見出し画像

M-1グランプリ2024 大会感想

1.優勝は令和ロマン

 節目の20回大会。20代目王者となったのは令和ロマン。2年連続のトップバッターから圧巻の連覇。本当に偉業としか言いようがありません。

 しかも視聴者目線でもこの連覇は「ワンチャンでなく、全然あるな」と思えるような圧倒的な強さがありました。

王者の風格はトップバッターのプレッシャーなどものともせず。実績から点数も伸びやすい雰囲気で高得点連発。たらればではありますが、どう転がっても令和ロマンが圧勝していたような気さえします。

 ここまで成し遂げた人間のいう事であれば全てに説得力がある。お笑い好きでであれば「漫才過剰考察」は必見です。


2.非の打ち所がない大会。ある大会。

 今年は出番順もドラマチックでした。昨年の優勝令和ロマン、準優勝ヤーレンズを皮切りに実力明白の真空ジェシカ、敗者復活のマユリカが大急ぎ手で負けて初出場5組が連続。ダイタク・ジョックロックが伸び悩む中バッテリィズの爆発、ママタルトが余波を受け撃沈。エバースの仕上がった漫才が奮闘しトリはラストイヤーのトム・ブラウンが奇妙な世界にいざなった。

 SNSを見ても令和ロマンの優勝に否定的な声は皆無で。「自分は真空が(バッテが)好きだったけど、令和ロマンには勝たれへん。」と、降伏にも近い賛辞の嵐だった。世間の満足度は総じて高いように見えるNOだが、この1週間で熱もだいぶ冷めてきた模様。

 これまで漫才じゃない論争や、毒舌漫才への是非、審査員への不平不満など、賛否が分かれるほどに加熱していった実例と比べると少しあっけなさも感じる。

 非の打ちどころが無さ過ぎるよりも、少し打ち所の可愛げがある方が、視聴者にフックして話題が過熱するものなのかもしれない。

3.バッテリィズは次世代のオードリーとなるか。

 今年最も想定外だったことは、バッテリィズの大爆発だ。
 個人的には準決勝を見たうえでそもそも決勝に上がったのが意外だったのだが、準決勝の審査員はさすがだなと思った。
 テクニカルな漫才が並ぶ中で、自分の想像以上に観客や審査員は疲労困憊、辟易していたのだろう。何も考えず笑えるアホなキャラのエースが光輝いたのだ。(実際のところ漫才自体はアホキャラはエッセンス程度で普通にしゃべくりがしっかりしていたとは感じるが。)

 付け加えるならば、エースがツッコミ(もはやボケ)役であることもポイントだった。自分は最後のエースの「もうええわ」でエースがツッコミだったことを思い出した。
  
 誹謗中傷やコンプラにうるさい昨今。アホに対して、「お前はアホだバカだ。」と言ってしまえばそれだけで非難を浴びるような環境ではあるが、アホがツッコミになることで、アホが勝手に吠えている構図になる。これなら非難はなく世間からも受け入れられる。お茶の間で活躍できる下地は出来ている。

 これまでの歴史で準優勝からお茶の間の人気者になったのは何かいキャンディーズとオードリーの2組。ともにキャラクターが受け入れられ続けているコンビだ。バッテリィズがM-1の恩恵を受け、2組に続く人気者なるのか楽しみだ。

4.審査員刷新。人数増の結果。

 人数が増えたことに関してはある意味点数のインフレへの対応か。はたまた重鎮不在の匂いを消す若返り化が目的か。
 いろんな審査員のコメントを聞くこともまた賞レースの楽しみでもある。審査基準も多岐にわたり、今まで以上に好みに左右される戦いになっていた。
ひとつ懸念としては(審査員批判では全くないが、)「大好きだがM-1の舞台では点数が浸けれなかった」といった評価を下されてしまう芸人が多数出てきてしまった。今後もこの流れを汲むのであれば、笑いは取れても万人受けしなければ王者じゃない。と特徴が無くとも強い漫才師の時代が到来しそうだ。

5.終わりに

 記念の20回大会は連覇の偉業に加えニュースターエースの匂いも残しつつ、大会全体を通し非常に満足度の高い結果に終わった。

 次の21回大会はどうなるか。個人的にはさらに若い世代が台頭し、キャリア組は厳しい戦いになると予想している。その中でも真空ジェシカは安定した成績で残っていきそうな気配もある。

 個人的に決勝で面白かったのは
 ・ジョックロック
 ・真空ジェシカ(2本とも)
 ・「大急ぎで負けに来た」

 通しでの優勝は涼風です。今年も1回戦から半年間楽しませてもらいました。出場者全組の活躍を期待しております。

いいなと思ったら応援しよう!