礼由香 × 西城樹里(アイドル)【LIENER NOTES:対談】
─ 本日は、礼さんが西城さんとお話したいことがあるとのことです。どんな内容でしょうか?
礼:はい。まずは読者の皆様、はじめまして。礼由香です。今日は樹里ちゃんをファンタジーなお話に巻き込みたいなということで、お声がけさせていただきました。
西城:なんだよ、それ(笑)。まぁ、由香にはよくお世話になってるから対談ってことなら全然オッケーだけどさ。
─ おふたりはどこでお知り合いに?
礼:『ミニフェス』です。私、放クラさんのこと好きすぎて、自分のユニットのメンバーを連れて一方的にご挨拶に行ったんです。まだ知り合いじゃないのに。そしたら、放クラさんが返り討ちってくらい優しく接してくれて!
西城:いや、先に親切してくれたのはレディバのみんなだろ。挨拶のとき、わざわざ菓子折り持ってきてくれたんですよ。しかも、うちらが大好きなやつ。
礼:ふふ、下調べはバッチリですから。
─ 今日は、ファンタジーなお話がしたいとのことですが。
礼:そうなんです。樹里ちゃん、パラレルワールドって信じますか?
西城:ずいぶんいきなりだな。えぇっと、「違う道を選んでいたら」みたいなやつだよな?それならたまに考えるよ。いま自分の人生の多くを占めているのは学校生活とアイドル活動だから、もしアイドルじゃなかったらどうしていたんだろう、みたいなことはさ。私、最初からアイドルを目指してたわけじゃなくて、スカウトされてアイドルになったんだ。だから、たまたまあの日ちょっとでも立ってる場所がズレてたら、スカウトされてなくて、アイドルにもなってなかったんだろうなって思うと不思議だよ。
礼:うんうん、いい感じの導入だね!
西城:ちょ、変な誘導すんのやめろよな(笑)
礼:あはは、ごめんね。それで?
西城:いまの私は、アイドルをやるって決めてアイドル活動を頑張ってるけど、もともとは選択肢にすら入っていなかったわけだから。っていうか、確率的にはたぶんそっちのほうが高かったはずで。そうすると、アイドルをやらなかった私は、アイドルをやっているいまの私とは全然違って、いまの私と違うってことは、同じじゃなくて・・・って、あれ?よくわかんなくなってきたぞ。パラレルワールドにいる私って、私なのか?
礼:いいね樹里ちゃん。だんだんハマってきてるね。
西城:いいねじゃねーっての!
礼:あは、ごめんごめん。パラレルワールドにいる樹里ちゃんは、いまの樹里ちゃんとは違うから「樹里ちゃんじゃない」って捉えることもできるけど、ここでは初級編!もし、樹里ちゃんがアイドルになってなかったらどうしてたなかってくらいに考えてくれたらいいよ。
西城:アイドルになってなかったら・・・。うーん、どうしてたんだろうな。実はさ、ちょうどアイドルになる前の時期って結構迷ってたことが多くてさ。これからどうしよう、どうなっていくんだろうってぼんやり思ってた頃だったんだ。だから、答えになってないかもしれないんだけど、アイドルになってなかった私が何をしていたか、正直、全然想像ができないんだよな。っつうか、対談なんだから由香のことも教えろよな。アイドルになってなかったら、由香はどうしてたんだ?
礼:私はアイドルにならないっていう選択肢を考えたことがなかったよ。だから、アイドルになってないパラレルワールドも存在しないよー。
西城:お、おい!ズルだろ!
礼:ふふふ。でも、どアイドルが好きだったのは小さい頃だったから、もし、パラレルワールドにいる私がアイドルになってなかったとしても、放クラのことは好きだったかもしれないなぁ。
西城:あー。それでいうと、私がアイドルになってなくても、もしかしたら放クラは好きだったかもしれないな。自分で言うのもなんだけど、放クラってさ、なんていうか、元気がもらえるんだよな。アイドルにならなくて、アイドルに興味もなかった私がどこで放クラを知るのかわからないけど、きっと放クラなら、電車とか、動画とか、私がふだん見ている何気ないところに登場してるだろうからさ。それを見て、自分と同年代の子たちが頑張ってるんだなって、きっと思ってただろうな。それはちょっと、想像できるよ。
礼:でも、樹里ちゃんがアイドルになってなかったら放クラは生まれてないかもしれないよ?
西城:ん?あー、そうか。いや、それは・・・そうなのか?あー!もうよくわかんねえよ!
礼:樹里ちゃん、その調子!沼にハマってきてるよ。
西城:変な煽りかたすんなって!
礼:樹里ちゃんに依頼したのは、ほかでもなく、樹里ちゃんのそういう反応が見たかったからでもあったりして。
西城:か、勘弁してくれ・・・!
