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続・ロイヤル顧客育成の真実

今年の2月に公開したところご好評を頂き、1万PV以上読んで頂いた「ロイヤル顧客育成の真実」について続編を書きました。今回はロイヤル顧客に至るルートのうち、もう一方の「期待に応え続ける(回数を重ねる)」事によりエンゲージメントを高めていく方法に、主にフォーカスを絞って語ります。ちょっと長文になっちゃいました、すいません。。


はじめに

こんにちは、エンゲージメントプラットフォームを提供している、Repro株式会社CMOの中澤です(自己紹介はこちら→)。

あとWeb担当者フォーラムで「デジマはつらいよ」の原作を書いてます。

前回の「ロイヤル顧客育成の真実」を書いた時には、IDOM(中古車のガリバー)のデジタルマーケ責任者だったわけですが、人の慣れとは恐ろしいもの。すっかりReproに首までどっぷり染まった自分がいます。

前回の記事をまだお読みで無い方は、今回の記事がその続きとなるため、できれば前回記事を一度お読みになった上で、本記事をお読み頂けますと、より内容が伝わりやすいかと思います。(↓コチラです)

前回の振り返り

一応、前回書いた記事を振り返って見ると、以下のような事をお伝えさせて頂きました。

・ロイヤル顧客の定義は、「企業の製品やサービスに高い愛着を持ってくれており、かつ、実質的な利益も与えてくれる顧客」。つまり、LTVだけじゃ無いですよ。

・ロイヤル顧客に至るには2つのルートがあり、一般的な「期待に応え続ける(回数を重ねる)」ルートだけでなく、「たった一回の期待を大きく上回る体験で一発でロイヤル化する」というルートもあるよ。

・特に「真実の瞬間」というのが大事らしい。

・初回の体験が結構大事ですよ、、というお話

今回の記事では、前回のお話を踏まえつつも、より一般的で、多くの方が実務の中で取り組みやすい「期待に応え続ける(回数を重ねる)」ルートにフォーカスして、書いていきます。

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一部、前回の記事とも重複する点も出てきますが、そこはご愛嬌という事で。それでは本題に入りますね。

ローランド様を目指さない

期待に応え続ける事で、ロイヤル顧客化を目指す上の心構えとして重要なのが、「ローランド様を目指さない」事だと思っています。(ちょっと何言ってるか、わからない)

ホスト界のカリスマ「ローランド様」のように、あらゆる人を惹きつけるカリスマ的なコミュニケーションを行う事は、土台無理な話であり、まずは「我々は凡庸なのだ」という前提に立った上で、コミュニケーションの戦略を考えるべきであるという考えです。

あなたには言えるでしょうか?「世の中には、2種類の男しかいない。俺か、俺以外か。」と。「世の中には、2種類のサービスしかいない。俺のサービスか、それ以外か。」と。

もしこのように言ってのけるだけのサービスを扱っている場合には、あなたは勝ち組です。もはやマーケティングすら必要無いかもしれません。ただ殆どの場合には、そうじゃ無いですよね?

そこで狙うのは、「この人って、特にすごい魅力があるわけじゃ無いんだけど、一緒にいると心地良いんだよね」というポジションです。

このポジションを狙うためには、具体的には以下の3点が重要では無いかと思っています。

① 失点を犯さない
② 先回りアシスト
③ コミュニケーションの頻度・タイミング、そして相手への気遣い

第一印象、初回体験がやはり何よりも大事

前回の記事でも詳しく書いたのですが、あらためて大事なのでもう一回。やはり、初回の体験が何よりも大事になります。というのも、第一印象というのは後々まで影響を与えてしまうためです。

それには「初頭効果」という認知バイアスが関係します。

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ですので、先ほど書いた「この人って、特にすごい魅力があるわけじゃ無いんだけど、一緒にいると心地良いんだよね」というポジショニングを、より確実に取る上でも、「初回体験」に特にフォーカスして、これから述べる内容をやってった方がいんじゃ無いかと思うのです。

通常、皆さんのサービスを利用する顧客の多くは、既に何度かそのサービスを利用していたり、Webサイトなどに訪れている「広義の既存ユーザー」であるかと思います。

実際ご自身のアプリやWebサイトの利用者属性を見ていただきたいのですが、訪問者の70%以上、購入者の60%以上は、既存ユーザーである事が多いのでは無いでしょうか?

