M-1グランプリ2022 各ネタ感想&審査員寸評
ウエストランド以外のネタについても感想をまとめます。
1.カベポスター 大声大会
これ以上ないトップバッターだった。ABCで爆笑したネタだったが、何回見ても面白いネタ。伏線の貼り方がうっとおしくない塩梅でちょうどいい。
松本:子気味が良い漫才で気持ちがいい。笑いの量が4分にしっかり入っていて素晴らしい。点数入力で焦って5点低く入れてしまった。
礼二:つかみ早い。トップにしては全部ハマっていた。緊張感を感じなかった。
志らく:言葉選びのセンスが天才的。自分の中でつかみの糸電話が面白すぎてピークだったので90点に乗らなかった。
富沢:構成が素晴らしい。
塙:特に悪いところが無い。8年で一番脂がのっている状態。トップバッターでネタのチョイスも感情が出やすい大声大会で良かった。
大吉:悪いところが一つもない。序盤同じ段組みで心配になったが後半ガラッと変えてきた。トップにはつけすぎとも思ったがこのくらい必要。
邦子:かわいくて大好きなネタ。甘めに付けたつもりが相対的に厳しくなってしまった。
2.真空ジェシカ シルバー人材センター
個々のボケが全部面白いが、4分の数珠繋ぎになってないので物足りなさを感じた。「共演者の信頼を得たい」→「高齢者の人材を得たい」のボケ自体はつかみとして最高なのですが、そこからガクがやりたいと言ってない設定のコントに自然とインするのに違和感を感じる。
邦子:大爆笑を何回するかと思っていたが後半笑いが止まらなくなった。
礼二:去年は何となく不安定だったが、今年は度胸も良く安心して見れた。
志らく:去年はギャグのフレーズに善し悪しがあったが今年は全て良かった。年金貰いすぎて卑屈になったというフレーズはまず出てこない。
富沢:つかみから完璧で知的でうらやましい。
塙:シルバー人材広がらないと思っていたが、見事に広がった。所見はどっちがボケかツッコミかわからなかったが、川北がボケと浸透してきたのも強み。
大吉:大喜利と漫才融合しているよくある形ではずば抜けてトップランナー。後半が失速と間のずれを感じた。
松本:緊張が伝わってきた。好みの域ではあるが、ボケに対してツッコミが大きすぎてバランスが逆の方がいい。
3.敗者復活 オズワルド 明晰夢
明らかに現場の笑いの量も少なく、今回はかなり力不足だった感がある。話が複雑な割にテンポが速くて会場がついて行ってない。畠中側の情報量が多すぎて魅力が損なわれている。やっぱりオズワルドはゆっくりで文字数の少ない漫才の方が好き。
松本:オズワルドらしくスロースターターと思わせて後半しっかり取り戻していく。
志らく:本来サイコパスは漫才にすると引く部分が増えるが、引く部分も面白くなっている。
富沢:中盤からはいつものオズワルドだが。序盤が若干緊張を感じた。
塙:夢というテーマが比較対象にならずなんでもありで絵が浮かびにくい。動かずに話芸をやるところは評価。
大吉:敗者復活と同じからアレンジ加えている。一日で2回笑わせるのは評価。
邦子:優勝候補と思っているが大好き、辛めに付けた。残ってほしい。
礼二:おもしろかったが前半が不安。後半のような盛り上がりが欲しかった。
4.ロングコートダディ マラソン
コントの導入が丁寧で引き込まれる。準決勝ではめちゃくちゃ笑ったネタけど、本会場だとテレビ越しに足音が響いて気になった。キャラクターショーの羅列なのに後半盛り上がる手順がお見事。「青春に抜かされた」が一番好き。
松本:この舞台でこれをやるいい根性してる。この舞台で縦で漫才を見せ切った。
邦子:兎の声が良い。優勝かも。
礼二:ボケツッコミがなくマラソンだけで全部ハマってた。
志らく:衝撃の漫才。最後の切り方が良ければもっと点をつけた。
富沢:マラソンというセリフの無い題材をどうするかも展開も気になったが、すごい構成だった。
塙:大奥を超えるのあるかなというところで自分の体型を出してきた。4分の20秒残しで1点減点。
大吉:全部のボケがハマっていたが20秒残しは残念。残り時間で何をするかを期待してしまった。
5.さや香 免許返納
準決勝で見たときに、このネタで最終決戦は固いと確信。本選でさらに笑った。文句なしの一位通過。
礼二:ボケツッコミ入れ替えたのがはまっていた。単純に素晴らしい漫才であった。
富沢:前半は両方正論と思ったが後半どちらもおかしなことを言っている。王道でここまで爆発するのは完璧。
松本:ツッコミが観客の思っていることボリュームも含めて全てシンクロしている。気持ちがよく美しい漫才。私は46の時の子なのでめちゃくちゃエロい。
邦子:正統派。ボケのリズムが良く、ツッコミがが切れ始めてからすごくよかった。
大吉:佐賀の悪口だけどうしようとおもったが、ちゃんと大落ちに持ってきてとんで
志らく:ロコディの変化球の後で割りを食うかと思ったが問題無かった。もない漫才を見た気がした。私の娘は全員50過ぎてからの子なので、とんでもなくエロい。
塙:佐賀のことをいじったので+5点。フリートークの感じを二人のテンションとテンポで漫才に仕上げている。皆がやりたいようが出来ない漫才。
6.男性ブランコ 音符運搬
コント漫才が見たかった。2本目がこれなら振り幅で優勝も見えたと思っていたが。死ぬ演技はリアルすぎると引かれるし下手すぎると成り立たないが笑えるちょうどいい塩梅でさすがのコント師と感じた。
