M-1グランプリ2023 大会見どころ
昨年の火花散る戦いからはや1年
19代目王者の栄冠に輝くのは誰なのか
1.準決勝までの感想
準決勝進出者は下記公式Xの通り。WCのダブルヒガシを含む31組
決勝経験者はわずか7組
初の準決勝進出は14組。21年までは2〜3割にとどまっていた初進出組は、昨年から5割近くまで上昇しており、栄枯盛衰・群雄割拠の乱世を物語っている。
好きなコンビや、絶対通過すると思っていたコンビが落ちたりということはもやは毎年のことなのでメンタル的にはなんともないのだが、今年は自分の好みと結果のズレが例年よりかなり大きかった(センス皆無〜)
2.爆発するファイナリスト
ファイナリストはご覧の通り
・初出場5組 連続出場3組 返り咲き1組
・関東6組 関西3組(所属でなく方言分け)
・吉本6組 非吉本3組
それぞれの比率は概ね例年と同じ。番組としてある程度の忖度はあるかと思う。
ここで注目したいのは、正統派か否かという成分だ。
(正統派が何を指すものか。というのはとてもとても深い話になるので割愛)
近年のM-1ではマヂカルラブリーの漫才論争(私は霜降りとマヂラブは同系統と思っている)、1人で優勝したウエストランド、巨人師匠の「分からない漫才が出てきた」と発言した勇退。
ランジャタイ、トム・ブラウン、ヨネダ2000などなど、今まで見たことのない形の漫才師が突然変異の如く出てきていたのだが、今年の大会はかなりきちんとしたしゃべくり、コント漫才の比重が高いように見受けられる。
「爆笑が、爆発する」
コンセプトからいけば突飛な漫才が爆発しそうなものだが、そんなコンビを押し退けて真っ直ぐに強い漫才師たちが勝ち上がってきた印象を受ける。
3.西の強者 王の復権なるか
お笑いといえば大阪、お笑いといえば吉本興業
そんな吉本興業は、ここ2年連続で他事務所の後塵を拝し、さらに3年連続で関東の漫才師が王座に着く結果に。
今回決勝に勝ち上がった関西の3組は、シンプルに強い西の漫才と言っていいだろう。前回準優勝、盤石のしゃべくり漫才のさや香、昨年トップバッターに泣いたロジカル漫才のカベポスター、悲願の初決勝、奇怪コント漫才のマユリカ(所属は東京)。三者三様ではあるが、3組で最終決戦を占有しても不思議ではない。
そろそろ分かりやすく西の漫才が優勝する揺り戻しが起きる可能性は高い。
4.敗者復活戦 改革の是非
ようやくといっていいだろう。敗者復活戦の視聴者投票撤廃。
ルールは下記の通り
まさか現地観覧に行くガチ勢に組織票を集める愚者はいないと思うが、ここまでやればまさに厳正という言葉に偽りなし。
本来の敗者復活はとんでもない爆発力を秘めた(世間的に)未知の漫才師が大暴れする絶好の機会だ。視聴者投票では、近々で成果を出していたり人気のコンビが勝ち上がる厳正とは程遠い審査であったから、待ち望んでいたこの改訂はとても嬉しい。
一方で「一度落としたメンツなので、あとは視聴者が1組決めていいよ。」「人気も一つのステータスだよ。」「お茶の間のライト勢も一緒に盛り上がろうよ。」といった人気投票の性質も、それはそれでエンタメとしてはいいんじゃないかという気持ちもあるが。
その日の仕上がりがいいということは非常に大きなアドバンテージ。劇場に足を運ぶ人ならわかると思うが、同じネタでも全然違って見えることもザラにある。
「爆笑が爆発する」可能性が一番高いのは敗者復活のコンビであると思っている。
5.終わりに
M-1の規定にはこのようにある
一方でメインポスターの冒頭にはこのように記載されている
とにかく面白い漫才のチャンピオンを決める大会であるが、
とにかく面白いだけではチャンピオンになれないのだ。
M-1は大きく育ちすぎた。
歴史を重ね、面白い「漫才」ではなく「漫才師」を決める格式高い競技に昇華したのだ。
決勝の舞台は審査員による厳選。ある意味王者に相応しいかの最後の値踏みの場でもあるのだろう。
もう週末には今年一番面白い漫才師が決まる。
クリスマスイブは妻子を放置して1日テレビに釘付けだ。
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