礼:でも、ファンのみんなも喜んでくれてると思う!樹里ちゃんがこういうおとぎ話も真剣に考えてくれているところって。
西城:それは・・・そうなのか?っていうか、ファンのみんなの話を持ち出すのは卑怯だろ!
礼:えへへ。
─ 礼さんにとって、 パラレルワールドはどういうものですか?
礼:広場にある遊具みたいなものだと思っています。 私たちには「いま」以外のほとんどの瞬間が存在していなくて、 つまり、 いま目の前で起きていること以外のできごとはすべて存在していないわけですよね。 たとえば、 「私が今日こうして樹里ちゃんと対談していなかったら」というのも、厳密には存在しないできごとですし、 同じように「対談のテーマをまったく別のものにしていたら」というのも、考えることはできても実際には存在していないできごとですよね。 そういった「いま」目の前で起きているできごと以外のすべてのことは無限に考えられるわけですから、 遊ぼうと思えば永遠に空想して遊んでいられます。 なので、広場の遊具なのです。私はそうやって遊ぶのが大好きなので。
西城:えぇっと、いま起きてない全部の可能性を考えるのが楽しいってことか?
礼:そう!とはいっても、 こういうことは決してみんなが好きなわけではないと思いますし、 空想して遊ぶにもちょっと範囲が広すぎるんです。 いま目の前に起きてないことすべてって、宇宙みたいに広いじゃないですか。だから、もし「いまメインでやっている活動をやっていなかったら」くらいの制限をかけてあげると、無限にあった広場の中でも、限定的な遊具くらいのサイズにしちゃえるし、そうすると誰でも楽しめるようになるんです。よく「一億円当たったら?」みたいな話をすると思うんですけど、そういうふうに遊び方がわかれば、結構楽しめるものだと思うんですね。なので、今回でいうなら、「もしアイドルになっていなかったら」っていう問いを設定したんですね。とはいっても、最終的には樹里ちゃんをもっと広大なパラレルワールドに引き入れたいなって思っているので、最初からそういうテーマにしました。
西城:えぇっと、宇宙と広場・・・。わるい、またわかならくなっちまった!
礼:大丈夫だよ!うまく乗れてるよ。
─ 存在しないできごとをすべて空想すると何でもありになってしまうから、実際に起きた過去のできごとを起点にして、そこから『パラレルワールド』に入っていけば、誰でも遊べるといった感じでしょうか。
礼:そうです!
西城:なんとなくわかってきたような・・・。そもそも私が生まれてなかったら、みたいなことまで考え出すとキリがなくなるけど、『アイドルになってなかったら』くらいなら、私でも考えられるもんな。そういうことで合ってるか?
礼:そう!!樹里ちゃんから、そういうお話を聞かせてもらいたいなって。
西城:そういうことなら了解だけどさ、こういう話って、放クラだったら凛世とか夏葉のほうが得意そうだよな。
礼:きっと得意だと思う!凛世ちゃんも夏葉ちゃんも、たくさん引き出しがありそうだし、どんな話題にも乗ってくれそうだよね。でも、樹里ちゃんがこういうお話に何を返してくれるかは想像がつかなかったから、知りたかったの!樹里ちゃんって優しいから真摯に向き合ってくれそうだし、わからないところはわからないって素直に言ってくれそうだから。
西城:な、急に褒めるなよな!まぁ、わかったよ。とりあえず続けるとして。『私がアイドルになっていなかったら』ってことを、もうちょっと掘り下げて考えてみたらいいんだよな?
礼:うん!ありがとう!お願いします!
西城:そうだなぁ。何かしら、活動っぽいことを探していたかもしれないな。元々、バスケをやってたんだけどさ、いろいろ思うところがあって辞めちゃったんだ。それで、これから先どうしようかなって、心にちょっと空白ができてたんだ。そんなとき、たまたま出会ったプロデューサーにうまいこと気持ちを乗っけてもらえて、それでアイドルを始めたところがあるんだけど。それって、もしあのとき出会っていたのがプロデューサーじゃなくて、他の活動を勧めてくれる誰かだったとしても、上手に誘われていたら始めてたかもしれないってことだと思うんだ。たとえば、クラスの友達がやってるアルバイトだったかもしれないし、意外と、勉強・・・は、ないか?いや、あったかもしれないし、わかんないな。あの頃は、心に穴が空いたみたいな気持ちではあったけど、だからって、何もしたくないような気持ちだったわけでもないから、そうやってたまたま目の前に流れてきたものを、とりあえず掴んでいた可能性は十分にあったと思う。
礼:アイドルになっていなかった樹里ちゃんも、その場所で楽しくやれていたと思う?
