【遊戯王】寒波亭・東海ルールにおける暗黒界
0.執筆経緯
ここ何年か遊戯王界隈で、2011年3月のリミットレギュレーションを用いた特殊環境の大会が流行っているというのは知っていた。しかし、しばらく遊戯王界隈からは遠ざかっており、軽くゲートボールを遊ぶことはあっても大会に出るほどの動機は無く、たまにブログやnoteを読んで楽しむ程度の距離感だった。
そんな折、現役YP時代から良くチームを組んでいたモッフルさんに誘われる形で今回の寒波亭に参加することに。東海ルールという特殊ルールに魅力を感じたことも強い動機となった。
そして3人目のチームメイトには、モッフルさんと同じく昔チームを頻繁に組んでいて、現在は引退していたしてぼさんを招聘した。してぼさんは、誘いに対して快く承諾してくれたが1つだけ条件が盛り込まれることとなる。
その条件とは、
カードとデッキ構築をすべて提供すること
この条件を履行する形で、カードは主にぽんこつさん、デッキレシピは主に僕が用意する形で今回の調整がスタートした。
実際の調整は叩き台をまず僕とモッフルさんで考え、その後毎週対戦会を開いて反省点を抽出。それを元にして翌週までに僕が改善案を考えてくる。このルーチンで行われた。調整自体スタートしたのが2月下旬からであり、内輪のみの限られた調整環境においては完全に煮詰まるのも早く、3月末の時点で今回持ち込んだ構築から69枚変わらないリストが完成することとなる。
というわけで今回のnoteは、僕が寒波亭環境東海ルールにおける暗黒界の思考過程や考察をまとめチーム内で共有していたものを加筆・修正し公開したものだ。
1.暗黒界の選択理由
寒波亭におけるこれまでのシェアや入賞歴から、この環境がガジェット、ヒーロー、六武衆、カラクリ、代行天使、兎ラギア、デブリジャンド、暗黒界の8強環境だと理解した。そのため、まずはこの8強の中からデッキを選ぶことを決める。変に主流デッキから外す選択をすることは相当な環境理解と経験値が必要であり、それらを持たない僕らにとっては純粋なデッキパワーで勝負する方が勝率が良いとするのがチーム全員の総意だった。
ただ東海ルールの都合上3人全員が別々のアーキタイプを選択しなければならない。そして僕自身の使用デッキは強い希望を出してカラクリと決定した。そのため残りのデッキから何を選ぶかだが、してぼさんの使用デッキは暗黒界に落ち着くことになる。
ちなみに、3人目のモッフルさんのデッキ選択が最も難航し、色々な選択肢を試したが最終的にはヒロビに決定した。詳しくは彼のnoteを読んでみて欲しい。
話を戻すと、暗黒界に落ち着いた理由はいくつかあり、まず汎用カードの取り合いになる都合上、固有カードやピーキーなカードを採用できるデッキが、構築段階からその他2つのデッキに対してアドバンテージをもたらす可能性を秘めていることが挙げられる。暗黒界においては、暗黒界の取引や墓穴の道連れといったドローソース、マインドクラッシュやスキルドレインといった妨害がそれらに該当する。
2つ目に、使用者であるしてぼさん自身が暗黒界の効果や使い方についての知識をある程度持っていたこと。そもそも週に1回程度しか対面での調整が行えず、対戦の試行回数の少なさから他の参加者に比べて練度で劣ることが容易に想像できた。そこで効果の確認から始めるような不慣れなデッキではなく、使い慣れたデッキを選び初歩的なミスを減らす方が勝率が出ると踏んで、暗黒界を握らせるに至った。
他にも、一度始動すればどの対面にも勝ち得るパフォーマンスを持つため練度の差が出にくいと感じたことも評価に値する。さらに付け加えるのであれば、ピーピングハンデスをデッキ構築に組み込む都合上、プレイ時の情報アドバンテージをチームメイトにも共有できるため、そこも暗黒界を選ぶ優位性と言える。
2.デッキリスト
使用デッキが決定し僕の主導で考察が進められていった。寒波亭環境の暗黒界についての記事はほぼ全てに目を通し、自分でも一人回しを何度も試みた。その結果メインデッキを構築する上で最も意識したのが、いかに事故を減らし動き出すことができるかという点である。
