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多様性について考えたこと 其の1
はじめに
コスタリカは、地理的には中米地峡と呼ばれる場所に属しています。
北米大陸がメキシコで終わり、コロンビアから南米大陸に入る。この両大陸に挟まれた細長い場所、これを中米地峡と呼ぶが、この細長い地域に7つの国がひしめき合っているが、この中の小さな国がコスタリカ。地峡の南から2番目にあり、南はパナマ、北はニカラグアに国境を接しています。ニカラグアとの国境ペーニャスブランカスから、パナマとの国境、パソカノアスまでは約520km。これは東京駅から盛岡駅までと同程度の距離です。
地峡と呼ばれるだけあって、地形は細長く、東にカリブ海、西は太平洋に挟まれています。この幅は日本地図の東北地方程度の幅で、カリブ海側の玄関口リモンの港から、太平洋側の玄関口カルデラ港までは、仙台から新潟と同程度の距離であり、奇しくも道路距離もほぼ同じ、260km程度。国土中心線に険しい山脈がそびえるため、山間部を縫っていく山道を通りながら横断することになります。この辺りも日本の本州の地形に似ている感がありますね。
中米地峡自体は、地質学的に見ると古い地形ではなく、数百万年前より隆起が始まった、新しい地形であり、そのために現在でも活発な火山活動が続き、火山噴火や地震が多い地域です。これも日本列島を取り巻く地形に類似している気がします。
元々あった南北アメリカ大陸を、この隆起によった中米地峡が橋のようなかたちで繋げたため、新生代以降に動物たちの移動が始まり、元々北米、南米固有種であった動物たちが混在するようになりました。結果的に豊かな生物多様性が見られるようになった地域なのです。
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コスタリカと生物多様性
コスタリカの話をするときに、避けては通れないテーマが、この生物多様性というテーマです。このテーマは長くなりそうなので、何回かに分けて語りたいと思います。
生物多様性とは?
ガイドブック等、コスタリカ観光や関連の書籍等、コスタリカを紹介する際に必ず書かれている文が、『生物多様性の豊かな国』という一文。ふーん、と軽く読み進めてしまうが、改めて生物多様性が豊かってどういうこと?と問いかけられると少し詰まってしまう単語です。
最近でこそ、ニュース、テレビ番組等で頻繁に耳にする多様性、生物多様性という言葉だが、生物多様性(Biodiversity)という単語は、80年代後半に米国の生物学者によって造られた言葉で、Biological Diversityを略してBiodibersityと言うそうです。これが邦訳されて、生物多様性という言葉が出来ました。
この言葉の持つ意味を理解するには、以下の概念を覚えておくと、ある程度イメージしやすいと思います。
① 種の多様性(Species Diversity) 地域に存在する異なる種とその分布。
② 遺伝的多様性(Genetic Diversity) 種内の個体群が持つ遺伝子の違いや多様性。
③ 生態系の多様性(Ecosystem Diversity) 異なる生態系が存在すること。
この3つの要素を合わせ、生物多様性と言います。
①は生物種の数、そして生息地におけるその種が占める相対的な豊かさを示します。多様な種が共存することによって、栄養の循環や生態系サービスが効果的に機能します。生態系サービスというのは、自然の生態系によって提供される、私たち人間にとって有益な機能やサービスを言います。この場合、水の浄化、土壌の改良、気候調節、そしてエコツーリズム等による経済効果などが該当します。
③にあげた生態系の多様性とは、生物が棲息する環境や地形の異なる生態系の多様性です。森、草原、湿地帯、など、地形の変化、気候の変化による異なる生態系を指します。
②にあげた、遺伝的多様性。私も少しピンときませんでしたが、簡潔に説明すると、ある特定の種内の個体群が持つ、遺伝子の違いや多様性を言います。例えば、海岸を歩いていて貝殻を見つけます。同じ種類なのに貝殻の模様は千差万別です。同じ種類の個体群であっても、個々の遺伝子は多様性がある。これが遺伝的多様性であり、移転的多様性が豊かであるほど、例えば環境の変化に適応する個体が出てくるため、種の存続に貢献してきます。
この3要素を合わせたものを、生物多様性と呼び、生物多様性が豊かである、ということは、この上記3要素が豊かに機能している状態です。
以下、私が参考にしたリンクを貼り付けますので、興味のある方はご参照ください。
生物多様性ホットスポット
地球規模での生物多様性が非常に高いにも関わらず。破壊の危機に瀕している地域、これを生物多様性ホットスポットと呼ぶようになりました。
・維管束植物の内、1500種が固有のものである。
・原生的植生の内、70%以上が既に破壊されている。
現在世界には36ヶ所の地域が指定されていますが、コスタリカはメソアメリカホットスポットの一部として指定されています。
ここから先は
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Sloth Lifeを目指して
20年以上過ごしているコスタリカより、コスタリカを訪れたい人、リアルなコスタリカを知りたい方への情報発信をします。コスタリカは、現在世界中…
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