大手企業人事でこのまま働き続けても大丈夫?答えはあなた次第でYesでもNoでもあるそのわけ
35歳転職限界説、その時が少しずつ近づく不安
先日、私と同じく日系大手企業の人事部門で働く友人から「このまま大企業の人事で働き続けていいのかな?ベンチャー人事とか経験した方がいいのかな?」と相談を受けました。時代は変わっていてそんなことないよと周囲からいくら言われようと、”転職35歳限界説”は否が応でも30歳前後となる僕らの目の前にはちらつきます。
私自身も、日系大手企業の人事部門での約七年間の経験があるだけで、両者を経験した立場で「どちらがいい」というアドバイスはできませんでした。でも、転職35歳限界説をただただ盲信し、”なんとなく大企業人事を続けよう”、”なんとなくベンチャー企業人事をやってみよう”と決める前に、そもそも今自分がいる環境をちゃんと理解した上で今後のキャリアを考える必要があるのだろうと思い、「大手企業の人事で働くこと」ってどんなメリットがあるのだろうか?どんな意義があるのだろうか?という問いに対して、自分なりに答えを出してみることにしました。
人事を目指して就職したわけではない人が多い?
今の新入社員世代は少し状況が変わってきているかもしれませんが、僕ら30代前半の世代が就職活動をしていた時期は、職種別採用が一般的ではありませんでした。そのため、僕ら世代の大企業人事は最初から人事がやりたいと考えて会社選びをしたわけではない人たちが感覚的にほとんどの世代です。
そのため、キャリアのどこかで”今やっている仕事は就職活動時にやりたいとイメージしていた仕事とは少し違う”という心残りがある人がいるはずです。
もし自分の中でそういった心残りがある人がいれば、これは今の環境で仕事を続けるべきではないと思います。一度でもいいから、なんとか社内で自分のやりたいキャリアを訴え続け、心残りがないように当時考えていたやりたいことをやってみるべきです。
幸い、私自身はそのような機会に恵まれました。就職活動時は営業をイメージして社員の方にもたくさん話を伺い、入社を決めた会社で人事配属と言われた時にショックを受け辞めようかと思いましたが、そこで仕事をやっていく中で様々なやりがいを感じる機会があり、いつしか辞めようと思う気持ちもなくなっていました。ただ、4年くらい人事を経験した後に、どうしても一度営業をやってみたいという心残りがあり、会社に打診をして営業を経験させてもらい、両者を比べた上でやはり人事としてのキャリアを積んでいきたいと自分自身で決断することができました。
そういった、決断を経て今自分は大企業で人事をやっているのか?と自分に問うた上で、もしYesと自信を持って答えられない人は一度立ち止まって考えてみるべきだと思います。
大企業の人事に必要なマインドセット
①興味ある領域を自分でとりにいく
大企業の人事部門におけるキャリア形成で僕が大事だと思うことがあります。それは、専門性の身につけたい領域を自分から声を上げ、意識的に経験をとりにいくことが重要だということです。
採用、報酬、研修など、興味のある分野を深く掘り下げ、専門知識やスキルを磨く意識が重要で、自分の意欲さえあればめちゃめちゃ色んなチャンスがそこらじゅうに転がっています。今やっている仕事の次、なにやってみたい?この問いに本音ベースで答えられる人の少ない環境では、「僕これやりたいんです」という人はかなり希少で、目立ちます。
逆に言うと、その意識がなければなんとなくその時その時で人の不足している職場にありがたく回され、その時点その時点では感謝されるでしょうが、気づいたら器用貧乏となっていて、いつか年齢を重ねたタイミングで外では通用しない人材になっています。でも、それでも自分の責任です。
とにかく、常日頃から「次こういう経験をしてみたい」と声を上げ続けることが意識として必要です。
大企業の人事に必要なマインドセット
②専門領域にエネルギーをフル投下
まず、一定規模以上の会社の人事部門においては、1人で全ての人事領域をカバーすることことはできません。HRBPを除き、採用・人材開発・組織開発・労務管理・評価報酬といった特定の人事領域を担当することになるでしょう。だからこそ、一人人事で全領域自分でやらなきゃいけないという環境と比べると、その領域にとことんエネルギーを投下することは可能です。
この「領域特化」という部分は、人によって受け止め方が異なる部分なのですが、ここをポジティブに捉えて環境をフル活用していく意識が必要です。
その中で一番重要な意識としては、”前任者が積み上げてきたものをそのまま咀嚼せずに使って、ただ業務を回す”ということを絶対にしないことです。
何もない会社で新しく何か制度の立ち上げや運用の設計をすることに比べて、前任者からの引き継ぎがある環境であっても、自分が一から作ったらどうするか?ということを常に考えてやっておかないと、ゼロイチが全く作れない状態に陥ります。逆にこの意識さえ持てれば、しっかりと考え抜かれた超実践的な教材を手元に置きながら様々なことを学習していける環境があるのも大企業です。その環境を全部使い倒しましょう。
大企業の人事に必要なマインドセット
③企業内のナレッジを全て吸収する意識をもつ
「他の部署で何をやっているかわからない」規模の大きな企業であれば往々にしてあがる声ですが、せっかく大企業にいるのにこれほどもったいないことはありません。
特に、いつか”もう少し小さな企業で人事をやってみたい”と考えている人については、自分以外の領域について企業内のナレッジを全て自分の中に吸収する意識が必要です。
組織開発部門が導入した”エンゲージメント向上施策”、”評価制度の改訂” ”人材育成の企画や研修” この一つ一つの説明資料などをしっかり読み込み、自分の言葉で説明ができ、運用のイメージまでできるか意識してみてください。そうすると、なんとなく他人事部門の資料は目にしたけど、自分ではうまく説明ができないものも明確になっていきます。
もし、とてもわかりやすい制度や施策の説明資料があったら、フォルダに保存したりノートでイメージ図をとっておきましょう。将来自分がその業務をする機会があれば参考になるはずです。他部門作成した説明資料や運用に使うドキュメント。この全てが、今後の仕事をする時のお手本になります。
その意識で、全てのナレッジを自分の中に取り入れる意識で日々仕事をすれば、大企業の人事をやりながらでも様々な部門の実践知を蓄積していくことができると思います。
大企業の人事に必要なマインドセット
④ベンチャー企業の知り合いを持つ
これは、少し逆説的になりますが、大企業で人事を続けながらも外の関係構築をすることが非常に大事という話です。
ベンチャー企業の経営者や人事の担当者の話を聞くと、自分の人事としての専門性の力を測ることができるようになります。
何か相談を受けた時に、「こうしたらいいんじゃないですか?」と答えれるものと「あれ、これ今の自分の知識や経験じゃわからない」となるものがわかってきます。また、今世の中の経営者やビジネスにとってどんなことが人事に求められているのか?という肌感覚も身につけることができるため、是非社外との繋がりも作っていきましょう。
終わりに
大手企業の環境を生かすも殺すもあなた次第。どちらかというとベンチャー企業人事の方の投稿が多いNoteですが、”大手企業人事も捉え方によっては悪くないよ”という投稿でした。今後のキャリアに悩む誰かにこの記事が届いて、前向きにキャリアを考えれるようになると幸いです。
自分自身も、もう少し今の環境で力をつけてまた今後のキャリアを考えていきたいと思います!