暗黒界というギミックの都合上致命的なカードとそうでないカードには極端な差があり、メインデッキ同士の対決では相手側に不要牌を多く抱えさせることでのディスアドバンテージを期待できる。また強力な制限カードの多くと相性が良く、動き始めるとドローが加速しそれらの連打によって理不尽なまでのアドバンテージ差で相手を轢き殺すことも少なくない。
一方で暗黒界+ディスカードが無いと動き出すことすらままならず、制限カードを抱えて憤死することもしばしば起こり、その事故率の高さに目をつぶることはできないと考えた。
以上のことからトーナメントでの常勝を図るために行き着いたコンセプトがひたすら事故を減らすことにあり、動き出せばまず負けないことから特に暗黒界カードとディスカードのバランスを意識した。今回は暗黒界の取引と墓穴の道連れをフル投入し、暗黒界カードとディスカードをそれぞれ12枚ずつ用意することで初手6枚における手札の質がある程度担保されると判断した。これ以上の枚数を用意するとなると妨害の枚数を落とすか、制限カードを減らさざるを得なくなり暗黒界の強みがむしろ損なわれることになる。
最近ではドローカードを大量に搭載し、グラファをコストに闇のデッキ破壊ウイルスを起動することを目指したスーパードロー暗黒界(以下SD暗黒界)が流行っていると認識している。しかし、調整段階においてはあまりに先攻重視な構築に映ったのと先手後手での偏差が大きいと感じたため、今回は妨害をしっかり搭載し後手でも勝ちやすい構築を目指した(大会終了後のSD暗黒界への感想は後述)。
2本目以降は致命的なカードがサイドインされることが予想される。そのため魂を削る死霊を始めとする壁モンスター、御前試合やスキルドレインといった永続罠を駆使してロングゲームを狙う。ゲーム自体を泥沼化させることでメタカードに対しての回答を用意する時間を確保したり、別の軸で戦うことでクリティカルを避けるといった狙いがある。
とはいえマクロコスモスと暗闇を吸い込むマジックミラーといった永続系のメタカードは本当にどうしようもないため、砂塵の大竜巻を3枚すべて暗黒界に譲ることで永続には屈しないことを期待した。
3.メインデッキ
採用カードについて特筆すべきものだけピックアップする。
暗黒界の軍神 シルバ
ベージ3枚目と差し替えての採用。スノウからの選択肢として用意しておくことで門込みグラファグラファシルバでのワンキルや、環境的に強力な2600打点の擁立、レイヴンと組み合わせての☆8シンクロなど、柔軟性を持たせることができる1枚。
暗黒界の尖兵 ベージ
1枚〜3枚採用までリストによって採用枚数にバラつきがあるが今回は2枚採用とした。1枚目はレイヴンとのシンクロ用。2枚目はグラファを毎ターン用意するため手札に抱えておきたい。予備の3枚目は前述の通りシルバに差し替えた。
BF−精鋭のゼピュロス
おろかな埋葬の選択肢として非常に強力。素引きしても墓地に送る手段が豊富であり、暗黒界の門を初めとして相性の良いコンボカードも多くデッキにマッチした1枚。今回はスキルドレインをメインに採用しているため、相手のライフを削り切る場面においてスキルドレインをバウンスしてレイヴンを補助する小技も覚えておきたい。
魔轟神レイヴン
暗黒界のトリガーとなるカード。安定性にも貢献するがチューナーであるというステータスを活かして、先攻展開や盤面の解決、ワンキルなど様々な選択肢を提供してくれる1枚。サイド後のD.D.クロウに弱いのがネック。
テラフォーミング
暗黒界の門の3枚目として採用。門が重なると墓穴の道連れが運用しづらくなるためそのシチュエーションを避けるためにテラフォーミングに変更した。サイド後に他のフィールド魔法を採用しやすくなるのもポイント。
ハリケーン
今回の環境を象徴する1枚だがアドバンテージ的には損をしているのが特徴。むやみやたらな使用は避け、相手を倒しきれる場面であったり門やリビデを使いまわす場面で使用したい。
