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「葬送のフリーレン」を好きな人が絶っっっ対に読んではいけない本”1選”

 「葬送のフリーレン」。この作品は2023年冬アニメの覇権の一角と言っても差し支えないだろう。

今回は「葬送のフリーレン」を愛する私が、同様に「葬送のフリーレン」を愛する人たちに、「葬送のフリーレン」を好きな人が絶対に読んではいけない”禁断の本”を紹介する記事となっている。大切なことなのでもう一度繰り返すが、絶対に読んではいけない。絶対にだ。絶対にだからな?

▶「葬送のフリーレン」の魅力

 さて、何故その本を読んではいけないのか。まずはそこを納得してもらうために「葬送のフリーレン」の魅力について改めて確認したい。私が考える「葬送のフリーレン」の魅力を絞りに絞って三つ取り上げてみた。

1、魔法が満ちるファンタジー世界

 「葬送のフリーレン」の最大の魅力の一つは”魔法”の存在。
主人公であるフリーレンは魔法使いで、その弟子であるフェルンも当然だが魔法使い。その他たくさんの魔法使いが登場し、この作品と魔法は切り離せない存在と言える。
 またファンタジー世界のお約束として、勇者や僧侶(プリースト)といった職業やエルフやドワーフといった種族が登場。そういったTHE・ファンタジーを体現したような世界観が醍醐味だ。

2、人間と異種族の交流

 そして、魔法を扱う主人公フリーレンは人間ではなくエルフ。エルフが人間よりもはるかに長い時間を生きる種族であることは、現代社会を生きる我々にとっては常識であることに疑いの余地がない。
だがそれぞれ与えられた時間の異なる人間とエルフでは、価値観や思考に乖離が生まれるのは必然。そこにフォーカスを当てたのがこの「葬送のフリーレン」の魅力の一つと言える。人間とエルフの交流から生まれる齟齬、そしてお互いを理解し生み出されるが物語に深みと暖かさを演出している。
 また物語の軸となるのは人間とエルフの交流だけではない。作品内で主人公たちと敵対し、反対の軸をなすのが魔族の存在。それらは魔法の生みの親であり、人語を解し巧みに扱うが、人間やエルフをはじめとする人族らとは完全に理解し合えないものとして登場する。コミュニケーションは可能でも、それが即ち理解につながらない関係。そんな魔族との歪な”交流”(端的に言うとバトルシーン)もこの作品の屋台骨の一つだ。

3、時間から産み落とされる歴史と英雄

 長命種であるエルフが主人公であり、これまた長命種の魔族と敵対する都合、現在を生きる人間のフェルンやシュタルクの目の前には何度も歴史と英雄が立ちはだかる。当のフリーレン本人が、魔王討伐を果たした勇者パーティに属する魔法使いで、伝説の生き証人だ。またフリーレンの旅自体もかつて勇者たちと旅をした記憶を再度辿るものとなっていて、過去と現在の交錯はこの作品のテーマとすら言える。
そうして読者である我々は考えさせられる。紡がれる歴史の多面性と英雄の英雄たる理由、そして埋もれていく真実。示唆に富んだ内容も多く、重厚な読後感を与えてくれる。

▶"禁断の本"の魔力

 ここまで「葬送のフリーレン」の魅力について再度確認してきたが、次にその”禁断の本”の危険性について周知していきたい。予め知っていることで、”禁断の本”の魔の手から逃れる際の一助になるかもしれない。"禁断の本"の危険性についても三つ取り上げたいと思う。

1、魔法が満ちるファンタジー世界

 なんとこの作品は誰もがうらやむ剣と魔法の世界。「葬送のフリーレン」同様に魔法が物語の重要なファクターとして登場し、”トップメイジ”や”フェローメイジ”といった称号を得る魔法使いが登場。魔法自体の設定も緻密で、”ファイアーボール”や”マジックミサイル”といった様々な魔法が登場する。そのため魔法の魅力に囚われた人間はこの”禁断の本”から逃れることは難しい
 そして当然この手のファンタジー世界にはお約束として、エルフやドワーフ、ドラゴンが登場する。さらにそのエルフが凄腕の魔法使いとしてたびたび活躍するので、「葬送のフリーレン」を愛する我々からすると目が離せないから気を付ける必要がある。

2、人間と異種族の交流

 前述のようにこの作品にはエルフやドワーフ、ドラゴンが登場するが、まさにこういった種族間交流がこの作品の最大のテーマの一つと言える。主人公たちの旅の仲間としてエルフやドワーフが加わるが、彼ら彼女らと主人公たちが繰り広げる”交流”、つまり会話や冗談などは読者の横隔膜の反復運動をひどく促進させ、呼吸困難に陥る可能性があるため大変注意が必要となる。また我々人間の本質を見つめなおす必要性を想起させてしまうので、現実世界の様々なタスクが滞る可能性についても言及する。
 また最も重要な種族間交流が人間とドラゴンのものだ。「葬送のフリーレン」における魔族といくつか共通した役割を与えられているのが、この作品におけるドラゴンと言える。魔法は原始ドラゴンのものであり、やはりこのドラゴンとの歪な”交流”が、この作品の屋台骨をなしているという点において「葬送のフリーレン」と区別することは難しいだろう。「葬送のフリーレン」だと思って読み進めてしまっても責めることはできない