松本:おもろい。大好き。でも1位にはなれないとも思う。
礼二:よくこの設定でやると思った。普通のコンビならどっちかが止める。
志らく:おそらくお茶の間のお年寄りはポカン。全部が気持ち悪いのが心地いい。
邦子:浦井の死にっぷりが良かった。
大吉:面白いが漫才かといわれると。さや香を見た直後というのもあり。
塙:倒れるにもセンスが必要。最後のあたふたへの強いツッコミが前半でもう同じくらいのものが一つ欲しい。
富沢:受けているということは伝わってる。音符運べてたらもう1点。
7.ダイヤモンド
最初につかめない時点でかなり厳しかった。「もね」もハマらず、起伏が無いのが苦しい展開だった。
大吉:トーンが変わらないので飽きないが興味が薄れていく。間やトーンやツッコミを計算が必要。
塙:本来大好きだが、少しかかり気味かも。もう少しテンション押さえるネタと思う。
富沢:発想はいいがつかみがつかみ切れてなかった。
礼二:ハマるとことハマらないとこが極端すぎたのでリズムが乗って行けなかった。
松本:結局いろいろ言っているがパターンが一手なので、羅列ととらわれてもしょうがない。
8.ヨネダ2000 イギリスでお餅つき
ヨネダのネタは「こんなので笑ってたまるか」と思ってても笑ってしまう。コントで一人リズムで一人が何役も担う不思議な編成が病みつきになる。
志らく:さやかより高い理由が自分でもよくわからない。イリュージョンとでもいうか女版ランジャタイ。上沼がいたら怒ってたはず。大好き。女の武器を使っていないのが良い。
松本:最初から最後まで何をしているかわからなかった。でもウケてるし自分も笑ってしまった。
邦子:期待通り。ダパンプのもちもが浮かんでこのネタができたのか(一番最後)。出る順番が少し遅かっただけ。
礼二:なんでこのネタ?元々一番評価がむずいと思ってたが世界観は伝わっていた。
大吉:リズミカルでよかったがkenzoの説明が要らなかった。気にせず突っ走ってほしかった。
富沢:ランジャタイがいなくてほっとしてたのに。ハマる人はハマる。ハマらない人のことを考えたら共感の笑いを取り入れたほうが良かったかも。
塙:自分の中で涙が出てたので一番高得点。結成二年。「アイ!」が軸の漫才は見たことが無い。
9.キュウ 全然違うもの
最推しコンビ。キュウ独特の主線のボケツッコミに加え、別角度から強い笑いで差し込んでくるスタイルが見れたのはよかったが、ダイヤモンドの「もね」や、敗者復活ハイツの「枚方大菊人形」しかり、同じワードを連呼する構成は掴めないと地獄を見る傾向にある。もっと面白いネタがあるからリベンジして欲しい。
松本:かわいそうというか、順番に恵まれなかった感はある。音符や餅の後では物足りない。期待は出来る。
大吉:このスタイルでやっている以上この空気では取り戻せない。本人たちもわかってたのでは。最後まで間を大事にやり切っていた。
礼二:順番に尽きる。キュウの世界観はこれ。これでやるしかない。
邦子:清水の顔と声はとても好き。
志らく:予習はせず来ているがキュウのネタはかこ面白いネタは知っている。今回はハマらなかった。
富沢:発想に関心しすぎて爆笑まで届かない。そこを超えて欲しい。
塙:「でしょう」に頼りすぎハマってなかった。
10.ウエストランド あるなしクイズ
松本:ちゃんと刺してくれた。面白かった。進化してた。楽しかった。強いて言えばタイタン同士でクイズネタで被るのはなぜ。
志らく:傷つけない笑いが主流の中傷つけまくった。二人がスターになれば時代が変わる。本来笑いというのは毒のあるもの。これが王道になって欲しいという気持ちも込めて最高得点。
邦子:来ないと思っていたがばっちりハマっていた。傷つけるというが、スッキリした。
塙:今日の中で一番あっという間に4分が終わった。長さを感じなかった。
大吉:普通毒舌はツッコミがきつく突っ込まないと成立しないはずなのにこのコンビはなぜ成立するのか不思議。もっと点をつけたかったが何か所か間がずれているところがあった。
礼二:文句系は自分も劇場では使う。井口が一方的に愚痴を言うが、あるなしというテーマに沿っていたので聞きやすかった。
富沢:このネタで笑う人間は共犯者。
最終決戦1.ウエストランド あるなしクイズその2
最終決戦2.ロングコートダディ タイムスリップ
ロコディは毎回コントインの仕方がとても好き。一発目の堂前「俺タイムマシンやるわ」には特に突っ込まず兎「ええの!」で流すところがツボ。
最終決戦3.さや香 男女の関係
リアタイでは正直ウエストランドの爆発以降疲れ果ててぼーっとしていた。特にしょっぱな噛んだ印象が残っており、厳しそうだなというイメージだったが、ちゃんと見返すと最高だった。ボケとツッコミが順番に切り替わるわけでもなく、会話がわかりやすくスムーズなのに縦横無尽に入り乱れる。二人だから実現できる漫才なんだろうなと思った。来年以降も大会をけん引してくれそうな。そんな予感がした(本人たちはさっさと獲って辞めたいのだろうけど。)
個人的に返り咲きの2組が最終決戦で進化した姿を見せたことが、一番ジンときました。
審査員総括
松本:窮屈な時代ではあるが、キャラクターとテクニックがあれば毒舌漫才も受け入れられるという夢を感じた。
礼二:これからもどんどん言って欲しい
邦子:予習では一番つまらないと思っていた私の目が節穴だった。
志らく:スターになれる
富沢:錦鯉まさのりさんを早く休ませてほしい。