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鷹匠壽 予約への挑戦 1日目

浅草に、一見さん完全お断りの鷹匠壽(たかじょうことぶき)という鴨料理のお店があります。
あまりにも予約が取れないという噂を聞きつけまして、元料理人である私の魂に火がつきました。
人脈もコネもお金も何もない岩松が、がんばって予約を試みることにしました。長期戦になりそうなため、ここで報告致します。


 1日目

まず、前日に電話をしてもあっさり断られていた。
しかし、お店に行って、顔を見ながら『予約させてください』と言えば、意外とすんなり予約もとれるんじゃないか想像した。
そこで、早速 三軒茶屋から電車を乗り継いで、浅草の店に向かった。
 
お店についた。外観は、綺麗とは言えないお店だが、味は一流なのだろう。まだ、開店前の扉を勢い良く開けた。
 
中には、割烹着を着た、80か90歳くらいの おばあさんの後ろ姿が見えた。かと思うと、険しい顔をしながら私のほうを振り返った。
 
 
店のお婆さん: 何?なんの用?
 
岩松 : あ、あのぉ。電話で断られたんですが、予約をしたいんですが。
 
店のお婆さん : あのねぇ、うちはね。昨日今日出来た店じゃないんですよ。会員制。気軽に予約できないんです。戦前からやっている店なの。私達はね。
 
岩松 : ・・・。何とか何なりませんでしょうか?
 
店のお婆さん : お引き取りください。私たちはね。昔はここで鴨を飼っていました。この写真をご覧なさい。今では猟友会が天然の鴨を取ってきます。
天然なんですよ。天然。数に限りがあるの。戦時中には、家が一度全焼しました。でも、もう一度建て直したの。
今では、偉い人の予約でいっぱいなの。このカウンターも空いてるけど、ダメなの。そのお偉いさんのSPさんも来るでしょ、だからカウンターも座る事ができないの。
何度かあなたのような方が、飛び込みで予約に来ましたよ。それでもね、すべてお断りしているんです。とにかく一見さんお断りなの!
どなたかお知り合い経由で、予約をされてください。
 
岩松 : ・・・・。(沈黙10秒) そこをどうにか・・・
 
店のお婆さん : 今日はお引き取り願います!
 
岩松 : し、失礼しましたー!
 
 
お婆さん相手に、しつこく予約させてくれとこれ以上長居するのも申し訳ない。初日は、このくらいにしてやろう。1日目としては、悪くない。
岩松は、浅草から電車に揺られ、明日の作戦を練りながら渋谷で下車、バイトリーダーとなったすき家 渋谷店へ向かった。
 
鷹匠壽の壁は想像以上に高そうだ。しかし岩松、無理と言われれば言われるほど燃える性格。
やってやろうじゃないか、鷹匠壽がある限り
 
2日目に続く。。

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