実はこれがある意味、良い事でもあり、同時に、「初回ユーザー」に対して、意外に「配慮が行き届かなくなる」要因でもあります。

つまり、大多数のユーザーは、既にそのサービスに一定慣れているユーザーであり(慣れたユーザーしか残らない裏返し)、どうしても、大多数のユーザーを中心に、UIやUXを考えてしまう傾向になる事が多いのです。

もちろん、ちゃんと「初回ユーザー」にフォーカスして、その気持ちや、ペインポイントの発生を考慮している方もいらっしゃるかもしれませんが、そうで無いケースも多いのでは無いでしょうか?

初回ユーザーは思いもよらぬ事で、悩んだり、戸惑ったりするモノです。「え?これくらいわかるでしょ?」「ちゃんと書いてありますよ」といった事でも、初回訪問や利用の際には意外に戸惑うモノです。

また、このコロナの影響で、シニア層など、これまであまりEC等のデジタルサービスを利用しなかった層のネット利用が増加していると言われています。このような方々の場合には、その傾向がより一層顕著に現れる事が予想されます。

失点を犯さない

「心地良い人ポジション」を獲得する為の重要ポイントの1つ目が、「失点を犯さない」です。

人が、何かの課題を持ち、何かのサービスや製品を利用したいと思ってから、それを獲得し利用するまでの間には、様々なプロセスが存在します。

そして、その各プロセスにおいて、非常に小さな「ペインポイント」が幾つも発生します。それらのポイント、言い換えれば「顧客接点」において、とにかく「小さなペインを解消」し、失点をなくす事で、「体験全体として気持ち良かった」と思ってもらえる状況を作るという取り組みです。

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やや消極的なアプローチではありますし、「そんな対応、とっくにやってるわい!」と言われる方も多いかもしれません。

ただ、本当にそうでしょうか?新規ユーザーのCVRは現在どの程度でしょうか?また、新規ユーザーに絞って、ファネル分析を行うと、もしかしたら違った風景が見えてくるかもしれません。

新規ユーザーは意外なところで躓いているかもしれません。それを知るためには「機会損失の発生」に特に注目する必要があります。初回ユーザーの機会損失発生ポイントこそ、まさにそのユーザーにとって「障壁」つまりはペインが発生しているポイントだからです。

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先回りアシスト

実は「機会損失の発生」そのものと、さらに「その理由」を把握するというのは、デジタルの世界では最も難しい事の一つです。

なぜならば、機会損失とは、「CVしなかった、または行動しなかった」人の発生を知る事であり、それらの人は、それ以上の活発な行動をしないために、そのデータを取得する事が困難だからです。

よってここで重要になってくるのが、マーケターとしての想像力であり、ABテストになります。「きっとここで初回ユーザーは躓くだろうなー」「その時、こういう事で悩むんじゃね?」という想像力による仮説を作り、先回りでアシストするのです。

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初回ユーザーが困りそうな場面に、InApp/InWebメッセージをリアルタイムで表示し(但し初回ユーザーに限る)、そのCTAをあえてクローズドクエスション(きっとこれで悩んでますよね?)に絞り、訴求文言をABテストしていく事で、多くの初回ユーザーが悩むポイントを探っていきます。

ここで大事なのが「ABテストは、ユーザーとの対話である」という考え方です。次の「コミュニケーション」の章とも関連しますが、顧客を理解するために、ABテストを「対話」と捉えてテストしていくという考え方です。

日常生活の中でも、初めて会った人を理解する為の最も有効的な方法は「対話」です。例えば、採用面接のような場面であっても、事前に履歴書や職務経歴書を読み込んでいるはずですが、結局は、面接、つまりは対話を行って初めて相手の事を理解する事ができます。

履歴書は「顧客マスター」、職務経歴書は「購買・行動データ」と考えればわかりやすいかもしれません。そこに、ABテストによる「対話」を加味する事で、ユーザーをより深く理解する事ができるという考え方です。

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そして「対話」はより多くすればするほど、相手の事が理解できます。様々な角度の質問を投げかける事によって、その反応を検証する事でより深く相手を理解できるのです。

よって、ABテストは「訴求軸」を変えて、様々なパターンを、とにかく沢山行ってみましょう。「質よりも量」をこなす事が、より早く顧客理解を行う為の近道となります。

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コミュニケーションの頻度とタイミングと気遣い

やばっ、結構文面が長くなっちゃった!という事で、ここからは駆け足で。最後のポイントは、コミュニケーションの頻度とタイミングです。これは、初回接触だけでなく、既存ユーザーに対しても言えることですよね。

「単純接触効果」という言葉を皆さんはご存知でしょうか?