死者蘇生
墓地に下級暗黒界とグラファがいればアドバンテージ+1になる最強カード。1本目においては最強だが、サイド後はD.D.クロウが直撃するので2本目以降は異次元からの帰還に挿し替える。
暗黒界の取引
デッキの重要なエンジンとなるカードメインデッキにおいては減らすことは考えにくい。2本目以降はデブリジャンドとミラー相手には絶大なアドバンテージを与えてしまう可能性があるためout。
強制脱出装置
グラファに対しての奈落や幽閉を回避したり、グラファを越えようと出してきたシンクロやエクシーズを戻す。エクシーズだとヴァイロンディシグマ、シンクロだとスクラップドラゴンとブリューナク。トリシューラとブラロは登場してからでは間に合わないので注意。また、スキルドレイン適用下では下級+門でも充分な脅威になるため、それを越えるために出してきたシンクロやエクシーズに当てるプランも存在する。その他シエンに対してもスキルドレインと組み合わせて回答になり得る重要な1枚。
マインドクラッシュ
暗黒界でのみ採用できる強力な制限カード。やはり相手の手札を確認できるのは強力。また暗黒界は致命的なカードとそうでないカードに大きな差があるため、致命的なカードを消せるこのカードはデッキ的な相性も良く優先して採用すべきカードだと考えられる。
スキルドレイン
今回の構築のテーマの一つ。魔法罠の除去を3人で分散させないといけない都合上、暗黒界の門を処理するカードの枚数は減るはずなので、こちらは永続を増やすことで門の通りを良くしようという意図。また神の警告を隣に譲る以上トリシューラが致命的なので、そこもケア可能なスキルドレインを選択。ただこのカード単体で盤面に触ることはできず、事故率を上げてしまう側面もあるため2枚採用。
4.エクストラデッキ
魔轟神レヴュアタン
レイヴン+グラファでプレイすることを想定。サイド後は基本的に死者蘇生を異次元からの帰還に挿し替えるが、帰還をプレイした場合そのターンにゲームエンドまで持っていくかシンクロやエクシーズに変換しないと帰還したモンスターがエンドフェイズに除外されてしまう。そのためシンクロして打点を創出でき、その上殺しきれなくても帰還のデメリットが打ち消せるため必須だと判断した。
氷結界の龍トリシューラ
ほぼプレイするタイミングは無いが死者蘇生や異次元からの帰還、メタモルポットを絡めて出せる可能性があるため採用。プレイできた際のリターンがあまりにも大きすぎる。この環境最強クラスのカード。
スクラップ・ドラゴン
レイヴン+ベージorシルバでプレイ。ほぼ出すことはないがワンキルに向かうときに相手のモンスターを飛ばす役割と対面の永続を処理する役割があるため外せない。
メンタルスフィア・デーモン
兎ラギア相手に非常に強力なのとETでも無類の強さを発揮する。最も優先度が低いのがこの枠。兎ラギア相手はそもそも有利なので苦手な六武衆を厚く見るためにジェムナイトパールへの変更も視野。
スターダスト・ドラゴン
こちらも出し方は上2枚と同じ。スキドレ下で門やスキドレを守ったりグラファに対しての奈落を避けたりと替えの効かない1枚。
天刑王ブラック・ハイランダー
レイヴン+ベージ。シンクロ主体のデッキにはこれで蓋するプランもある。暗黒界の強みともいえる1枚。
ブラック・ローズ・ドラゴン
プレイのタイミングが少ないが、トリシューラと同じで存在の有無がゲームの流れを変えうるので採用。
エンシェント・ホーリー・ワイバーン
暗黒界の門が成立した状態であればグラファ+エンホリでワンキル。
エンシェント・フェアリー・ドラゴン
門を貼り直してドローを加速。ETでも活躍。
氷結界の龍ブリューナク
6シンクロの選択肢を持たせるため採用。最も汎用性の高いブリューナクを無難に選択。
魔轟神レイジオン
こちらもプレイのタイミングが限られてくるものの、5シンクロの選択肢を持ちたかったので採用。カタストルと迷ったが暗黒界はドローのパワーが高いのでこちらを優先した。
