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マーケター育成論:右目・左目分析で仮説を見つける

Web担の「デジマはつらいよ」原作者の中澤です。マーケター育成論(教育論)をシリーズで書いていきます。今回は「右目・左目分析で仮説を見つける」というテーマです。

はじめに

こんにちは、Repro株式会社CMOの中澤です。(自己紹介はコチラ→)

シリーズで書いていく「マーケター育成論(教育論)」、今回のテーマは、「右目・左目分析で仮説を見つける!」です。(なにそれ?)

前回の記事では「PDCAは質よりも量が重要」である、ということをお伝えしました。

その中で、PDCAの「量」を回して行く際に、最も大きな課題が「P(打ち手)」の枯渇、つまりは「仮説の枯渇」であるという事を説明したのですが、今回のテーマでは、この「仮説をいかに量産するか」について、お話しできればと思います。

この記事はデジマはつらいよのYotube動画と連動した内容として書いています。動画と合わせてお読みいただくとより理解が深まると思います。

仮説を立てるには、そもそも何が必要なの?

優れた仮説を立てるためには、「仮説を立てる早さ、仮説の幅広さ、仮説の精度の高さ、が必要だ!」、「そもそも仮説思考力を鍛えねば!」など、いろんな意見が世の中にありますが・・。

ただ、、自分的にはシンプルに、「気付きの量」だと思うのです。

自分たちのお客様について、どれだけ多くの事に気付けるか。どれだけ沢山の事を話しかけたいと思っているか。

その数が多ければ、おのずと仮説はどんどんと出てくるのではないかと考えています。

優れた仮説をいきなり出せれば、それに越したことは無いと思うのですが、そもそも、わからないから「お客様に問う」わけですし、気負わないで、どんどん仮説を出していけば良いと思うのですよね。

じゃあどうすれば、お客様について「たくさんの気付き」を得る事ができるのか?

それはとにかく、お客様の事をたくさん知る事です。そのために「右目・左目分析」を使います。

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右目・左目分析とは何か?

右目・左目分析とは、ざっくり言うと「群としての顧客の動向を把握するのと、個としての個客の動きを把握する事を、交互に行う分析方法」の事です。

右目が「個」としての個客行動の把握
左目が「群」としての顧客動向の把握

合わせて、「右目・左目分析」です。

「群としての顧客の動向」は、主にログ解析システムやBIツールなどを用いて、「定量的」かつ「統計的」に把握する手法がメインとなります。

多くのマーケターが慣れ親しんでいる「Google Analytics」や「Tableau」といったツールを使った分析作業がこれにあたります。

そして、「個としての個客の動き」を把握する方法として取られるのが、「Google Analyticsのユーザーエクスプローラー」や「Bebitのユーザーグラム」等の、個客の行動遷移(個票)をデータ把握する方法と、定性的に把握するための「行動観察調査」です。

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この「群と個」二つの把握を交互に行う分析をなぜ行うのかというと、二つの分析手法にはそれぞれ得意不得意があるためです。

群としての動向を把握する、統計的・定量的な分析手法は、各セグメントの「最大公約数」の動きや「支持率」(より多くの人が選択するのは何か)を理解するのに向いています。

よって、PDCAにおける「効果測定」にはとても向いた手法、という事がいえます。つまり、「顧客との対話の結果」を把握するには、この群を対象とした分析が必要になります。

また、「こういったセグメントは、こういった傾向がある」という、最大公約数の把握にもとても向いています。ただ逆をいえば、「突飛な行動」や、「少数の人だけが行う特徴的な行動」といったモノの把握には、少し向いていないかもしれません。

逆に「個」を把握する、個票分析や行動観察調査は、個の特徴的な行動や、データに現れない「感覚的な情報」を得る事に向いています。そして、「気付きを得る」という天においては、この「個」を把握する手法の方が、圧倒的に向いていると考えられるのです。

なぜ個の把握は多くの気付きを与えてくれるのか?