まあ、名前そのまんまでして、「繰り返し接すると、人はそれに対し、好意度や印象が高まっちゃうぞ!」という効果でして、1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスさんが論文 にまとめたので、「ザイアンス効果」なんていう、素敵な別名で呼ばれてたりもします。

日常生活においてもよくわかる事だと思うのですが、毎日顔を見合わせている相手には、不思議と親近感が沸くものですよね。また、TVCMがめっちゃ流れてる商品って、何となく身近に感じるじゃ無いですか?あれです。

「でも、そんなに頻繁に連絡したら、大好きなあの子に嫌われちゃんじゃ・・・」

はい、その通りです。

ですので重要なのが、そのタイミングと気遣いになります。あなたの周りにもいませんか?空気を読まないタイミングでLINEとかしてくる人。「いま、会議中だよー」とか、「いま、飲んでるんだけど」みたいな人。

例えば、「ふー、今日も仕事疲れたなー、苦手な上司にまたちょっぴり嫌味とか言われちゃったしー」なんて時に・・・

「お疲れ様、今日も仕事大変だったよねー、俺なんかさー・・・・。ところで、こないだ言ってた上司に嫌な事言われちゃったりしてない?なんか気になってさー」

みたいなLINEが来たらどうでしょうか?「ウホホーイ、待ってましたー!実はね、聞いて、聞いて」みたいな感じになったりしないでしょうか?

頻度はとっても重要です。ただその際には、相手に取って気持ちの良いタイミングを見計らい、そして、配慮や気遣いという観点でコミュニケーションすると、エンゲージメントは高まっていくものと思われます。

これらのコミュニケーションを実現するためには、ユーザーをいかに理解できるか、そして、「どのような場面だからこそ、このタイミングでアプローチする」というコミュニケーション設計がとても重要となります。

もちろん手作業でそんな事はできませんので、こういった事を実現できるツールの導入が前提となりますが。(Reproはそういう事ができるツールです!ちょっぴり宣伝

ロイヤル顧客になるとメチャクチャ多頻度コミュニケーションを要求してくる場合も・・

通常のユーザーですと、上で書いたコミュニケーションの頻度と合わせて、タイミングや、気遣いと言った事がとても大事になるのですが、何故か、めちゃロイヤルな顧客になってくると、どうもそうとも言えないようです。

例が適切かわからないのですが、あなたの事をメチャクチャ好きな相手がいるとするじゃないですか?そのような場合、「とにかく毎日LINEくれなきゃヤダ!」「なんだったら、朝昼晩、LINEしてよ!別に内容は何でもいいの」みたいな事、起こりませんか??

GDO(ゴルフダイジェストオンライン)で、マーケティングの責任者やってる時代に、社内で「メルマガの量が多すぎてクレームがいっぱい来てる!」というのが、結構な議論になりまして。実際、毎日一本送ってたので、そりゃ叱られるかな、と思ってたりもしました。

で、実際には、どんな人がどんな理由で怒ってるんだろうと思いまして、このテーマでユーザーグループインタビューを行ってみました。その結果が自分にとっては衝撃的でして・・・。

ユーザーグループを、利用どのめちゃ高いロイヤル顧客、年に数回は使ってくれるミドル顧客、あまり利用してくれないロワー顧客に分けて行ったのですが、その結果が綺麗に、別れまして。

ロイヤル顧客の方 → むしろ足りない!もっと送ってこい!毎時間でもいいぞ!

ミドルの方 → うん、まあ多いよね。大人なんだから、もうちょっと控えてみようか。

ロワーの方 → ふざけんな!舐めてんのか!もう二度と送ってくんな!

という結果でした。

ロイヤル顧客の方々、いくら何でも1時間に一回送ってこい!って、、どんだけGDO好きなんですか。と面食らったわけです。

なので、たぶん多くの企業の中で、「一般論として、メールやプッシュ通知送る頻度は控えようね」みたいな話になってるかもしれないのですが、顧客との関係性の深さに応じて、この頻度というやつも考えた方がいいのかもしれません。

最後に

私達Reproは、この記事に書いたような、顧客とのエンゲージメントを高める為にはどうしたら良いのか、と言ったノウハウの提供と、それを実現するプラットフォームを提供する会社です。(そして、僕はその会社のCMOです。なので最後にしっかり宣伝するのです!)

ちょっぴりでも興味がありましたら、まずはホームページなど覗いてみてくださいね!

そして、中澤のNOTEに「フォロー」とかしてくれたり、Twitterのフォローとかしてくれると嬉しいです! ではまたー。


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