No.39 希望皇ホープ
ゼピュロスやベージを絡めて出す。ジェムナイトパールと迷ったがより汎用性が高い能力であることを評価して採用。攻撃力2500と2600の差は案外バカにならないことは自覚しつつも、六武衆相手以外では致命的にならないと判断した。
インヴェルズ・ローチ
悪魔族なので門が成立していれば2200になりサイバー・ドラゴンにすら突破されない数字。代行天使や六武衆、デブリジャンドに蓋として有用。
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム
スキルドレインと仲良し。
虚空海竜リヴァイエール
サイド後に魂を削る死霊を投入するため採用。門で除外したスノウやブラウを帰還させつつグラファを呼び出すコンボは決まれば強力。
5.サイドデッキ
トラゴエディア
メインデッキに投入されているメタモルポットは非常に強力なカードだが、一度意識されてしまうとケアされやすいという弱点を持つため、メタポの差し替え枠として採用。またビートダウンデッキ相手にはむしろ相手のリソースを回復させてしまうリスクが高まるため、ビートダウンにめっぽう強いトラゴエディアを採用した。
魂を削る死霊
六武衆やヒーロービートといったビートダウンダウンデッキ相手に採用する。暗黒界は制限カードを強く使えるデッキでもあるため、死霊で耐久しキーカードを待つ戦法は、特に低速化しやすい2本目以降の試合では有効だと判断した。
グレイブ・スクワーマー
主に兎ラギアや後手カラクリなどで投入。もともとの悪魔族というステータスが暗黒界の門とシナジーしている上に、スキルドレインとも相性が良く非常に良質なサイドカード。
砂塵の大竜巻
サイド後次元の裂け目やマクロコスモスといった永続カードが致命的なので、回答として採用。ほぼ全ての対面にサイドインする。
異次元からの帰還
2本目以降はほぼ確実に死者蘇生をこのカードに差し替える。暗黒界相手のサイドチェンジは何らかの除外手段が投入されるはずであり、腐りやすくなる死者蘇生を外す。逆に腐ることがほぼ無くなり、発動すればほぼゲームエンド級のパワーを持つ帰還を採用。
スキルドレイン
サイドデッキに3枚目を用意し、ガジェット、六武衆、カラクリといったスキドレが有効な対面には増量を目指す。
御前試合
主に苦手な六武衆・デブリジャンドを意識しての採用。永続プランは前にモンスターを維持できるかどうかで効力が変動するので、リスクを背負った選択だということを意識したい。
透破抜き
主にミラーとデブリジャンドを意識した選択。東海ルールだと暗黒界のシェアが通常の寒波亭より増えることが予想されるので、ミラーマッチで特に効果の高いカードを用意したかった。またデブリジャンド相手にも打ちどころで困らないため採用。
6.各対面ごとの立ち回り
最初に定義した8強相手のサイドチェンジと、相性差や対面時意識すべきことなどを付記する。
vs ガジェット(6:4)
有利な対面という認識。グラファとスキルドレインがガジェットにとっては非常に脅威で、事故が起きなければ暗黒界側が優勢。ただガジェットに安定感で劣るのと氷結界の龍トリシューラと次元幽閉という脅威が存在するのでこの相性差とした。
トリシューラは効果を通されるだけで暗黒界側が劣勢になるので、トリシューラへのアンテナは常にバリサンで。ハンデスでチューナーを狙うか、スキルドレインを維持したい。
次元幽閉はグラファに打たれるのが致命的。特にガジェット相手に強力なスキルドレインも、グラファを維持できなければライフレースでの敗北に結び付きかねず、次元幽閉がその負け筋を作り出してしまう。ただ攻撃を宣言しなければ踏むことはないので、2枚目以降のグラファや脱出などを用意してケア出来るまで攻撃宣言はNG。グラファさえ除外されなければスキドレ下でガジェットがライフを奪いきる術は無いので、グラファを盤面に維持し続けることが重要。
vs 兎ラギア(7:3?)