3、時間から産み落とされる歴史と英雄

 主人公たちの住む王国は英雄と草原の国だ。建国から三百年を数える歴史を持ち、その建国の父である大王と大魔術師が、大陸を支配していたドラゴンを討伐する伝説が今も根付いている。しかし、そんな歴史と英雄はやはり主人公たちの目の前に立ちはだかり、長大な時間の流れに妨げられ主人公たちの前には謎と苦難が残されていくのだ。
 結果として我々は再び深く考えさせられる。しかし、今度は「葬送のフリーレン」のように重厚な読後感だけでは済まないかもしれない。あなたの人生や思想、思考、価値観、そして言葉遣いにまで甚大な影響を与えるかもしれないのだ。そうなってしまった人を私は何人も知っている。そして何よりこの記事の文体、言葉選びからも分かるように私自身にも”禁断の本”の影響は色濃く出ており、まさに人生を変えられてしまう本と言えるかもしれないのだ。

▶その本の名は

 さてここまでその”禁断の本”を手に取った際の危険性について述べてきたが、「葬送のフリーレン」との共通項が多く見いだせるため、「葬送のフリーレン」を愛する人間は"禁断の本"から逃れられない可能性が高い。だからこそ今筆を執っているのだが、では肝心のその本は何という名前なのか。必ず脳に焼き付けてほしい。


その本の名は、「ドラゴンラージャ」。


さて、名前を知ってしまったことであなたはもう引き返せなくなった。賢明な皆様にあってはお気づきだろうが、この記事は”禁断の本”の魔力、ではなく魅力に取りつかれた私が「葬送のフリーレン」の同好の士に「ドラゴンラージャ」を布教する目的で書かれたものである。

つまり、タイトルや冒頭の「絶対に読んではいけない」というのはフリである。もちろん真に受けていた人はいないだろう。

本当にこの「ドラゴンラージャ」という作品は素晴らしくて、同様に素晴らしい作品である「葬送のフリーレン」と親和性があまりにも高い。だからこそ、こうして「葬送のフリーレン」を好きな人には「絶対に読んでほしい」と考えて、この記事を執筆している。釣るような書き出しになってしまったことは申し訳ない。

もし、少しでも興味が出たという人は一巻だけでもいいので読んでみてほしい。一巻から例のエルフのキャラクターは登場する。全部で十二巻あるが読み進めていくとかなり軽快に進んでいくので、見た目ほどの分量は感じられないはずだ。アナログ媒体の新品は手に入れるのが現状難しいので、電子書籍を推しておく。

とここまで書いてきたが「ドラゴンラージャ」の魅力はまだまだこれだけじゃない。その魅力については、もしこれをきっかけに「ドラゴンラージャ」を読んでくれた人がいれば、存分に語り合いたいと思う。

▶最後に

さらにここまで伏せてきた重大な事実がもう一つある。

それはなんと、この記事は”ドラゴンラージャアドベントカレンダー”という企画の13日目の記事である、ということだ。

遅くなったがこの企画について説明させてもらうと、いわゆるアドベントカレンダーのように、12月1日から12月25日まで毎日一つずつテーマに沿った創作物を投稿していく同好の士たちによるお祭り。今回はその13日目として筆を執らせていただいた。

どうしても「ドラゴンラージャ」を布教し読者を増やしたくて、自分なりに考えた結果このような形態の記事になった。なので「葬送のフリーレン」が好きな人は「ドラゴンラージャ」を。「ドラゴンラージャ」を好きな人は「葬送のフリーレン」を手にとってみてほしい。それがこの記事を書く上での目的であり、私の幸福となる。

そして、もし、万が一にもこの記事を読んで「ドラゴンラージャ」を読んでみようと考えた聖人がいるのであれば、このアドベントカレンダーの企画は「ドラゴンラージャ」を読み終わってから堪能してほしい。大いにネタバレが含まれている上、最大限お互いが満足な結果を得るためにも「ドラゴンラージャ」をまず読んでもらうことを強くお勧めする。

ただ今回の企画の5日目にあたるえび에비@DRアカさんの記事は、より具体的で分かりやすい「ドラゴンラージャ」紹介記事となっているので興味が出た方はまずそちらを読んでみるのもいいと思う。

また、この記事を読んで「いいな」と思ってくれた人は是非X(旧Twitter)でリツイートやいいね、この記事にスキをしてくれると非常にありがたい。

というわけで、ここまで私の駄文と茶番に付き合ってくれた皆様と、この企画を考案してくれた朝からポテチ@ヘルタント領民さん。そして、この企画を盛り上げてくれている「ドラゴンラージャ」ファンの皆様に感謝を伝えて筆を置こう。

ありがとうございました。

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