ちょっと話は飛ぶのですが、私のビジネス人生は家電量販店の売り場から始まっており、店員として約7年間の経験を積みました。

そして、のちにWebマーケティングに携わった際、売り場と比べてもっとも大きな違いとして感じたのが「P」の量とPDCAのスピードでした。

店舗ではほぼ毎日、一日中ずっとお客様の動きを行動観察していました。店への入り方、その時の目線、店内での導線、棚を見る角度、商品を手にとって見る様子、その時の表情、など。

女性のお客様には、もしかしたら、ちょっとした変態くらいに思われていたかもしれません。それくらいずっと見てたんですね。

そして、気付いた事を、速攻で売り場に反映させていきました。商品の位置、ポップの角度、お声がけするタイミング、棚の配置。

多いときには1時間に数度、少しいじってみては、お客様の反応を見てまた変える。そんな事をずっと繰り返していたのですが、圧倒的にWebよりも、気づきの量も、PDCAの実行数も回せていました。

おそらくその最大の理由が、「目」という高度なセンサーから得られる情報にあったのと、「個の動きを追う」という観察手法にあったと思っています。

人間のセンサーというものは大変優れてまして、とくに目的をもって観察していなくても、ボーッと個客を眺め続けているだけで、潜在意識には大量の情報が流れ込んでくるのですよね。

それらの大量の情報から、ふとした瞬間に、さまざまな気づきが浮かび上がってくる。そのようにして気づきの量産を行っていました。

デジタルの世界でどうやって「個の動き」を把握するのか

これ、結構難しい問題ですよね。リアルの現場では超簡単にできるのに、デジタルの現場では、これが実は一番難しいという・・・。

一つの方法は、先にも書きましたが「個票分析」を行えるツールによって、「個の導線」を追う方法です。そのユーザーが、いつ、どこに来て、何を見て、その次の日にはどうしたのか。この一連の動きを追っていきます。

その際にオススメしている方法が「映像思考力」です。何となくカッコイイ名前を付けてるのですが、要は「お客様の行動を、リアル変換して妄想する」事です。(ちょっとなに言ってるかわかんない)

えっと、つまりですね・・。

データで把握できるユーザーの個々のアクションを、実際の売り場などでのお客様の「表情、行動」に脳内変換して、あたかも売り場でお客様を行動観察しているような感覚で「妄想」するという事になります。

この手法を使うと単なるデータが、生きたお客様を見ているような感覚になり、行動観察しているときに近い情報量が得られるというわけです。

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問題は、もう一つの「行動観察調査」そのモノです。

最も理想的な手法が、そのものズバリ、お客様のWeb上やアプリ上での行動を「動画で見れる」事です。

ただ残念ながら、個人情報保護の規制が厳しくなっている昨今の事情もあり、手法自体が限られてきているのが現状です。

Webに関しては、自分は以前「Full Story(https://www.fullstory.com/)」というツールを使って「動画行動観察」を行っていたのですが、現在、同じ事ができるかどうかは、ちょっとわかりません。

アプリについては、僕の会社のツールである「Repro(エンゲージメントプラットフォーム」で、動画行動観察が行えたのですが、Appleのポリシー変更に伴い、現在は利用できなくなっています。(もちろん他の機能は全て使えています)

未だに、多くのクライアントから「復活してくれー!」という声が毎月のように寄せられており、残念な限りです。

一瞬、クラウドワークスでモニター集めて同じ事ができないかと、チャレンジしたのですが、うまくいきませんでした。。

なので、初心に戻って「街やお店で実際に観察する」事を、今はオススメしております。

最後に

今回は、前回の記事「PDCAは質より量」の続きとして、「P(仮説)」を枯渇させないための、「右目・左目分析で仮説を量産」というテーマで書かせていただきました。

自分の考えるマーケター育成論(教育論)は、「体幹」「コアスキル」「テクニック」の三層に分かれているのですが、前回と今回は「テクニック」の層にあたるお話です。

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体幹や、コアスキルに関するお話も、同じシリーズで書いていますので、ご興味がありましたらぜひ。

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(コチラです→https://twitter.com/s_nakazawa)

ではまた!

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