ガジェット以上に有利な対面という認識。少なくともメインでは先攻でグラファを立てれば異次元の女戦士か次元幽閉に回答が限られる。後手だとラギア及びライオウは脅威だが、シエンと違いラギアは効果を一度使えば脅威ではなくなるので比較的戦いやすい。
2本目以降はマクロコスモスや次元の裂け目という次元系の永続カードが投入されることが多いので、サイクロンや砂塵の大竜巻は永続を狙い撃ちしていきたい。それ以外はガジェット対面と変わらず次元幽閉に気を付ければ問題ないと考えている。
また後手の際はひたすら妨害を踏むレイブンとライフ支出の多い神の宣告、ライオウに引っかかるテラフォーミングを排除。ビートダウン系全般に強い魂を削る死霊とグレイブスクワーマーを投入する。
vs ヒロビ(7:3)
兎ラギア同様に有利なマッチアップ。ヒロビ自体が環境の中では速度が遅いデッキに分類されるため、事故の多い暗黒界にとっては準備の時間を多く確保でき戦いやすい。
サイドチェンジはシンプルで効果の薄いスキルドレインを廃して、伏せを割れる砂塵の大竜巻を増量。相手はフリーチェーンの除去が多いので基本的にはブッパ気味には使わず、相手のエンドフェイズに伏せた直後のカードを狙い撃つ。神の宣告はライフの支出が多すぎて、ビートダウン達成の補助をしてしまうので排除。
また後手の際はラギア対面同様に、テラフォーミングとマインドクラッシュを廃して、対ビートダウン御用達の魂を削る死霊を追加。
vsカラクリ(5:5)
五分のマッチアップという認識。カラクリ側はグラファをそこまで苦にしないが、全体除去やスキルドレインが苦手。対して暗黒界側はナチュルビーストが致命的なので、かみ合いによるところが大きい。
サイドチェンジにおいてはカラクリ解体新書を積極的に割りに行くため砂塵の大竜巻を増やし、スキルドレインも増量する。グラファの擁立の優先度は上記3マッチに比べると若干下がるためおろまいゼピュロスギミックを外す。
後手の場合はテンポロスのため砂塵は入れず、グレイブ・スクワーマーでナチュルビーストを討ち取りたい。
vs 代行天使(7:3)
非常に有利なマッチアップ。一度成立したグラファを処理する手段がヒュペリオンやシンクロモンスターに限られる上、スキルドレインが有効。クリスティアに詰ませられる可能性はあるものの、グラファを手札から捨てるだけで回答になるので戦いやすい。
先手の場合はほぼ入れ替えるカードはない。後手の場合はライオウを意識しテラフォーミングを下げ、グレイブスクワーマーを追加する。
vs デブリジャンド(3:7)
不利なマッチアップという認識。デブリ側のペースに持ち込まれやすく、薄い妨害を越えられてトリシューラやカオスソーサラーなどでリソースを断たれて負けてしまう。スキルドレインは有効な防御手段だが、トークンを並べられてライフを取れず結局回答にたどり着かれて負けてしまうこともしばしば。とにかくライフレースを意識して相手の準備が整う前に勝ち切りたい。
サイドチェンジでは、強制脱出装置やミラーフォースなどの不要牌を抜いて御前試合と透破抜きを採用することで防御を厚くした。ただ御前試合の過信は禁物で前を維持していなければ開いても勝てない。透破抜きはトークン生成やD.D.クロウ、ヂェミナイ・デビルといった泥仕合に持ち込むカードをカウンターできるので非常に有効。
vs 六武衆(3:7)
不利なマッチアップという認識。真六武衆シエンが致命的で、シエンが成立してしまった場合はギリギリまで溜め込んでからアド損を無視しての強引な突破しか道はない。とはいえこちらのグラファとスキルドレインが六武衆にとっては脅威になるので、全く勝ち目がないわけではない。
サイドの枠は六武衆に寄せており、先攻時は砂塵の大竜巻と御前試合を投入することで相手の展開を抑制しに向かう。先の場合はスキルドレインよりも御前試合の方がライフレースの観点から有効だと考える。
