2020/07/06 極論はお好き?
【2020/07/06 極論はお好き?】
友人から教えてもらったFB上のある医師の論評は、こんな調子。
「新宿区が10万円支給を餌にホストに検査を受けさせているので検査数が増えている。それだけのことなので、東京都の感染者は増えてない。再度非常事態宣言なんて全く不要」
これに、2,400件ものシェアが行われている。
真偽を訊かれたので見てみたけど、いくつかの公的ソースの図表を出して概算し、「PCR陽性率(陽性数を検査数で割ったもの)は今、5月よりも1/200未満」を結論している。
しかし実際には、陽性率が高かった時期はごく一時期50%を越えたが、その後感染者数の減少とともに率も低下して、週の移動平均として1.7%程度まで落ちていた。今はこの率が4.5%(都サイトを2020/7/6確認)で、増加している。1/200だと、5月に陽性率100%でも、今は0.5%じゃないとだめなんじゃ??
4.5%と「増加」についても、同じ論客は「ホストの所為」というのだろうけど、それだけで説明つかないと私ゃ思うけどね。
で、私が言いたいことは、皆さん、極論が好きで、数字に基づいた極論で、自分の好みに合うもの(代弁してくれるもの?)はシェアしやすい、という傾向があるのだろうな、ということです。
シェアしてる人が全員賛成している訳でも、また、よく考えてシェアしている訳でもないのだろうけど、そういうものだと改めて感じる。
大学の後輩がコロナ収束10年説を唱えたときも、凄まじい量のシェアがありました。私にはとても書けない極論で、彼女の構成力と筆致には畏敬を示しますけど、それはそれとして、「極論」として好まれた点では違いがなかった。
このどちらの例を批判しているつもりも特にないんだけど、極論というものの多くは、放言、言い放ち。本人も他人も特に検証する訳ではない。また、言い放った時点から時間が経って、その後どうなっても、責任会見したりしません。そういう意味では、気楽な発信に過ぎないと思う。
現実というものは大抵の場合、日々遅々として進む現実と極論のはざまにあるもの、というのが長年人間をやってきた者の思うところです。
皆さん、極論はお好きですか?
2020/07/06 Die革命グループ主宰・医師 奥 真也