西城:どう・・・だろうな。それは正直わかんねーけど、楽しく暮らせてるといいよな。なんだかんだ、いまは周りにいるユニットメンバーだったり、事務所のみんなだったり、プロデューサーたちに支えてもらっていることが多いから、もし一人だったらって考えると、いや、やっぱり想像もできないけど、アイドル以外の道を選んでいても、同じように優しい人たちは私の周りにきっとたくさんいてくれて。学校だけじゃなくて、街中とかにもさ。アイドルにならなかった私も、そういう人たちに出会えていたらきっと大丈夫なんだと思う。
礼:アイドルじゃない樹里ちゃんでも、きっと誰かの力になろうとするんだろうなって思うし、そしたら自然と、周りのみんなも同じように樹里ちゃんの力になろうとしてくれるのかもしれないね。
西城:いや、まず先に優しくしてくれたのはいつも周りのみんなだったよ。本当、助けてもらってばっかりで、感謝してもしきれないくらいだ。
礼:そんなふうに考えられる樹里ちゃんなら、どの世界線にいても大丈夫なのかもしれないなぁ。すっごく素敵なことだと思う。じゃあ、今度はパラレルワールドから戻ってきて、いまの樹里ちゃんについても聞かせて欲しい!アイドルになってよかった?
西城:おう!由香とこうして話せているのも、あのときアイドルになるって決めたからなわけだし!
礼:嬉しい・・・。アイドルになってなくても、樹里ちゃんは樹里ちゃんなんだろうな・・・・!
西城:なんだよ、それ(笑)。アイドルになってよかったと思うことは他にもたくさんあるな。それと、これはいまだから思えることなのかもしれないけど、どの道を選んでいたとしても、私は前を向いて進んでくれているような気がするんだ。だから、あの日アイドルにならなかった私が楽しく過ごせていなくても、きっとみんなの力を借りながら、何回でも、別の新しい道を探していたと思う!
礼:なんだかごめんね・・・。
西城:な、なんだよ!どうしたんだ?
礼:樹里ちゃんがそんなふうに真っ直ぐ答えてくれるのはわかっていたのに、イジワルなテーマにしちゃったなぁって。パラレルワールドの話って、もっと下世話になったり欲が出たりする面白さが多いんだけど、樹里ちゃんはクリアしてくれたというか、このゲームの正解を出してくれたような気がして。変な質問しちゃってごめんね・・・!
西城:いや、むしろ改めて「アイドルになる」って選択をした自分を誇らしく思えたし、過去の私がアイドルを選んでいなかったとしてもきっと大丈夫だったんだって思えたのは、この話ができたおかげだよ。この先も迷うことはたくさんあるけど、そう思えるんだから、私が私でいる限りどれを選んだって大丈夫なんだなって思えた!
─ 読者からのおたよりです。『二人でやりたいゲームはありますか?』
西城:最近、事務所でゲームが好きな子に教えてもらったゲームがあって、それとかどうかな?対戦ゲームなんだけど、結構白熱するっていうか、一回始めるとなかなかやめられなくなるんだよなぁ。戦略性が高いから、由香だったら面白い戦いかたを考えそうな気がするぞ!
礼:私は、樹里ちゃんがホラーゲームプレイする隣で応援したいかも。
西城:ホラーかぁ。あんまり得意な方じゃないけど、横で見守ってもらえるんなら、まぁ、なんとか・・・。
礼:樹里ちゃんのゲーム実況配信って絶対に楽しいと思う!
西城:そうか?私にオススメを教えてくれた子はゲームが本当に好きで、配信のお仕事とかもしてるけど、知識がすごいからできるんであって、私には難しいんじゃないか?
礼:樹里ちゃん。ゲーム配信っていうのはね、『リアルタイムリアクション集』でもあるんだよ。樹里ちゃんって全部のギミックに素直に反応してくれるだろうから、視聴者はたくさんつくと思うよ。
西城:そういうものなのか?まぁ、考えてみるよ。
─ 『アイドルとして尊敬していることは?』
礼:樹里ちゃんは、やっぱり真っ直ぐなところがすごく素敵です。誰から見てもそうなんじゃないかなっていうくらい真っ直ぐで、安心感があるんです。私は「この人は何を考えているんだろう」って思って、つい相手を疑っちゃうんことがあるんですけど、樹里ちゃんを疑うなんてできなくて。それは、樹里ちゃんが私のことを疑ったりしないって思えるからです。
西城:なんか、恥ずいな・・・。でも、ありがとうな!由香の尊敬するところは、そうやって私をすごく認めてくれる部分もあるけど、自分で考えたことをちゃんと世界に発信していっていることかな。私はつい、自分が言った言葉があとから恥ずかしくなっちゃうことがあって。シャワーを浴びてるときとかに「あぁ、あんなこと言わなきゃよかった〜!」って。でも、由香は由香の考えることを恥ずかしがらずにきちんと言葉にするだろ?自分に自信があるっていうか、これって由香も素直だってことにならないか?
礼:自分では、真っ直ぐに話すことの照れ隠しでいろいろな考えごとをしてるのかなって思っていたけど、これももしかしたら、素直な反応の積み重ねなのかもしれないな。樹里ちゃん、ありがとう!