鷹匠壽 予約への挑戦 7日目
前回までのあらすじ。岩松は、鷹匠寿の予約をとるべく
、若旦那に土下座。しかし、首を縦に振らず肩を落として帰ろうとしたところに仕入業者のトラックが来た。そのトラックを追いかけ、鴨の仕入先 肉のとりせんにたどり着き、鴨が新潟にいるという情報をもらう。
そのまま新潟に向かい、福島カモ養殖場で、真鴨の肉をゲット。6日間を簡単にまとめると、このようなことだ。
さて、今日は何をするか。
とりあえず、鴨肉ゲットの一番の功労者、重要な情報をくれた肉のとりせんの社長に、お礼に向かった。
岩松:こんにちは。社長。また来ました!
とりせん社長:何度も来てくれてごめんねぇ。岩松さん、あれからまた鴨を探したけどやっぱりないわ。
岩松:いえ、本日はお礼を言いに来たんですよ。社長のおかげで真鴨、ついに入手しました。
とりせん社長:ええぇ!どゆこと!
岩松:社長に、真鴨が新潟に飛んでくるって話を聞いたので、あのあと新潟に行ったんですよ。
昨日の出来事をまとめた写真を見てもらった。
社長は、岩松の行動力に少し感動している様子だった。
とりせん社長:本当に手に入るとは思ってなかったよ。よくやったねぇ。それにしても良い養殖場だね。鴨の毛並みが違うね。
岩松は一人では食べきれない鴨の卵を、とりせんの社長にお土産として渡した。
とりせん社長:その鴨、どうするの? 食べ方教えてあげようか? 弟が鳥の店やってるから紹介するよ。
店の情報をもらい、近いうちに鴨肉をもって、弟さんの鳥の店に行ってみよう。
とりせんの社長とは、いろいろ鴨に関するさらなる情報を教えてもらって、2時間程度も長居してしまった。
そうだ、せっかく浅草にきたんだからついでに、鷹匠寿の若旦那のところに寄って帰るか。
とりせんを出て、性懲りも無く鷹匠寿に向かった。
寿の扉をあけると、目の前に若旦那と、お客さんが座って談笑していた。
普段なら、失礼しましたー。出直してきます。と帰るところが。しかし、これは若旦那が暴走できない好都合なチャンス。
少し話しかけてみよう。
岩松:あのぅ、毎日予約に押しかけてしまってすません。実は、昨日新潟に行ってきて、養殖の真鴨手に入れました。
若旦那は、お客様の手前、高圧的な態度を1mmも見せずに、岩松と初対面かのような態度を取っている。
若旦那:うちはね。天然しか使ってません。養殖とか興味ない。
岩松:天然の鴨ですかぁ。もし岩松が、天然の鴨を手に入れたら仲間の輪に入れてもらえますか?
若旦那:だめ。あんただったら12年かかるな。
なんかいろいろ、鷹匠寿に関する年数のハードルが日に日にアップしている。
岩松:はいっ失礼しました。
鷹匠寿の一環した態度、なかなかのものである。
しかし、今日のところはこのくらいにしてやろう。
三軒茶屋に戻るために、浅草駅に向かっていると、とりせんの社長が、猟友会に電話すれば天然の鴨譲ってくれるかもよ と言っていたのを思い出した。
まだ、すき家のバイトまで時間があったので、
とりあえず一番近そうだった九段下にある『大日本猟友会』に、岩松は向かった。
15万人の猟師をまとめている日本一大きい猟友会だった。建物も大きい。
しかし、到着したのは17時15分
もう既に玄関が閉まっている状態だった。
また明日来ようかなと思いながら、帰ろうとした時、岩松に声をかける老人がいた。
老人:どなたですか?
岩松:岩松ともうします。天然の真鴨を探しています。
岩松は、この7日間の一連の出来事を説明した。最近人に会って説明することが多くなったので、
これまでの写真をプリントアウトし、持ち歩くことにしている。
老人:君は本気なんだね。99%無理だと思うが、猟友会の会員が提供しているお肉屋が三軒茶屋にある。
明日君を紹介するよ。電話するから待っててくれ。
岩松:ほんとですか、ありがとうございます!!!
こうしてまた、今日も鴨に関する同志 大日本猟友会 事務局長 竹田さんを勝手に仲間にしたのだった。
8日目に続く。