればそれは当然のことで、スタッフの方々やトレーナーさん、監督さんたち、それぞれの分野で何年もプロとしてお仕事をし続けてきているのですから。
では、どうして過去の私は、自分だけでなんでもできると思い込んでいたのでしょうか。それはきっと、まだ何も挑戦していなかったからなのだと思います。挑戦していなかったから、自分がどれだけ何もできないのか、ということについても知りませんでしたし、周りの方々がどれだけすごいのか、ということにも気付けていませんでした。
アイドルになってから、できないことにたくさんぶつかって、その度に悔しい思いをしながら、少しずつ乗り越えてきました。そのおかげで、他の人たちも同じように、いえ、私以上にたくさんの課題を乗り越えてきている方々なのだということがわかるようになりました。今回新たに教わったトレーニングや、今後のレッスンもまた、私が次の課題を乗り越えるための準備だと思うんです。
トレーナーさんは以前からイルミネのことを知ってくださっていて、すごく褒めてくださいました。私もトレーナーさんのようになれるよう、それから、これまでお仕事で関わったプロフェッショナルな方々のようになれるよう、頑張りたいと思います。ジムにも、また通います。