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税理士試験の税法科目免除の大学院1年目(続き)

前回、2023年10月に「税理士試験の税法科目免除の大学院1年目」の投稿を行いましたが、前期授業の投稿だったので今回は後期授業を紹介していきます。

下期は、8月の税理士試験が終わって10月~翌年1月の1コマ15週に渡って行われます。私は、毎週火・水・金・土の週4日のペースで、合計7つ(14単位)授業を受けていました。そのうち、金曜日の授業はほぼZoomを利用したオンライン形式の授業でしたので、ほぼ週3日大学院の校舎へ通学していたことになります。

それでは、各授業の紹介を行っていきます。

① 大学院1年目(下期)の授業の内容 

1) 法人税・所得税法(土曜8:55~12:10)

  • おススメ度:☆☆☆☆

  • 授業の進め方:前期と同じく、どちらも授業開始の数日前~前日に各教授(いずれも国税庁OB)が当日授業のスライド内容を掲載して、講義形式となり最後に質問を受け付ける進め方です。前期・下期共に同じ教授による講義なので、内容が一部重複する箇所もありますが、前期で授業のペースや評価基準がある程度把握できるので、後期は慣れた状態で授業に臨むことができます。

  • 成績評価:毎回の出欠確認による出席状況と、期末のある課題に関して自分の見解を記述するA4 2~3枚程度のレポート評価となります。 

  • レポートの書き方のヒント:レポート内容の参考としては、①問題点を列挙すること、②関係する税法の条文を列挙、③関係者(課税当局や専門家)の解釈、④各裁判所の判断、⑤では②~④の情報を基にして、各種情報がつながるように整理、⑥に結論付ける、これらの情報を最低限織り込めば相応のレベルのレポートになります。

2) 金融市場と法制度(水曜18:00~19:30) 

  • おススメ度:☆☆☆☆

  • 授業の進め方:JPX(取引所)で現在勤務されているビジネスマンが金融証券取引法の制度内容の説明や実際の職場での経験を交えて、初心者でも理解しやすい様に分かりやすく説明してくれます。

  • 特に興味深かった話がインサイダー取引に関するテーマであり、多くの不自然な上場会社の株取引は把握されているとのことで、飲み屋でお姉さん達に会社の需要な情報を流して、そのお姉さんがその友人に伝えて、その友人が株取引してもインサイダー取引の処罰の対象にはならないですが、あまりにも大規模にやられると処罰の対象となりえるとのことでした。

  • 毎回授業開始時に当時のレジュメが配布されますが、参考図書として金融商品取引法入門 第8版 (日経文庫)を進められたので、これを読みながら授業に参加すると、より理解が深まりました。

  • 成績評価:授業での出席や発言により評価され、レポートや試験はありませんでした。

3) 国際課税(水曜19:40~21:10)

  • おススメ度:☆☆☆☆☆

  • 授業の進め方:国税庁OBで海外税務に長年関わっていた方による授業で、予め各学生に主に移転価格や国際的な租税回避に係る事件のプレゼンを要求する形式でした。スターバックスが英国で殆ど法人税を納めていない事件やホンダがブラジルのマナウスで稼いだ所得に対する日本の課税当局による課税など、各テーマ非常に興味深いものでした。

  • 教授が書き上げた海外税務に関する小説「ハイドアンドシーク~国際的租税回避を追え~」というサンフランシスコ(下記添付画像)、インドネシア、中国と全3編に渡るストーリーで、国際税務を理解するだけでなく、サンフランシスコのノースエンドにあるリトルイタリーやゴールデンゲートブリッジの詳細な描写だけでなく、海外で暮らすことで分かる多様性や国ごとに異なる正義などかなり深いメッセージを受け取ることができます。結局各国が異なる正義感を持つから戦争が発生することや、第二次世界大戦終了末期の1945年7月のポツダム会談では、「米国が関東と関西、ソ連が北海道と東北、英国が九州と中国地方、中国が四国を占領」しようという案があったとこの本を通じて知りました。

  • 国税庁によるドラマ形式の租税に関する動画を視聴する回もあり、海外での脱税行為をしても日本の課税当局から海外の課税当局に問い合わせて情報をもらうことが可能だと理解できる内容になっています。Youtubeで「国税庁 脱税」「国税庁 税務調査」と検索すれば、様々な場面を取り上げた動画を視聴することが可能です。

  • 成績評価:授業で担当したプレゼンの評価と授業が休講となった際の簡単なレポートから評価されるものでした。

  • 私の発表した資料を載せておきます。

4) 税務会計(金曜18:00~19:30)

  • おススメ度:☆☆☆☆

  • 授業の進め方:上記の国際課税の授業と類似して、各学生に税務関係に関するテーマが予め与えられ、授業で用いるテキストだけでなく、複数の参考文献の文言を纏めて、発表する形式でした。主なテーマとしては、収益と費用の認識時期、役員報酬の損益算入可否等、初心者向けにレベルを合わせた内容となっています。またユニークな点としては、毎回授業の冒頭に予め担当分けがされて、気になった税務に関する時事を簡単に紹介することも組み込まれていました。例えば、ジャニーズ事務所創業者による性的虐待で話題になった「中小企業向けの事業承継税制」や本ブログでも紹介した「Jリーグの外国人選手の申告もれ」に関するトピックなどです。

  • 成績評価:授業で担当したプレゼンの評価と授業が休講となった際のレポート(大竹貿易事件に関する収益認識時期)から評価されるものでした。

5) 経営情報論(火曜18:00~19:30)

  • おススメ度:☆☆☆☆

  • 授業の進め方:税法とは直接関係の無い、選択科目として区分された授業ですが、前期はプログラミング言語であるRに特化しており、下期はパイソン(Google driveを用いて画像分析やChat GPTモデルの様に長文の要約や質問に対する回答を導き出すプログラム言語を学べます。授業は他に学生がおらず、1対1の講義形式ですぐに質問や進捗が把握される個別授業で、非常に高度で中々学べない内容なので希少性は非常に高いです。

  • ソフトウェアをインストールせずにGoogleドライブにあるcolaboratoryから無料でパイソンコードを書くことができます。

https://colab.research.google.com/?hl=ja
  • 成績評価:毎回授業後に与えられる小課題に対してコードを提出するだけのものになります。期末テストやレポートは一切ありませんでした。

いずれの授業も継続して予習復習をすることで、新たな知識や物の捉え方を身に着けることができますが、フルタイムで仕事をしながら、更には修士論文の準備も進めながらとなると、中々予習復習の時間を十分に確保することは難しかったです。

当大学院は30単位で卒業することができますが、他大学院は40単位や48単位を要求する所もあり、フルタイムで勤務している方にとっては、授業を詰め込みすぎることはかなりタイムマネジメントをしないといけず、単位数を多く要求される大学院への入学は慎重に考える必要あるかと思います。

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