2020/5/1 両死配合の議論
【2020/5/1 両死配合の議論】
金曜日
というより、五月になってしまった。
一日のどの時間帯が一番楽しいか、最近自分でもよくわからない。
それは当然で、そもそも、曜日や時間帯の好き好きというより、その日の予定であったり、会うことになっている人によって彩られるものなのだから、一律に好きな曜日や時間帯を考えることが間違っているのだろう。
窓から外を見て何かが違う訳ではないのだ。
ただ、こういう生活を送ると、毎日が同じである人の気持ちがほんの少しは、わかる。
たぶんほんの少しに過ぎないのだけれど、仕事を引退した高齢者や、病気などの理由でひとところに居て同じ生活を余儀なくされている人のことが前よりはちょっと想像できるような気がしている、ということだ。それとて傲慢かもしれないけれど。
さて、緊急事態宣言のゆくえについて。特に、死の配合について。
誰しもが知っているように、今日にもゴールデンウィーク明けの緊急事態宣言の継続如何が決定されるらしい。とはいっても、このところずっと取られている手法で、先にあからさまな「リーク」があって、安倍さんが何か語る頃には、聴衆はだいたい承知している、ということが続いているので、なんだか決定というには心許ない。
急に決まって押し付けられることには反発は当然予想されるけど、今の体裁のように、「もう知ってたんでしょ?」とやられることにも、なんだか割り切れない思いがあるものではないのでしょうか。少なくとも私はそう感じます。
決められる中身の話ではない。伝えられ方、ということなのかもしれない。日本人はこういうやり方がなじむ、って誰が決めたの?なんて思ったりする。
話が逸れました。
ゴールデンウイーク初日の飛行機や新幹線の乗車率が非常に低率なのを見て、素直に凄いと思う。国際比較論みたいなのを展開したいわけではないので、この遵守度は欧米と比べてどう、とは違うのだけれど、少なくとも、政府の「おうちに居てね」がそれなりにちゃんと守られていることは確かだと思う。もちろん、それでも、パチンコ問題然り、一部の商店街や観光都市への人出が減らない、ということは起こっている。テレワークが浸透してない、というような話もある(そりゃそうだろう)。だけれども、強制力を行使しない中でこれはかなり秀逸な状況だと思う。
専門家会議は、例の「8割自粛」の目標ほどに新規検査陽性者数は減っていない、という。
ただ、これは今の方式のベストエフォートに近いところまで来ているのだと感じます。前にも書いたけど、「指数関数的増加」と「8割自粛効果」の合計しか見ることができないのだから。もちろん、PCR検査数を制限している施策も関係しているし。
何が言いたいかというと、ここから後は、<誘導したいようにしかならない>ということです。誰の誘導したいようになのか、というと、これは全く間違いなく「政府が」でしかあり得ない。
もちろん、私は特に政府におもねりたいわけでも、殊更に反目の立場を取りたいのでもない政治的、宗教的に極端なポジションを私が取りたくないことは、何度か文章を読んでもらっている方には理解していただいていると思う。
COVID死と経済死。
よく言われる対比について、どのくらいの配合を考えるのか、そろそろとリーダーが旗幟を明らかにすべきだと思うのです。
COVID死対策をゼロにすることはできないことは表明せざるを得ないので、本来は、両死対策の配合に関するメッセージこそ待望されている、と思いますけど、そこに具体的に踏み込むことはあまり期待できなかろう。
重要な想定質問に先回りして答えると、これまではそのフェーズではなかったと思っています。つまり、急激な医療体制の崩壊によって重篤者、死亡者が激増し、COVID死と経済死が両立してしまうのを避けることに三月と四月は捧げられたのですから。
猶、私は臨床現場に身を置いていなくても属性としてはあくまでも医療者ですが、「人命は地球より重い」、という非科学が絶対だとは思っていません。そういう思想は大切ではあるけれど。
国のリーダーが、ここからは言語を明瞭にして、端的な方針を教えてほしいと冀う。
願わくは、だらだらと要領を得ない結婚式の上司スピーチのようにではなく、です。
そして、そのメッセージが発せられたら、皆さんには、前向きにそれに反応してほしいと思います。賛成にせよ、反対にせよ。というのも、意見というものを「意見をするということ自体を目的に」発する人が増えるのが有事の特徴だからです。個別の事例は論わないけれど、極論の多くはそういう色を帯びている、ということは指摘しておきます。皆さんの取捨選択の参考に。
今日述べてみた、そういう段階に入ったという思いを込めて、掉尾のメッセージを今日は変えたいと思う。
〈Thinking of our future while staying at home〉
2020/5/1 Die革命グループ主宰・医師 奥 真也