M-1グランプリ2023 大会感想
1.優勝は令和ロマン
栄えある19代目王者は爆笑を爆発させた令和ロマンに決まりました。今大会最年少、加えてトップバッターからの優勝は実に第一回大会ぶりという快挙となりました。
1本目は銀シャリのような密度のしゃべくり、マヂカルラブリー/霜降り明星のように舞台を大きく使い、かまいたちのように観客席との距離も近い。若手にしてこれまでのチャンピオンの全てを兼ね備えたボスキャラのような強い漫才でした。さらに2本目はその1本目を超える第2形態の強いネタ。まさに圧巻と言っていいとてつもない勝ち切り方でした。
さらに言うと、令和ロマンの2本は予選で使ってないネタになります。和牛並に強いネタが量産できるという証明且つ、若手ながら決勝の舞台でやるべきネタがどういうものかを熟知しているという巧者ということでもあります。凄すぎる。。。
2.大学お笑いの夜明け
2人の出会いは慶應大学お笑いサークル'お笑い道場O-keis'です。
いわゆる大学お笑い出身というやつです。真空ジェシカも大学お笑いの出身です。過去のチャンピオンにもいないわけではありませんが、近年大学お笑い出身の芸人人口がとても増えています。
大学お笑い出身の特徴と言うと烏滸がましいですが、なんとなくの感覚として学があり知性を感じる、大喜利力に長けている、時代のトレンドをしっかり掴む。というイメージがあります。我流とまでは言いませんが、いきなり養成所で学ぶのと大学お笑いである程度試行錯誤して方針を固めて養成所で基礎を学ぶのは違うんだろうなという気がします。
そんな勢力を拡大し続ける大学お笑いのコンビから、ようやくチャンピオンが誕生しました。かつて「おじさんにはテーマが刺さらなかったな」といったコメントもあったように、世代間のギャップは点数に直結しており、若い言葉やZ世代に刺さるようなカラーは審査員に受け入れられるかという杞憂は令和ロマンによって払拭されました。(もっとも令和ロマンの2人はきちんと決勝の舞台でしっかり受けるネタを選びアジャストさせる上手さもありましたが)
今宵が大学お笑いの夜明けと言っていいほどに、2人が新しい時代の扉をこじ開けたような気がします。
※ミルクボーイも大学落研出身ではあることは承知しておりますがご了承下さい。
3.とにかく難しい大会だった
今年のM-1はとにかく難しかった印象があります。
令和ロマンの超高得点を皮切りに、敗者復活シシガシラはハマれず。その後三連発で関西勢が選ばれ共食いするような形に。
手数の多いヤーレンズが会場をうねらせた直後同系統の真空ジェシカは辛酸を舐めた。
まさか残された変化球の歌ネタ2組。挟まれたくらげもライブシーンのようには会場の空気を掴めず撃沈。
最終決戦も1本目のしゃべくりからコントに切り替えレンジの広さを見せた令和ロマンが圧倒し、ヤーレンズがなんとか食らいつく形で終幕となりました。
個別の感想はまた別の記事にしますが、とにかく難しいなと要所で考えさせられる大会でした。全てを占う笑神籤さえも令和ロマンの手のひらの上だったとさえ錯覚してしまいます。
4.変わらぬ関東の潮流
これでM-1の王者は4年連続で関東の芸人となりました。今年の最終決戦では遂に関西に1票も入らず。東同士で票を取り合った格好となります。16-19は同様に関西の芸人が連続で優勝していますが、それ以上に東の笑いの勢いを感じます。
なかなか変わらない潮目がどこで変わるのか。今後のライブシーンにも注目したいところです。
5.終わりに
早々に来年もM-1出場を宣言した2人。本気で15年のリミットまで何度でも戦いそうなエナジーを感じます。そして前人未到の複数回優勝も余裕であり得るところが末恐ろしい。
個人的には決勝はくらげのネタが一番面白かったです。ぶっちぎりの最下位でしたけども。全体では3回戦のきっと君はくるさ、フースーヤ、三遊間、豆鉄砲、準々決勝のそいつどいつ、デルマパンゲ、人間横丁、準決勝(敗者復活)のななまがり、ニッポンの社長、トム・ブラウンなどなど数えるとキリがないですね。今年も楽しませて頂きました。
ファイナリスト全員の今後の活躍を期待しております。
優勝/準優勝
同時刻 同じ場所にて 同じボケ
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