後手の場合は相手が先攻展開+ガン伏せに向かい、手札が無くなることも多いためプレイすらできない可能性のある墓穴の道連れをアウト。そしてスキドレと御前をフル投入して複数の罠で相手の展開した盤面を捲ることを意識する。また罠の複数枚確保の時間をつくるため魂を削る死霊をサイドインする。
vs 暗黒界(4:6)
当然ミラーマッチなので五分ではあるが、ウイルスを採用していない上に不要牌が多いため不利寄りの認識でいる。まったくミラーでの意識が分からないため、アドリブで頑張ってもらいたい。
先攻でのサイドチェンジは、暗黒界の取引を全抜きして墓穴の道連れは残す。取引の枠には砂塵の大竜巻を投入して相手の門やセットカードを狙い打ちたい。また脱出やスキドレも不要牌なので、死霊や透破抜きに交換する。ただ死霊はダイレクトアタックをしてはならない。
後攻では確実に機能しなくなる墓穴の道連れを全抜き。死霊だけではなくグレイブ・スクワーマーも投入しモンスター中心にゲームを組み立てる。取引は一枚だけ残しておいてもよい。
7.結果と反省
vs兎ラギア ○✕✕ チーム✕
bye
vsカラクリ ✕○✕ チーム○
vsカラクリ ✕✕ チーム○
vsカラクリ ○○ チーム✕
チーム3−2で帰宅準備してたらオポネントが高く運良くトナメ進出vs六武衆 ○○ チーム○
vsカラクリ ○○ チーム○
vsTGガジェット ✕✕ チーム✕
チーム戦績は準優勝と出来すぎな結果となった。チームメンバーの勝ちも噛み合ったのと、それ以外の要素でも非常に運が良く、実力以上の結果であることは間違いない。
暗黒界の戦績自体は3勝4敗でお世辞にも良い結果とは言えなかったが、決勝トーナメントでは2連勝してチームの決勝進出に大きく貢献した。
大会を終えて暗黒界の構築について思うところがあるとすれば、ウイルス型の暗黒界が非常に強力だったことだ。
僕自身が、ウイルスを投入したSD暗黒界と2回対戦してそのどちらともに敗北している。当初の考察では先攻に比重が傾きすぎるのを懸念していたが、チーム戦だからこそ先攻をほぼ確実に勝利してくれる選択がベストだったのかと思い知らされた。
またウイルスというカード自体が暗黒界と非常に相性が良い。取引や道連れでデッキタイプを判断してから的確に闇のデッキ破壊ウイルスの宣言が行えたり、奈落や幽閉に対してのエスケープ手段として最適で、非常に理にかなっている。
特に優勝チームの暗黒界の構築は、ここ数ヶ月カラクリよりも暗黒界に頭を捻らせていた僕から見て、とても洗練された素晴らしいリストだった。
とはいえ、今回持ち込んだこの構築も大会当日あの場面においては、僕らのチームの知識や経験を結集して提出できる最善のデッキリストだったということには納得がいっている。
8.最後に
今回寒波亭に初めて参加したが、非常に雰囲気が良く、それでいて適度な緊張感を持って楽しむことができたので、今後も参加したい。
ただ、遊戯王歴が長いプレイヤーが多く、固定された環境で何年も開催されているため、参加者がみんな巧い。練度では及ばないことは最初から想定していたものの、思っていたよりもレベルが高くて、個人成績で勝ち越すのは至難だと実感した。
またカードプールは現在よりも遥かに少ないものの、環境が低速なこともあり採用基準に到達するレベルにあるカードの種類が豊富。そのため想定外のカードで初見殺しや裏目を引いて敗北することが多く、経験値不足が深刻であった。
今後の僕自身の目標としては、ひとまず個人成績で勝ち越して終える、というところだろうか。
今後もまた寒波亭に参加したときは、何かしらまとまった文章を残そうと思っている。ここまで長文お付き合いいただきありがとうございました。